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zoom RSS 尼崎JR事故〜「きしみ」は蔓延しているのではないか?

<<   作成日時 : 2005/04/28 12:00   >>

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 北海道新聞の高田昌幸さんのブログで、今回の事故について興味深い、というより少し背筋が寒くなる2つの指摘が、なされている。

●JR西日本のシェア拡大
 一つは、1995年度から2000年度までの5年間、私鉄や地下鉄が軒並み輸送人員を減らす中で、JR西日本だけが横ばいを保っているという事実だ。JRが相対的にシェアを拡大しているのである。

 詳しくは、近畿運輸局の「京阪神の鉄道旅客推移」という資料を見ていただきたいが、年間旅客数を、JRが13.8億人(95年度)から13.5億人ほぼ横ばいであるのに対し、私鉄(地下鉄を除く)は26.4億人から23.3億人と、12パーセントも減らしているのである。

 「この数字は並々ならぬ努力の結果だろうと思う」と高田氏は分析している。

●予見されていた大事故
 そしてもう一つ、JR西日本でオーバーランによる運転ミスが激増していることが、6年半も前に伝えられていたことを、高田氏は挙げている。詳しくは、ブログに全文引用されている98年11月26日の朝日新聞記事を読んでいただきたいが、この記事は、同年の8月30日から3ヶ月の間に13件のオーバーランが立て続けに起き、これが異常事態であることを伝えている。

 そして注目すべきは、記事の結びに出て来るJR西日本のコメントだ。「JR西日本安全対策室は『連続発生の原因は特定しにくいが、こうした初歩的ミスが脱線など大事故につながる恐れもある。自動通過防止装置の導入は、システム全体の変更が必要で、費用面から難しい。運転士が緊張感を持って基本動作を徹底すれば防げるはずだ』」。「初歩的ミスが脱線など大事故につながる」と、まさに今回の事故を予見するコメントが、JR西日本の安全対策室から出されていたのである。

●ドル箱競争を制したJR西日本
 高田氏が最初に挙げた近畿運輸局の統計は、私鉄との熾烈な競争をJR西日本が制したことを示すものに、ほかならない。JRは、スピードアップと多頻度運行という利用者のニーズに、必死に応えてきた。それは、他社が輸送人員を減らす中での横ばい維持という、シェア拡大という結果で表れた。

 一方で、スピードアップは、運転士に緊張を強いる。運行頻度を高めると、一つの列車のわずかな遅れが、路線全体の遅れにたちまち波及する。スケジュール厳守を要求される運転士は強いプレッシャーがかかっていたとたびたび報道されているが、それは、利便性を求める乗客のニーズを実現する裏返しでもあったのである。

 そして、オーバーラン多発という黄色信号は、「費用面から難しい」と抜本的対策は先送りされた。「運転士が緊張感を持って基本動作を徹底すれば防げる」と考えたJRは、遅れやオーバーランに対して厳しいペナルティで望むという精神主義に、打って出た。

 2004年に悲願の完全民営化を達成したJR西日本は、赤字を出すわけには行かなかった。そして、地方に赤字路線も抱える同社は、近畿圏の都市間輸送で収益を上げなくてはならない構造になっていた。

 こうして見ると、事故の真犯人は、利便性を求める利用者のニーズ、利益を求める会社と株式市場の体質、そして監督官庁の不十分な指導態勢の3者ではなかったかと思えてくる。

●全国に蔓延する効率優先のきしみ
 一方で、運転士へのプレッシャーはJR西日本に限ったことではないという指摘もある。26日の東京新聞は、国鉄千葉動力車労働組合の委員長の話として、次のような事実を指摘している。 「かつては加速、惰性、制動が基本パターンだったが、いまは加速後に速度を維持するため、再び加速する作業を繰り返す。運転士の緊張と疲労は以前の比ではない」。「車掌による安全確認の基本動作も無視されている現実があるという。基本動作には二十六秒ほど必要だが、ローカル線の場合、停車時間を十五秒に設定しているケースもある」。「JR東日本では一分間の遅れは、訓告にボーナスは5%カット。昇給ランクも下がる」。

 安全よりも利益、利便性を優先する現実が、全国に蔓延していないだろうか。稼働率、売上、定時制など、利益につながるものを確保するために、現場の人たちは強いプレッシャーを感じ、「きしみ」を起こしてはいないだろうか。

 尼崎で起きた未曾有の脱線事故は、こうした「きしみ」が最も悲惨な形で破綻した実例に思える。

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