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zoom RSS 尼崎JR事故〜運転手叩きが始まった

<<   作成日時 : 2005/04/26 11:00   >>

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 兵庫県尼崎市で起きた、JR福知山線快速電車の脱線事故。73人が死亡する、JR史上最悪の事故だっただけに、きのうはかなりの時間、各社のテレビニュースを見ていた。昼から午後の段階では各社とも、原因として「速度超過」をにおわすトーンだったが、夜になって、「速度超過」から「複合要因」へと修正されて行った印象を受けた。ところが、けさの読売新聞を見て、アチャーッと思った。

 「速度超過が主因か…県警が強制捜査へ」とデカデカとした見出し。リードには「兵庫県警は、速度超過による人為ミスが主要因と判断」とある。さらに駄目押しをするように本文では「県警は、高見隆二郎運転士(23)が速度を出し過ぎたため過剰な遠心力が外側にかかり、最初に先頭車両の内輪が持ち上がる形で脱線した可能性が高いとみている」と表記。完全に、運転士1人の責任であるというトーンだ。

 ちょっと待て、と思う。事故からわずか1日。死傷者の収容が優先で、ろくに現場検証も行われていない段階で、どうしてこうも簡単に「人為ミスが主原因と判断」できるのだろう。そりゃ警察は、捜査で容疑者(事故を起こした人物)を特定するのが仕事だから、人為ミスへと見方が傾くのはわかる。しかし、「速度超過だけで脱線は起きない」「いくつかの要因が複合したものと考えられる」と多くの専門家が指摘する中で、警察の見方をそのまま記事にし、「運転士悪し」と言いたげな読売の報道姿勢を疑う。他社がこのトーンに追随することがないことを祈りたい。

 ノンフィクション作家の柳田邦男氏が、ずいぶん前の著書で次のような指摘をしている。「日本の社会では、航空事故に限らず、一般に事故があると、『ミスをした奴は誰だ』『責任者は誰だ』という考え方をしがちである」。「このような責任論が広く容認され、責任者を厳しく処罰することで、社会は一つの満足感を得、処罰が軽いと『甘い』といって非難する」(柳田邦男「失速・事故の視角」 文春文庫 1981)。運転士の速度超過が事故をもたらした、と強く示唆する読売の記事は、まさしく柳田の指摘するこの流れに沿ったものである。

 しかし、氏はこうも指摘し、「現場叩き」「当事者必罰」の風潮を強く戒めている。「われわれは責任を追及するのに性急なあまり、事故の本当の教訓を科学的に読み取ることに失敗してはいないだろうか」。そして、「最後にジョーカーを引く役にまわされた直接の責任者のミスだけを、鬼の首でも取ったかのように強調する」のではなく、「洗い出した一つ一つの要因を、ほとんど均等といってよいウェイトで大事に考え、それから次の事故を防ぐための対策を具体的につかみ出す」ことが、再発防止に真につながると主張している。

 運転士の過失だけに注目することは、そこに至った、システムが抱えている本質的欠陥から目をそらすことに、ほかならない。

 地元ブロック紙を見たら、こんなことが書かれていた。線路上に置石と見られる粉砕痕があったことをJR西日本が会見で早々と公表した点に、北側国交相が苦言を呈したのだという。「事故との関係が明らかでない段階で言うのはいかがなものか。中途半端な報告はしない方がいい」。

 まったく同じことを、兵庫県警と読売新聞に言いたい。「事故との関係が明らかでない段階で言うのはいかがなものか」と。

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