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zoom RSS 「航空機関士」が日本の空から消える日

<<   作成日時 : 2009/06/06 23:00   >>

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画像 JALに残っていたB747-300、いわゆる「クラシック・ジャンボ」が、来月中にも退役することが発表された。これを以て、日本の空から「3人乗務」(機長・副操縦士・航空機関士)の旅客機がすべて無くなり、「航空機関士」という職業も、過去のものとなる。航空に関心を寄せる者の一人として、「一つの時代が終わったんだな・・・」という感慨に似た思いを禁じ得ない。

 ところで、航空機関士の乗務が必要な飛行機が無くなるということは、すなわち航空機関士の職が無くなるということなのだが、JALもANAも、この航空機関士たちの処遇には相当な苦労をしたのだという。

 ハイテク機の導入によって不要になった航空機関士をどうすればいいか・・・真っ先に考え付くのは、航空機関士をパイロットに職種転換することだ。機関士だって、パイロットと同じ制服を着て操縦席に乗り込んで仕事をするのだから(普通の人にはパイロットと機関士は外見上まったく区別がつかない)、機関士からパイロットになってもらうのが最もスムーズと、誰でも考えるだろう。実際、JALもANAもそうした。希望する機関士をパイロットの移行過程に入れたのだ。1990年代後半くらいの話らしい。

 だが、これが実は容易ならざる道だった。まず大前提として、機関士はパイロットではない。飛行機を飛ばすパイロットとしてのライセンスを持っていないと言う点では、いくらパイロットと同じ制服を着て操縦席に乗り込んでいても、普通の人とまったく同じなのである。(JALの機関士は自家用操縦士のライセンスだけは取らされていたらしいが) 副操縦士として操縦席に座るためには「事業用操縦士」のライセンスが必要だが、それを取得するためには、単発の自家用操縦士から始めて、双発、計器飛行とステップを踏み、2年〜2年半もの年月がかかる。

 JALもANAも、将来的に航空機関士が不要になる時代を見越して、若い機関士候補生は採用を抑制していたから、移行訓練を受けるのは30代後半〜40代のベテラン機関士たちだ。この先30数年働いてくれる20代の若者ならば、投資分を回収できるが、こうしたベテランたちを機関士から副操縦士に移行させても、活躍できるのはせいぜい10数年だ。にもかかわらず、多大な年月と莫大な費用をかけて訓練を受けさせたのは、「飛行機乗り」に対する会社の温情も、あったのかも知れない。

 しかし、これがうまく行かなかった。飛行機の操縦は、クルマの運転とはワケが違う。全身、全神経を集中させ、なおかつ膨大な勉強をしなければ、副操縦士と言えど、ライセンスは取れない。JALもANAも訓練所はアメリカだから、何カ月も家族と離れて集団生活をしながら、不慣れな英語で勉強し、訓練を受ける。教官は自分よりも若いアメリカ人。時には怒鳴られもする。20代の若者なら、それこそ「気合い」と「根性」で乗り切れるところが、40代ともなるとそうもいかない。その訓練は、会社や当人たちが考えていたよりも、はるかに苛酷で、精神を病む人も出たのだという。

 そして実際、試験で不合格になる者が続出した。同じ試験で二度不合格になれば訓練中止(エリミネート)となる。パイロットのライセンスを取得できなかった元航空機関士は失意のまま帰国し、地上職に配置転換。それも、閑職に追いやられることが多かったそうだ。

 「パイロットへの転換に失敗したことで、機関士は会社を恨み、会社も膨大な訓練費用を損失した。あんなことなら、乗員時代の報酬を保障して、そのまま地上職に付けた方がずっとマシだった」とは、某社の機長の弁。報酬保障というのはなかなか難しいと思うが、機関士の人数と3人乗務の機材数、機材の退役時期と機関士の退職時期をうまく合わせ、機関士を配置転換するような無理をせずに済む方法がなかったのだろうか、と思う。

 JALのB747-300から退役することで、「航空機関士」という職業が事実上消えることになるが、その裏面で、こういうことが起きていたことも、記憶にとどめておきたい。

 「最後の3人乗務旅客機」の退役を記念して、JALでは特別ツアーが企画された。B747-300で那覇〜下地島を飛び、タッチ&ゴーの見学・撮影もできてしまうという、航空ファンにはたまらない内容。上に掲載した写真は、その募集HPの一部。詳しくは、こちらから。ただし、このツアーは募集開始から数時間で完売になったとのこと。

▼3名分の運航乗員席がある、B747-200Bのコクピットと航空機関士用の操作パネル<2014年1月・航空科学博物館(千葉県成田市)にて撮影>。
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