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zoom RSS 映画「沈まぬ太陽」にJALがイチャモン

<<   作成日時 : 2009/11/05 23:29   >>

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 公開中の映画「沈まぬ太陽」について、JALが社内報でイチャモンを付けていることが、ちょっとした話題になっている。報道によればJALは映画について、「企業として信頼を損なうばかりか、お客様離れを誘発しかねない」「『フィクション』と断っているが、日航や役員・社員を連想させ、日航と個人のイメージを傷つける」などと反発しているという。北海道新聞(11月3日)の記事で知ったが、時事通信のHPにまったく同じ記事が出ていたから、出元は時事通信なのだろう。

 わかってないなぁ、と思う。JAL首脳陣の危機管理能力の低さが、こういうのを見るとたちまちバレてしまう。事故や災害に対処することだけが危機管理なのではない。自社に批判的なメディアや、運悪く広がってしまった風評が悪い方に広がるのをどう食い止めるかも、立派な危機管理能力だ。それが、今のJALはまったくなっていない。

 この社内報が何千部印刷され、どこまで配布されているかはわからない。けれども、一度文字にしたものは必ず社外に漏れ、場合によってはメディアのネタになるのである。現に、JAL社員の誰かがこの社内報を時事通信の記者に見せ、それが記事になって新聞に出ている。この映画に関して、JALが公式にこういう論評をすることが世間からどう見られるか。それが当のJALにどう跳ね返ってくるか、まったく想像力がはたらいていない。

 記事によればJALは、「映画で描かれている社内の報復人事や役員の不正経理、政治家・旧運輸省幹部らへの利益供与や贈賄について『こんな不正があるわけがない』と一刀両断」しているというが、大人げがない。ムキになって否定すればするほど相手の言い分を認めているように見える、見られかねないということが、どうしてわからないのだろう。映画に対して反応すればするほど、「企業としての信頼を損なう」のではないか。

 また、映画で1985年のジャンボ機墜落事故の様子が克明に描かれていることについて、「作り話を加えて映像化し、商業的利益を得ようとする行為は遺族への配慮に欠ける」と非難しているというが、論理の飛躍も甚だしい。「配慮に欠ける」かどうかは遺族が判断することだ。遺族が映画会社に抗議するならわかるが、事故を起こしたJALがどのツラ下げて遺族の気持ちを代弁できると言うのか。

 記事にもあるが、JALの今日の経営危機は、合理化の遅れや放漫経営によるところが大きい。(JAL再建問題「経営陣の失態」を現場に謝らせるとは・・・・?) その内幕を題材にした”フィクション”映画にこれほど過剰に反応するとは、JALは当時のことを何も反省していないのだな、と思えてくる。

 けれども、池田信夫氏のブログによれば、「沈まぬ太陽」で描かれるストーリーは、「JALの経営がでたらめだったという山崎氏の見方は正しい」ものの、「『モデル小説』としてはあまりにもバイアスがひど」く、「小説も映画も、JALとは無関係なフィクションとして楽しむことをおすすめする」という。それはそうだろう。映画や小説は製作者や作家の世界観を表現するものであり、事実に照らし合わせて正しいかどうかは二の次なのだから。「フィクション」と断りを入れている以上、事実と違うことが入っていたところで、何ら批判されるものではない。

 だからJALは、「映画と当社は無関係」と黙りを決め込むことが最善の策なのだ。それなのに、こういう形で映画にイチャモンを付けるから、かえって話題になってしまう(映画の宣伝にもなる)。それが報道されることがJALの企業イメージに決してプラスにならないということをJALの経営陣がまったく認識していないことに、「わかってないなぁ」という思いを抱いてしまうのだ。こんな会社にジャブジャブと税金をそそぎ込んで、本当に生まれ変われるのだろうか。

現場には素晴らしい人たちも多いのだが・・・
 つい最近、「お客様を楽しませるために何かしよう、という姿勢が感じられるJALの社風は好き」と書いたばかりだ。新千歳空港でのハロウィンの演出を見てそう思ったのだが、JALの空港対応は、総じてA社より良いと私は思っている。

 JALには、乗員を含め知人は何人かいるが、尊敬できる素晴らしい人が多い。燃料を節約するフライト方法を真剣に研究し、それを広めようとする機長。過酷なプレッシャーにさらされるパイロットたちの悩みに接し、ボランティアでカウンセリングの勉強をして相談にあたる機長。地上には、就航先の観光PRやら、子どもたちのための出張航空教室やら、目先の損得を度外視した先行投資的な活動に熱心に取り組む人たちがいる。

 だが、それが残念ながら、現場レベルに限られてしまう。そういう優秀な個人が集まって組織となったときに、ベストなパフォーマンスがまったく発揮できない。まるで、優秀な選手を片っ端から集めているのにさっぱり勝てなかった、一頃の某球団のようだ。それは、組織のどこかに重大な慢性疾患をかかえているからにほかならない。

>【この記事で取り上げられた問題の社報を後日入手したので、別途アップしました】



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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ボランティアでカウンセリングの勉強をして相談にあたる機長さんって、実際カウンセリングするお時間てあるものなのですか?
たま
2011/12/05 14:20
パイロットと言っても、毎日飛んでいるわけではないですから。JALクラスならフライトは月の半分から3分の1くらい。それ以外は休日と地上勤務ですから、そういう時間をやりくりすれば、色々とやれることはあるようですよ。それより、運航乗務員の「心のケア」は非常に大切なようです。(筆者)
海ラジ
2011/12/05 18:58
ご丁寧なご回答ありがとうございます。やりくり出来る時間があるんですね。。。多くの人の命を預かる重圧で、「心のケア」が必要になってくるのですか?それとも不規則な勤務時間だからとか、別の圧力で「心のケア」が必要なのでしょうか?精神的な病を防ぐ意味合いなのでしょうか。。。?
たま
2011/12/06 14:38

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