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zoom RSS 政府専用機〜「退役」「廃止」も含め検討するそうだが・・・

<<   作成日時 : 2011/01/28 23:00   >>

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画像 総理や皇族の外遊に使われる政府専用機の今後のあり方について、廃止も含めた検討が始まったのだそうだ。理由は、JALがB747−400を年度内に全廃すること。同型機を政府専用機として管理・運用する防衛省は、整備や乗員の訓練をJALに委託してきたが、JALがB747−400の運用をやめてしまえば、整備や訓練を受注できない。防衛省が自前で必要な資材・人員を用意すれば良いかも知れないが、何百億もの費用がかかるため、とても現実的ではない。もともと政府専用機の保有は旧国営企業であるJALの協力が前提だったのだが、経営破綻したJALがこれ以上協力できないと言い出してしまえば、前提そのものが崩れてしまうのだ。さぁどうする、買い替えか、廃止か、それともほかに方法があるのか、ということで検討が始まったのだ。

 まず思うのだが、JALは何年も前から、B747−400運用廃止の方針を、公式に発表はしないまでもそのニュアンスは漂わせていたわけで、年度内に廃止という切羽詰まった段階になってようやく検討会議とは、今まで何をやっていたのだと言いたくなる。エアラインとしては、導入から20年も経過した飛行機は廃止を考えるのが当然であって、B747のような四発機から燃費の良い双発機に買い換えるのは世界的な流れでもある。そういう事情に知らんぷりをして、いつまでもJALが面倒を見てくれると政府や防衛省が考えていたとしたら、呆れた甘え体質だ。JALを潰した官民の共犯関係がこんなところにも見て取れるな、と思う。

 で、政府専用機の将来だが、本当にどうするつもりなのだろう。JALが面倒を見られないのなら、同じくB747−400を運用するANAに委託すれば良いと考えるかも知れないが、ANAはJALほど手厚い支援体制を持っていない(B747の保有機数がまったく違ったから)し、近い将来B747−400を運用廃止するのはJALと同じだ。国内で整備できない以上、政府専用機のB747−400も、廃止せざるを得ないのではないか。まさか、防衛省管理の軍用機である政府専用機の整備や乗員訓練を海外の下請けに出すわけには、いくまい(それもそれで、割り切りだという意見もあるかも知れないが)。日本にとって政府専用機がどうしても必要だと言うのなら、B777やB787などに買い換えるしかない。が、人気の機種は発注から納品までに数年かかるし、パイロットや整備員の訓練期間も考えたら、今すぐにでも機種を選定して発注しなければ、間に合わない。しかし、購入するにも維持するにも莫大な費用がかかる政府専用の大型ジェット機が本当に必要なのか、昔のような民間機チャーターではダメなのか、という意見も政府や民主党内にあるため、そうすぐにも決められる状況ではないようなのだ。

 APECで羽田に飛来した各国首脳の特別機のところでも書いたが、B747のような大型機を政府専用で運用する国は、多くは無い。B737のような小型旅客機の専用機は多く見たが、大型機の場合たいていは、民間からのチャーターだった。実体として「政府専用」ではあっても、ロシアや韓国などは保有・運航を民間にして効率化を図っている。パイロットや整備士は、一度資格を取っても技量水準の維持のために定期的な訓練と審査が必要だ。民間委託であれば、政府専用機の運航が無いときは通常の商用機に乗務するなど人のやりくりが可能だが、軍事組織である航空自衛隊に政府専用機の運用専門の部隊を持つというのは、ものすごく非効率でゼイタクなことなのだ。それでいて日本の場合、訓練以外での政府専用機の運航は年に10〜12回程度しかない。大統領の事実上の「自家用機」として国内外どこへでも飛ぶアメリカのエアフォースワンとは、そこが違う。政府専用機そのものの廃止も含めて検討すべきだ、という意見が出て来るのも無理のないことだと思う。

 自衛隊による専門運用でなければ危機管理上問題だ、という意見もあるだろう。紛争地域の邦人救出のために政府が日航機をチャーターしようとしたところ、「危険なところには飛べない」とパイロットが拒否した、というようなことも過去にはあった。だが、自衛隊機の海外展開実績がほとんどなかった昔とは違い、航空自衛隊もC-130の海外派遣などを通じてノウハウを獲得している。プロペラ機のC-130では航続距離、速力が不足するが、2年前から部隊配備が始まった空中給油輸送機KC-767(ベースはB767)は、輸送機として人員200人を輸送できるし、航続距離も長い。自衛隊向けの国産のジェット輸送機C-Xもあと数年で実用化し、部隊配備される。政府専用機のB747-400が無くなれば海外での邦人救出ができないかと言えば、そんなことはないのだ。それに、危険な場所は民間機が飛んでも軍用機が飛んでも危険なのであり、人命や機体が失われるリスクを冒してまで救出機を出さなくてはならないのか、というのは専用機が民間機か軍用機か、ということとはまったく別の話である。

 もちろん、有事への備えというのは最悪の事態を想定しておくべきだという話は、わかる。能力の点でも、隊員の「覚悟」の点でも、民間よりは自衛隊の方が心強い、というのもわかる。問題は、この国の財政状況が、そんなゼイタクを許せる状況にあるのかどうか、という点にあると思うのだ。【つづく】




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「軍用機」による邦人救出はそう簡単なことではない
 政府専用機に関する考察の中で、「邦人救出で民間機が使えないときは空自機を使えばいい。今なら、その能力がある」と簡単に書いてしまったが、よくよく考えれば、コトはそう簡単でもない。国際的には「軍用機」とみなされる自衛隊機の派遣は相手国の当局と様々な調整が必要で、周辺国や世界に与える政治的インパクトも考慮しなくてはならないから、相当慎重にやらなくてはならない。日の丸を付けた飛行機が救助に向かえば、現地に取り残された人はほっとするだろうし、国内にも「国の威信を示した」などと満足する人はいるだろう... ...続きを見る
旅するデジカメ・札幌発<見る・残す・伝え...
2011/02/02 00:06
ここは酷いセカンドオフィサー制度ですね
ひどかった「ガイアの夜明け」JAL特集 http://www.labornetjp.org/news/2011/0201gaia まあ日経スペシャルだからなw おっさんコパイについても当人の責任に帰することはできないんだよな この人の入社と2人乗務の767の登場はほぼ同時期であった 将来的に航空機関士の消滅が分かっていたんだけれども その辺でパイロット志望者を航空機関士にする変なキャリアパスを作ったようだ そういう意味では買った機材に振り回されるJALの犠牲者でもあるな A... ...続きを見る
障害報告@webry
2011/02/04 22:42
政府専用機の後継はB777-9Xに決定・・・と思う、これだけの理由
 ANAからボーイング747が退役したことで、「日本最後の旅客型ジャンボ」として政府専用機がにわかに注目を浴びているようだ。31日の「ANAからジャンボ引退」のニュースではNHKが「ジャンボ機として最後に残るのが、政府専用機です」などと紹介していた。しかし、前々から言われているとおり、政府専用機にも退役の期限がある。先月25日の朝日新聞によれば、現在の政府専用機B747-400の運用は4年後の2018年度で終了。後継機にバトンタッチさせるために、機種選定をこの夏にも行うのだとか。さらに同記... ...続きを見る
旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記
2014/04/09 00:30

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