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zoom RSS スーパーおおぞらトンネル火災・・・北陸トンネル惨事再来の一歩手前だった

<<   作成日時 : 2011/05/29 00:50   >>

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画像 27日深夜に北海道のJR石勝線・占冠〜新夕張間のトンネルで起きた特急スーパーおおぞら14号(4014D)の脱線・火災事故、ニュースを見る限り、北陸トンネル火災事故の再来のような大惨事になってもおかしくないような事故なのだが、なぜそんなことになったのか、現時点ではあまりにも不可解なことが多い。

不可解1 なぜトンネル内で停車させた?
 列車の場合、火災が発生してもトンネル内では止まらずに走り抜けるのが鉄則だ。1972年に起きた北陸トンネル火災事故以来、この鉄則が確立された。青函トンネルを唯一の例外として、火災が起きた場合は必ずトンネルを抜けてから停車するよう、乗員に周知徹底されているはず。それなのに、なぜ列車を止めた? 車掌が運転士に連絡して運転士の操作で止まったようだが、トンネルを出るまで待つという判断が、なぜできない? 一部の新聞が書いていた(JR北海道が会見で明らかにした)が、運転士に停車を指示した車掌は当初、煙は認識しつつも火災という意識がなかったのだそうだ。煙が出ているのに火災の可能性を考えないとは、乗員はどういう教育を受けているのだろう? 地震が発生すれば津波を警戒するのと同じように、煙が出ていれば真っ先に疑うべきなのが火災じゃないか。こういう場合のJRのマニュアルはどうなっている? 異音、異常を感知すれば列車を止めるのもそれはそれで鉄則だが、トンネル内を想定した規定はあるのか?
 トンネルから出てから停止していれば、もっと早く消化できたし、乗客をあそこまで危険な目に遭わせることもなかった。死者が出なかったのは、奇跡としか言いようがない。北陸トンネルのときのように、一酸化炭素中毒で動けなくなり、車内に閉じこめられて焼死するようなケースが数十人出ても不思議ではないような事故なのだ。

不可解2 そもそもなぜ脱線し、火災になった?
 JRの発表によれば、エンジンの動力を台車に伝える推進軸(ドライブシャフト)の不具合が脱線につながったらしい。現場の手前にはバラバラになったドライブシャフトが散らばっているという。シャフトの不具合は、それは整備不良や設計・製造上の欠陥など内的要因によるものか? それとも何らかの外的要因(たとえば線路上の置き石を車輪が跳ね飛ばしてシャフトを直撃し、軸ブレを起こしたことが破断につながったとか)によるものか?
 気になるのは、事故を起こしたスーパーおおぞら用の車両(キハ283系)は振り子車両で、ドライブシャフトの構造が一般のディーゼル車両とは異なることだ。振り子でエンジンをつり下げた車体が左右に振れるのに合わせて、シャフトが伸縮するようになっている。こういう振り子車両独特のドライブシャフトの要素が事故に関係しているのか? だとすれば、JR北海道が運行する全ての振り子車両が危険性を抱えていることになる。
 JRが発表した事故車両の写真は、かなりショッキングだ。営業運転中の特急列車があんな焼け方をした例は、少なくともJR移行以後はまったく記憶にない。新聞によれば、鎮火まで9時間半もかかったというから、高温に長時間さらされれば、ああいう無惨な姿になるのだろう。それにしても、自動車に比べてはるかに防火基準が厳しい鉄道車両があそこまで燃えるということは、燃料系への引火を疑うべきだ。なぜあそこまで簡単に、燃料に火がまわった? 脱線またはドライブシャフト破断によって燃料系も損傷してしまったのか?

 気になる点、不可解な点が多々あるが、脱線・火災の原因もさることながら、乗員たちの「その後の対応」の方が私は気にかかる。鉄道の大原則を破って、なぜトンネル内で列車を止めてしまったのか? 乗員同士(運転士・車掌)の情報伝達、マニュアル、教育訓練など、いろいろなことが背後にあると思う。福島原発を例に出すまでもなく、事故や災害の被害を大きくするも小さくするも、ヒューマン・リソース次第なのだ。この点、乗員個人の責任追及ではなく、JR北海道という会社の体制、考え方まで含め、徹底究明されなくてはならないと思う。

 これは、福知山線の脱線事故にも匹敵する「鉄道史に残る事故」だ。【つづく

JR北海道による事故関係のリリース

【追記】本稿執筆の時点では、列車の「脱線」の怖さに対する理解が、決定的に不足していた。だから、「トンネルから出てから停止していれば、もっと早く消化できたし、乗客をあそこまで危険な目に遭わせることもなかった」と書いた。たとえ脱線していても、一部の車輪はレール上に乗っているのだから、脱線した車輪を引きずるようにして走行することが、ある程度の低速なら可能だろう、と私は書いていたのだ。しかし、その後鉄道関係者と情報交換を重ねる中で、これはとんでもない誤解だと思い知らされた。脱線を感知した場合は、トンネル内であれどこであれ、ただちに停止するのが鉄則。脱線した車輪を引きずったまま走るなど論外なのだという。そんなことをすれば、脱線した車輪に引っ張られるような形で他の車輪も脱線し、編成全体が転覆、横転してしまうことも十分にあり得る。転覆してしまえば、乗客の脱出は困難を極める。今回の事故は「トンネル内での脱線」「火災発生」という二重の不運が重なってしまったのだ。実際のところ鉄道会社は、「トンネル内での脱線・火災発生」という想定はまったくしておらず、対策もないのだという。今回死者が出なかったことは、やはり奇跡に近い。(6月3日)





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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
ひどい焼け方ですね、死者が出なくて本当によかった。
Ajtnk
2011/05/29 14:25
事故原因の究明と再発防止は徹底的にやっていただきたいものです
Granpark407
2011/05/29 14:27
お見受けしたところ鉄道にもお詳しいようですね、
Anaanalatte
2011/05/29 17:53
はじめまして、北陸トンネルの教訓が活きていない点をいち早く指摘されていることに敬服いたします。
燃料を搭載している点で電車と比べて明らかに条件が不利なわけですから、トンネル内で止めるべきではなかったと思います。
ドライバーだってトンネル内で故障車普通停めないですよ。なんか理解しにくい事故でした
たかはし
2011/05/30 00:13
黒く焼け焦げた
スーパーおおぞら14号
永江聡
2011/05/30 08:16
トンネル内での停止を指摘及び非難されている方がいるようですけど、私は妥当な判断だったと考えます。列車後方に搭乗していた車掌が異常な振動に気付き脱線の可能性を考え停止命令を出したそうですが、実際に列車が停止した時点で四両目はプロペラシャフトの脱落、五両目は脱線しており無理に運転を続ければ車両が転覆し大惨事を引き起こした可能性が有りました。北陸トンネル事故の時は『火災を起こし炎上しているが自走可能、しかしマニュアルに従い停車』、今回の事故は『自走不可で偶々トンネル内で停車した後に火災を確認』という様に状況が違うのに一緒にして論評するのは如何と思いました。
元タイヤ屋
2011/06/02 23:54
>元タイヤ屋さん
 おっしゃる通りだと思います。本稿には、知識不足による誤解に基づいた部分がありましたので、追記でフォローしておきました。コメントありがとうございました。
海ラジ
2011/06/03 19:07

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