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zoom RSS 「買って使いこなす」ではなく「買うこと」そのものが目的のFX調達

<<   作成日時 : 2011/11/15 23:00   >>

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画像 航空自衛隊が進める次期主力戦闘機(F-X)調達計画について、軍事ジャーナリストの清谷信一氏がけさの朝日新聞に寄稿して、「F-35を選べば事実上ライセンス生産ができず、戦闘機の開発生産基盤を維持できない」と述べていた。F-Xは、現用のF-4戦闘機の退役に伴う新規調達計画で、アメリカのF-35、FA-18、ヨーロッパのユーロファイターの3機種の候補の中から今年中に決定されるが、F-35を本命視する見方が多い。

 清谷氏はブログやWEB RONZAなどへの寄稿を通じて、ロッキード・マーチン製F-35本命視で進むF-X計画を一貫して批判している。理由は、F-35を採用した場合にその機密性の高さから日本への技術移転がほとんど期待できず、国内の航空産業がノウハウを蓄積できないこと、F-35の機体価格やメンテナンスコストはメーカーがPRするよりもはるかに高くなる可能性が高く、限られた予算では必要な機数を確保できないこと、などだ。国内の防衛産業を育成する観点から、F-Xはユーロファイターを選択するのが日本の国情に最もふさわしいと清谷氏は述べている。

 その通りだと思う。技術的、軍事的、経済的合理性を突き詰めれば、現時点ではユーロファイター以外に選択肢はないだろう。だが、おそらく防衛省・航空自衛隊は、F-35を選択するだろう。理由は、戦闘機を「買って使いこなす」ではなく、「買うこと」そのものが、F-X調達の目的だからだ。

 自衛隊が戦闘機を調達する目的は、高い能力を持つ兵器を備えて防衛力を高めると同時に、外国産の機体を日本でライセンス生産することで、国内の重工メーカーとその下に連なる数々の下請けメーカーに仕事を与えて技術力を高め、航空機生産の地力を培うことも大きな目的とされてきた。初代主力戦闘機であるF-104(ロッキード)も、現用のF-4EJ(マクドネルダグラス)も、F-15EJ(マクドネルダグラス・ボーイング)も、最初に完成機を輸入した後はライセンス契約にもとづいて、三菱重工などが生産してきた。

画像 ところが、F-XにF-35が選定されると、このライセンス生産は不可能だ。アメリカは、イギリスに機体の最終組立を認めた以外、ライセンス生産を一切認めていない。ロッキード・マーチン社は日本向けセールスの中でエンジン製造や機体の最終組み立てを日本に認める提案をしたらしいが、前述の清谷氏は「これも嘘でしょう。控えめにいっても事実からは百万光年ぐらい遠い話」と厳しい見方を示している。理由は、F-35の国際共同参加国のイタリアでさえ、組み立て工場にはアメリカ人が駐在し、機密部分の生産はイタリア人を締め出して行われているからだという。「日本にアッセンブリー生産が許されたとしても、イタリアより優遇されることはありません。仕事量は更に下がるでしょう。アメリカ人の滞在費用や専用ハンガーの負担は我が国もちでしょう。結果生産コストが跳ね上がるだけで、我が国の産業界には殆どメリットがありません。単にコストを上げるだけです」(清谷氏)。さらに、機体の調達価格について、ロッキード・マーチン側が「1機6500万ドル(約50億円)程度」との見通しを示している点も、「開発パートナー各国の調達価格よりもお安くしますというのですから疑わない方がおかしい」と清谷氏。エンジンやアビオニクスを除いた、ドンガラだけの価格ではないかという。仮にその価格で調達できたとしたら、ベラボーな整備維持費を請求されるだろうと清谷氏は予測する。整備には専用格納庫が用意され、アメリカ人が派遣され、日本人は立ち入り禁止にされ、その費用はすべて日本の負担だろう、と。維持費の高騰に根を上げ、40機の計画が10機程度で調達打ち切りとなるのではないか、と。言われてみたら、そうだろうな、と思う。

画像 そして、これも多くの人が指摘していることだが、F-35は未だ開発中の機体で、実戦配備されていない。開発の遅れは米国議会でもたびたび問題にされている。米軍で作戦能力を獲得するのは2017年度の予定で、その後F-35の採用を決定している各国に引き渡されるが、スケジュールはまったく未定だ。日本が今からF-35購入を決定しても、配備されるのはどんなに早くても2020年以後で、航空自衛隊が納入期限とする2017年3月までの初号機納入には到底間に合わない。耐用年数が迫っているF-4約60機が予定どおり退役してしまえば、F-Xが実戦配備されるまでの数年間、日本の防空網の一部に穴が開いてしまうことになる。それでも構わない、あるいはF-4の延命でなんとかなるという話であれば、最初からF-Xなど必要ないということになる。

 F-35の導入には日本にとってこれだけの無理があるわけだが、それも防衛省・自衛隊はF-XとしてF-35を選定すると思う。彼らは、アメリカと同じモノを買うこと、世界最高性能とされるものを手に入れること、それしか頭にないのだ。戦闘機の生産を通じて防衛産業を育成しようという考えも、必要な機数をそろえて防衛力を維持しようという発想も、ない。清谷氏は「単に新しい玩具が欲しいだけ」「親分の米空軍と同じおもちゃが欲しいということにつきます」と酷評をきわめるが、その通りだと思う。

 情けないのは、こういう税金の使い方をチェックして批判できない日本の主要メディアである。

次期戦闘機(FX)選定 透明性をどう確保する
 中日新聞が、F-35本命で進むF-X選定を批判的に分析した社説を掲載していたが、こういう論評が日本の主要メディアではあまりに少ない。

空自のFX機種選定、ユーロファイターを正当に評価すべきだ
 産経新聞に掲載された記事。対米従属保守が信条の同紙にしては珍しく、ユーロファイターを強く推す内容になっている。










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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
F-35は低率初期生産に入ってます
トランシェ3Aは生産される事になってますが
欧州経済危機で調達数減少は確定的です
F-X候補のトランシェ3Bは未完成です
肝のAESAレーダーも未完成です
欧州の経済危機で開発予算がピンチです
という訳でFA18が最有力となります
名無し
2011/11/18 23:08

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