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zoom RSS 高速バスには運転支援装置の義務化が必要だ

<<   作成日時 : 2012/04/29 23:00   >>

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画像 鉄道や航空機に比べて、道路交通の事故防止対策は遅れていると常々思っていた。鉄道では当たり前の居眠り防止装置や自動停止装置、航空機では当たり前の自動運転装置の装備が、自動車交通ではまったく進んでいない。有効な技術が開発され、安価に実用化されているにもかかわらず、である。

 関越自動車道できょう未明に起きたバス事故。7人死亡という、この十年ほどでは記憶にない大惨事になってしまった。第一報を聞いた段階で、これは居眠り運転が原因だろうと思ったが案の定、警察の調べに対して「居眠りをしていた」と運転手が話していることを、各メディアが報じている。現場の写真や映像は衝撃的だ。左側に設置されていた防音壁に真っ正面から突っ込んでいて、鉄製の壁がバスに突き刺さっている。衝撃をまともに受けた人は即死、遺体の損傷も激しかったであろうことは容易に想像できる。

鉄道に比べはるかにゆるいバスの運行基準
画像 報道によれば、事故を起こした43歳の運転手は、27日午後9時20分からから28日午前8時にかけて、東京ディズニーランドから石川県金沢駅まで10時間40分の乗務。約8時間半の休憩の後、同日午後10時10分に金沢駅を出発、往路と逆の行程をたどり、約10時間後の午前8時ごろに東京ディズニーランドに到着する予定だったという。Google Mapで調べたところ、東京ディズニーランドから新宿駅・富山県高岡駅を経由して金沢駅までの距離は、およそ515キロだ。国交省の指針では、乗務区間670キロまでは運転手交替が必要なく、今回も一人乗務で問題ない行路だと、旅行会社もバス会社も認識していたようだ。
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 厳しい行程だ、とまず思う。たとえそれが、国の指針の範囲内であったとしても、である。500キロを超える道のりをたった一人で、深夜に10時間以上も連続して、それも大勢の乗客を乗せて走るというのは、普通の感覚からすれば想像しがたいくらいの苦行ではないだろうか。しかも、到着地での休憩・仮眠はわずか8時間半。体内時計が覚醒に向かう昼間の時間帯に十分な睡眠が取れるとは考えられず、寝不足・疲労困憊のまま帰りの乗務に入って行ったことだろう。バス会社は、2時間ごとに休憩を取るようにと指導していたとされるが、その休憩の中身まではわからない。バスを止め、トイレに行ったりタバコを吸う程度ではほとんど休憩にはならない。これでも国の指針の範囲内だというのだから、国の基準は大アマだと思う。

 鉄道会社の友人に問い合わせてみたのだが、鉄道の場合、連続乗務の上限は6時間、または220キロ(新幹線など例外あり)の少ない方。深夜帯(午後10時〜午前5時)が2時間以上含まれる場合は4時間半が上限だそうだ。もちろん、こういう規定は鉄道会社によってもバラつきはあるだろうが、大勢の命を預かって運転するという点では同じなのに、バスは鉄道よりはるかに過酷な労働が許されているか、という傾向はわかると思う。鉄道には、居眠りを感知する装置(一定時間ブレーキやマスコンの操作がないと警告音が鳴り、それにも反応しない場合は自動停止する)や信号を見落とした場合の自動停止装置(ATS)など、バスとは比べものにならない安全装置を備えているのに、なおかつ乗務時間制限も厳しいのだ。

運転支援装置があれば事故は劇的に減らせるはず
画像 それにしても思うのは、バスに最新の運転支援装備が搭載されていれば、事故は防げたか、被害を相当軽減できたのに、ということだ。たとえば、速度を一定に保ちつつも、先行車との車間距離に応じて速度を自動調整できるアダプティブクルーズコントロール(ACC)。高級乗用車には10年以上も前から搭載されいている装備だが、最近はいすゞGALAのように、大型バスにも採用例が出てきた(右図)。ACCがあれば、高速道路走行時にアクセルペダルで速度や車間距離を調整する必要がなくなり、運転手のワークロード(労働負荷)が大幅に軽減される。ワークロードが軽減されるということは、それだけ安全性の向上につながるのだ。ACCには、先行車との車間距離が詰まりすぎたときに警告したり、衝突が避けられない場合は自動緊急ブレーキを作動させる機能を持つものもあり、事故時の被害軽減も図ることができる。

 また、カメラで道路上の車線を監視し、居眠りによるふらつきや車線逸脱を警告する装置もかなり前から実用化されていて、一部の乗用車には搭載されている。(技術的には車線を認識して自動操舵することも可能だが、国交省が認めない) 目の動きをカメラで監視して居眠りの兆候をとらえる装置も実用化されつつあるし、一定時間ハンドル操作がなければ居眠りや漫然運転とみなして警告を出すような仕組みなら、すぐにでも搭載可能だろう。この種の運転支援装置は価格の高い高級乗用車にしか装備されないのが昔からの傾向だが、乗用車とは比べものにならない過酷な走行を強いられるトラックやバスにこそ、搭載されるべきだ。こういう運転支援装置があれば、居眠り運転事故は劇的に減るはずである。

 大型車の事故は、乗客に多くの犠牲を出してしまうことはもちろん、追突などの場合は周囲の車両も巻き込んで甚大な被害を出してしまう点でも、乗用車の事故よりもはるかに深刻だ。事故を減らすためには、規制の強化ももちろんだが、アダプティブクルーズコントロールや車線逸脱監視などの運転支援システムの装備を、少なくとも高速道路で営業運行するバスに関しては、義務化するべきだと思う。装備を搭載した新車に買い替えることはバス会社にとっては大きな負担であろうが、5〜10年の移行期間を設けたり、搭載車の高速料金を割引くなど政策的なインセンティブを導入すれば、できないことはないと思う。

 どんなに休息を取っている運転手でも、深夜の長距離運転では居眠りに陥る可能性が常にあるし、心筋梗塞などで意識不明になる可能性だってある。これは繰り返し述べていることだが、運転手に万が一(居眠りを含む)のことが起きたときに、致命的な事態にならないようにするための技術的バックアップを、早急に義務化すべきである。



【追記】
 こちらのブログでも、同様の趣旨のことが述べられており、「居眠り運転を客が気付いて声をかけていれば事故は起こらなかったのでは」と書かれている。安全確保のためには、乗客も同乗者として協力する必要がある、ということだろう。飛行機でも、非常口横の座席の乗客には緊急時の脱出援助が求められるのと同じように、最前列の乗客は運転手の挙動に注意して下さい、と呼びかける方法もアリかも知れない、と思った。
GWに死者7人を出した関越道のバス事故、居眠り警報装置を法令化すべきだ
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