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zoom RSS 「尖閣は係争地ではない」と中国が言い出したらどうなるか?

<<   作成日時 : 2013/01/20 22:00   >>

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画像 きのうも書いたが、中国に出かけた鳩山由紀夫元総理が北京で中国高官と会談した際に「尖閣は係争地である」と発言したことが、猛烈な批判を浴びている。

 鳩山に非があるとすれば、元総理という立場でありながらその影響、特に中国でそういう発言をすることの意味を深く考えずに、政府見解と異なる意見を述べたこと、この一点のみであろう。日本政府は「尖閣に領土問題は存在せず」したがって「尖閣は係争地ではない」という立場で一貫している。民主党政権時代も、安倍政権になってからも、それは変わらない。

 けれども、この政府の立場そのものが、臭いものにフタ式のご都合主義、ウソのカタマリではないかと私は思う。

画像 中国の公船や航空機が頻繁に領海・領空を侵犯する。巡視船や自衛隊機が、それを追っ払う。一方で、島での根拠地建設や公務員の常駐は「中国への配慮」として行って来なかった。これが領土問題ではなくて何なのか? と思う。

 現在に至る尖閣問題の出発点は、1972年の日中国交回復における、田中角栄と周恩来とのやり取りだ。このとき「魚釣島主権の帰属問題を一時棚上げにし、子孫に残して解決させることに一致合意した」、つまり田中角栄は領土問題の存在を認めた、というのが中国側の主張だ。一方日本側は「そんな合意はしていない」と主張している。元々日本の領土なのだから、棚上げなどやりようがない、ということだろう。しかし、田中・周の会談記録によれば田中は「具体的問題については小異を捨てて、大同につくという周総理の考えに同調する」と述べ、実質的に棚上げ提案を了承しているのである(孫崎亨「日本の国境問題」ちくま新書2012)。実際それ以後、中国は尖閣が日本の支配下にあることを暗に認める代わりに、日本は尖閣に構造物を作らず無人島のままにする、ということが続いてきた。国民向けの説明とは裏腹に、日本政府が尖閣を「係争地」であると事実上認めていたからだ。中国は尖閣付近に漁民を出漁させない、日本はたとえ中国漁民が「日本水域」に入ってきても取り締まらずに追い返すだけ、という暗黙の申し送り事項が海保にあったことは、前にも紹介した通りである。

 「領土問題は存在しない」などと国民にウソをつくのは、いい加減やめたらどうか。

画像 それに、いつも思うのは、「係争地ではない」「国内法に則って粛々と」という日本政府の態度と同じことを中国がやったらどういうことになるか、ということである。「魚釣諸島は中国領であり、領土問題は存在しない」「魚釣島に関する事案は、中国国内法に則って対応する」。尖閣周辺に展開する日本の巡視船や漁船を中国公船が「国内法に基づき」実力行使含みで追い払い、中国警察や中国軍が「国内法に基づき」尖閣に上陸し、実行支配を始めたらどうなるか。自分と同じことを相手がやってきた場合を常に考慮に入れておくのは、外交の基本セオリーだろう。だったら戦端を開け、と威勢の良いことを言う人たちは、それで日本がどれほどのダメージを負うか、どれだけの血を流すのか、本気で考えたことがあるだろうか。いまは中国が若干オトナだから、そこまでやらないだけである。

 ついでに書いておけば、中国と戦争をしたがる多くの人がアテにしているアメリカは、日本を助けてはくれない。日米安全保障条約は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合に、「自国の憲法の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動する」と定めている(第5条)にすぎない。尖閣を中国が実行支配し始めた時点で日本の施政下ではなくなるから、この条文は適用されない。屁理屈のように聞こえるが、アメリカのアメリカの安全補償分野で主流を占めるリアリストの考え方だと、前記の孫崎氏は分析している。また、「憲法の規定及び手続きに従って」という部分は大統領が中国との開戦を議会に諮ることを意味しており、議会の承認がなければ米軍は中国を攻撃できない。「締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意」し、「その必要と認める行動(兵力の使用を含む)を直ちに執る」と定めている北大西洋条約とは、大きな隔たりがある。そして、最大の経済的パートナーである中国を敵に回し、日本のためにアメリカが中国と戦うことを米国議会が承認する、などと考えるのはあまりにも身勝手で世間知らずである。

 領土問題は古今東西、世界中で紛争のタネであり、ときには膨大な血を流す事態にも発展した。領土問題を、お互いが納得するような円満な解決に導くことは至難の業である。であるなら、問題の解決は将来にゆだね、現状で流血沙汰、武力衝突にならない枠組みを構築すべきである(この考えも孫崎氏の受け売りだが)。尖閣国有化に端を発する中国での暴動事件などを見るに付け、日本は「領土問題を流血沙汰に発展させない」枠組みを作ることにも、成功しているようには見えない。

 まずは、尖閣を係争地と位置づけた上で、将来を考えるべできではないのか。その意味で、北京での鳩山発言が四面楚歌の非難に値するとまでは、私は思わない。





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