旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記

アクセスカウンタ

zoom RSS SAPICAとKitaca・・・札幌方式とJR方式の深い溝

<<   作成日時 : 2013/06/23 23:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 1

画像 この週末、私の地元の札幌市では、市営交通のICカード「Sapica」の利用範囲が拡大されることが大きなニュースだったようだ。Sapicaとは、2009年1月から利用が始まったIC乗車券で、使い方はJR東日本のSuicaなどと基本的に同じ。改札機にピッと触れるだけで運賃を精算できる。後述する様々な事情からこれまで市営地下鉄でしか使えなかったSapicaだが、6月22日(土)からはバスや市電でも使えるようになる。さらに、JR北海道のKitaca(2008年10月供用開始)やSuica、その他の鉄道系ICカードでも札幌の地下鉄・バス・電車に乗れるようになる。Sapicaの利便性が大幅に上がるというので、札幌市民にとっては大きなニュースというわけだ。

 ただ、導入以来の懸案とされていた、市営交通のSapicaとJRのKitacaとの相互利用は、市営交通でKitacaを使用できるという片道利用のみ。SapicaでJRに乗ることは、相変わらずできない。地元メディアとしてはここが大きな突込みどころらしく、21日(金)夕方、仕事で一瞬道内に立ち寄った際にテレビをチラ見したら、HBC北海道放送のニュースで、SapicaとKitacaが相互利用できないワケを根掘り葉掘りネチネチと掘り下げていた。

■SapicaとKitacaはまったく出自の異なるシステム
画像 ここに1枚のICカードがある(写真)。名称は「SMAPカード」。アイドルグループの名前と同じだけど、正式名称を「Sapporo Multi Access Port カード」という。私は市民モニターとして実際にカードを使っていたので、手元にこうしてカードが残っているのだが、このSMAPカードこそが、IC乗車券「Sapica」の前身、というか原型なのである。今となっては知る人も少ないと思うが、1999年から2004年にかけて実質5年弱、このカードによる実証実験が行われていたのだ。使い方は、現在のSapicaとほぼ同じ。事前にチャージしておき、改札機にピッとタッチして料金を精算した。利用運賃に応じてポイントがたまり、乗車券に自動交換される仕組みは今のSapicaとまったく同じだ。さらに、自動販売機などで利用できる電子マネー機能も搭載されていた。

画像 「マルチアクセスポート」という名前が示すように、札幌市はこのカードを、市民全員が持つIDカードのように位置づけ、IC乗車券としてだけではなく、役所で住民票を取る時とか、市立図書館での貸出カードとしてとか、行政サービス全般に使用できるカードとして考えていたらしい。このため、ベースのプラットフォームはJRのSuica系と同じFeliCaを使用しているものの、通信方式はSuicaとは異なるものが採用され、開発が進んだそうだ。開発に当たっては、自治体の行政サービスの研究として、総務省が補助金を出した。Suicaの方式をFeliCa Ver.Aと仮称するなら、札幌方式はVer.B。双方に互換性がまったくないわけではないが、SuicaとPASMOのように同じVer.Aに乗っているICカードよりはハードルが高い。

 こうして開発されたSMAPだが、実証実験は2004年には終了し、その後SAPICAとして2009年にサービスが始まるまでに、どうして5年もかかったのかは、よくわからない。

画像 ただ言えるのは、SAPICAはJR系のSuicaとはまったく出自が異なるシステムであるということ。開発段階で、JR系との互換性はまったく考えられていなかったこと、と言うより1999年の段階では、JR東日本のSuicaすら正式サービスとしてスタートしておらず、北海道にSuicaが入ってくるかどうかなどまったく見通せない状況だった。Suica系とSAPICAがどうして相互利用できないんだ? という批判はこれまでもよく聞いてきたが、生い立ちが違うからシステムが違う、としか言いようがない。JR北海道のKitacaは、JRグループとして当然、Suicaと共通のシステムを採用できた。が、既に独自開発したシステムを持っていた札幌市がSuica方式に乗るという選択肢はなかった。もっと言えば、総務省がカネを出した札幌方式と国交省主導のSuica方式が、簡単に折り合うはずがない。利用者からすれば、縄張り意識だけが先行して、なんちゅう利用者無視だ・・・ということになるだろうが、そうなったのにはそれなりの理由が、あるにはある。

 であるなら、SMAPカードとして完成していたシステムをとっとと2004〜2005年くらいに正式サービスに移行すればよかったものを、何をグズグズしていたのだろう。2000年代前半、JR北海道はIC乗車券の導入はどちらかと言うと否定的(「ウチのような利用規模では割に合いませんねぇ」と社長が言っていた)だった時期なので、その頃にスタートしていれば、JRに対する優位性をアピールすることもできたはずだ。まさか、カードの名称をめぐって某事務所とモメた、ということでもないだろうに。

●JRは札幌市に相互利用を持ちかけたと言うが・・・
 札幌市交通局がIC乗車券導入の本格的な検討を始めた時、利用者の利便を考えて方式を共通にしよう、と持ちかけたのはJRだったそうだ。しかし、JRグループには、ICカードの巨人「Suica」(JR東日本)があり、システム開発費の節約や、東京から飛来して新千歳空港駅を利用する人たちの利便性を考えれば、Suicaベースのシステムを採用するのが当然の選択だった。「方式を共通にしよう」というのは、札幌市に対し「Suica方式を採用せよ」と求めるに等しいのだが、上に書いたように、札幌市にはそうできない事情があった。Suica方式をSapicaに採用してしまえば、国の予算で行った実証実験がすべて無駄になってしまう。SMAPで得られたノウハウを生かすためには、Suicaと方式を共通にできない札幌市の事情も、それはそれであったのだった。

●SAPICAのキモはポイント自動割引とバスの乗り継ぎ割り引き
 ・・・とここまで書くと、利用者の事情を無視して独自方式にこだわった札幌市が悪いように聞こえてしまうが、よく調べると、それはそれで、事実と違う。

 まず、札幌市のSAPICAには、Kitacaには無い機能が搭載される。その一つが、ポイントの付与と自動割引システム。これは、現在プリペイド式の磁気カード(With Youカード)で行われている割引をそのまま引き継ぐもので、乗車1回につき、10%がポイントとしてカードに蓄積される。200円なら20円。そして、乗車料金に相当するポイント(最短で200p)が貯まると、自動でポイントが支払に充当される。簡単に言うと、10回のると11回目がタダになりますよ、というもの。随分大盤振る舞いなポイント付与だが、実はこのポイント率、プリペイドカードの「With You カード」とまったく同じ。経営難の札幌市交通局が運賃を野放図に値上げした挙句に、プリペイドカードの販売促進にと10%もの大幅なプレミアム(1万円券は15%)のが始まりだから、今さらやめるわけには行かないということなのだろう。

 Suica方式にはこういう機能が無いし、そもそも、もともとの運賃が札幌市営地下鉄なんかよりずっと安いのだから、それにポイントを付けて割引するなんていう考え方が、SuicaやPASMOにはない。プリペイドカードに付与されるプレミアムがICカードでは付与されない、では誰もICは利用しないから、市営交通でICカード乗車券を導入するためには、自動ポイントシステムは、はずせない条件だったのだ。


●Spica・Kitacaの2枚重ねはNG
画像 KitacaやSuicaを市営地下鉄などで使えるようにするため、札幌市は地下鉄34駅の改札機すべてを、5億円をかけて改修したのだそうだ。SAPICAとSuica系、異なる二つの通信方式に対応するためである。今後、SapicaをJRなどで使えるようにするためには、同じ規模の改修が必要になるだろう。JR北海道でIC乗車券に対応する駅は55駅と、札幌市営地下鉄の倍近いから、改修費用は10億円近くになると予想される。JR北海道がそれだけの費用をかけてSapica利用者の利便性を図るとは考えづらく、Sapicaが札幌市でしか使えないという状態は、当分続くものと思われる。

 ところで、札幌市交通局がKitacaやSuicaなどに対応したことで、ちょっと面倒なことが起きているようだ。財布やパスケースにSapicaとKitaca(Suica等)を2枚重ねて入れておくと、読み取りエラーで改札機が閉じてしまうのである。これまで、市営地下鉄の改札機はSapicaにしか対応していなかったため、通信方式の違うKitaca等は無視されてエラーは起きなかったのだが、今後はSapicaとKitacaの両方を認識するために片方がエラーになるのである。男性が持つような長財布なら、2枚が重ならないように収納しておくことも可能だが、小型の財布やパスケースだと、確実に干渉してしまう。

 こうなると、JRと地下鉄の両方を使う人はやはり不便だ。Kitaca1枚でも用は足りるが、地下鉄に乗るときはSapicaには付く10%のポイントをそのまま捨てることになってしまう。かと言って、特に女性の場合、パスケースを2つ持ったり、いちいち財布から出して改札機にタッチしなくてはならないのでは、ICカードの利便性が台無しになる。

●札幌ならではのSAPICAメリットをどれだけ出せるか
画像 SAPICAとKitacaの完全相互利用が今後しばらくはメドが立たないのだとすれば、札幌市は地下鉄や電車・バス利用だけではない、SAPICAの用途をどんどん開発し、SAPICAを持つメリットを増やして行くしか方法がないだろうと思う。当初構想されていたように、図書館の利用カードとか、市営施設の利用カードとしての使い方が、まずあるだろう。今後発行される納税者共通番号(マイナンバー)カードと一体化する方法もアリだと思う(共通番号制度そのものには、情報漏洩の懸念などいろいろ不安材料があるにしても)。SAPICA自体が「持っていると便利」から「札幌市民なら持ってないと不便」くらいのカードになって行けば、Suica系とSAPICAを2枚持つ不便さにも、それほど不平不満が出ないのではないだろうか。

 SAPICAとKitaca(Suica)、一つの地域に二つの交通系ICカードが併存せざるを得ないようになった現状について、「札幌が独自方式にこだわったから」とマイナスでとらえられることのないように、してもらいたいものだと思う。






Ocean Radio@2013

@oceanicradioをフォロー



写真日記 ブログランキングへ

◆旅するデジカメ on Twitter






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
よくまとまった記事でありがたいです。

いろんな事情があるもんだなと思いましたし、
「札幌Suicaエリア」と名称がなっている不思議も
やっと意味がわかりました。他地域と違い2重対応
だからなんですね。

それにしてもスマップカード、懐かしいですね。
当時の連れがモニターに当たって、得意そうに
地下鉄駅の自販機でタッチでジュースを買って
いたのを思い出しました(^^)。
けろ
2014/02/03 05:07

コメントする help

ニックネーム
本 文
SAPICAとKitaca・・・札幌方式とJR方式の深い溝 旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる