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zoom RSS JALがA350を導入・・・もはやボーイングは「時代遅れ」か?

<<   作成日時 : 2013/10/09 23:00   >>

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画像 おととい発表された、JALのエアバスA350購入のニュースには、正直驚いた。何かにつけてアメリカのご機嫌を取りたい政府の意向もはたらいて、「国営企業」がルーツの「日本航空」がエアバス社の旅客機を購入する可能性はかなり低いだろうと、私は見ていたからだ。企業活動の経済的合理性よりも国のメンツが優先し、JALはそっち(メンツ)を取るだろうと考えていたのだ。ところが、一転してのエアバス製の大型機の大量導入。国の顔色を気にすることなく、自社の利益を最優先できる「まともな企業」にJALもようやくなったか、と思う。

 発表によれば、現在使用中の大型双発機ボーイング777の後継として、エアバス社の大型双発機A350を、31機(オプション25機を含めると最大56機)を導入する。引渡し開始は2019年。欧州各国が共同で設立したエアバス社は、JALが長年旅客機を買ってきたアメリカ・ボーイング社の最大のライバルだ。


■A350導入は「至極真っ当」な選択だ
画像 けれども冷静に考えてみれば、A350の導入は企業としてごく当然の選択、と言うよりも、B777の後継機を考えたとき、A350しか選択肢がなかったと言うべきではないだろうか。JALは、B777の次世代版となる777Xを選択する理由をあれこれ検討したが決め手に欠き、消去法としてA350に決めた、というのが真相ではないかと私は思う。

画像 JALは現在、国内線で22機、国際線で24機のB777を保有・運航している。このうち、国内線で使われているB777-200と-300の多くは1990年代後半に引き渡しを受けたもので、約20年程度(離着陸が頻繁な国内線の場合)とされる旅客機の寿命からすると、遅くとも2020年には後継機とのバトンタッチが始まらなくてはならない。3クラスで300〜365席の収容力がある旅客機となると、ボーイングが開発を発表している777X(現在の777より若干大型になる予定)か、エアバスのA350(314〜350席/3クラス)しか選択肢がない。

 ところがB777Xは、開発が発表されてはいるものの、ルフトハンザ航空が34機を発注しただけで、まだ正式にプログラムローンチ(具体的な開発に着手すること)されていない。ボーイングは「2010年代後半の就航を目指す」と表明してはいるものの、開発に時間がかかれば2020年には間に合わず、B777を置き換える機材がなくなってしまう。老朽機材をだましだまし飛ばすような綱渡りに陥るだろう。B787の引き渡しが3年半も遅れた「前科」を考えると、開発遅延は常に考慮に入れておくべきリスク要因だ。一方のA350は、今年6月に初飛行が成功し、開発はほぼスケジュール通りに進んでいる。飛行試験が順調に進めば来年には初号機がエアラインに引き渡され、営業運航が始まる見通しだ。多少の遅れがあったにしても、JALがA350を受領する2019年には世界各地で運用実績が積み上げられ、不具合が改善されて「完成された」飛行機になっていることが期待できる。

 現用のB777の退役開始期限である2020年を起点に逆算すると、A350しか選択肢はなかったのである。

 もちろんボーイングは、777Xが完成して引き渡しできるようになるまでの間、老朽化したB777の置換用に現行のB777の新造機を格安で提供する、といったような折衷案(B787の引き渡しが遅れている間、B767-300ERの新造機が提供された先例がある)を出したであろうが、エアバスの提案の方がトータルで勝っていたということだ。また、B787と同様に複合材を多用したA350は、キャビンの気圧を従来より高くすることができ、乗客乗員の快適性も向上する。この点も、777の改良型にすぎない777Xにはない特徴だ。

■オプション25機の一部がA380に変更される可能性
 ところで気になるのが、A350の座席数とJALが運行する路線との兼ね合いだ。今回JALが発注したA350は、標準型のA350-900(18機)と長胴方のA350-1000(13機)の2タイプ。座席数は、-900が314席、-1000が350席だ(3クラス/メーカー標準)。オールエコノミーにした場合は座席数が4割増程度になるので、国内線で運航する場合は、-900が440席、490席程度になるだろう。現行のB777の国内線仕様が、-200が375席(F/J/Y 3クラス)、-300が500席(J/Y 2クラス)であるのを見ると、A350-1000はB777-300より少し小さい。国際線はファース・ビジネスクラスを広々と取るので標準座席数と単純な比較はできない(JALのB777-300ERの場合、標準仕様の3クラス365席に対し232〜272席しかない)が、A350-1000を導入した場合、輸送力が今より小さくなるのは間違いないだろう。

 この選択が、「もう国内線に500席級の機体はいらない。長距離国際線も4クラスで200席程度あれば十分」ということなのか、「高需要路線向けにもっと大きな機材も保有しておきたいが、適当な機材がない」ということなのかは、外部からは容易に推測ができない。だが、羽田〜新千歳を飛ぶB777-300が、夏休みや連休、年末年始などには満席続出であること、成田からパリやフランクフルト、バンコク、ロサンゼルスなどにA380を就航させている外国エアラインがある、つまり、それだけの需要があること、スカイマークがA380による長距離国際線進出を決定していること、などからJALのホンネは後者、「もっと大きな機材を持てるなら導入したい」ではないかと私は思う。

画像 そう考えると、現在オプション契約となっている25機のA350のうち、何機かがA380に振り替えられ、JALがA380を導入する可能性が、私はあると思う。むしろ、今回のA350購入契約自体が、将来のA380購入を強く意識したものと見ることもできるのではないだろうか。

 エアバス機は、小型機のA320から超大型機のA380まで、コクピットや整備方式などの仕様の多くが共通化されているのがセールスポイントで、エアバス機どうしであればパイロットや整備士を短期間で移行させることができる。A350導入のために乗員や整備士を養成しておけば、A380導入に際してもスムーズに移行できるのだ(A350からA380への移行にようする期間は、5訓練日とされる)。将来のA380導入も視野に、エアバス機のノウハウ獲得のために、現用機と同規模の機体からまず始める狙いがある、という見方は飛躍しすぎだろうか。

 さらに言えば、3年前に一度倒産し、税金投入で助けてもらったエアラインが、その記憶も冷めやらぬうちに世界最大の超大型機を買う、ということになれば、さすがに世間の風当たりが強いが、耐用年数が迫るB777の後継となる機材を買うということならそれほど反発も受けないだろう、そういう思惑すらあったのではないだろうか。

■ANAのB777後継機はどうなる?
画像 そして、JALがA350の購入を決めたことで、がぜん気になってくるのがANAの動向だ。B777の後継機を早く決めなくてはならないのは、同時期にB777を導入を決めたANAも同じだ。そして、B777の退役開始リミットである2020年ごろから逆算すれば、A350しか選択肢がない事情は、ANAにとっても変わらない。

 だが、日本の大型機市場をエアバスに独占されてなるものか、とボーイングが猛然と攻勢をかけてくることも、これまた間違いないだろう。特にANAは、B787のキックオフカスタマーであるというよしみもあるから、777X採用のためにJALより有利な条件を出して来ることはあるだろう。B777を使っていた日本の2大キャリアが、そろって後継機にエアバスを選択したのではさすがにアメリカに示しがつかないと、政治的力学がはたらく可能性も、大いにある(*)。それならそれで、日本の空をエアバスとボーイングの次世代機がそろって飛ぶのも、飛行機好きとしては楽しそうだ。

*なんといっても、某自民党政治家(故人)の意向を受けてDC-10の発注をキャンセルし、ロッキード製トライスターを導入した前科があるのが、ANAである。

 どこの国でもそうだが、そのエアラインが保有する最も大きい、または最も新しい機材は、エアラインのシンボルとして、広告塔として、単なる輸送手段を超える意味を持つ。JALやANAでかつてその地位にあったのはB747であり、現在はB777でありB787だ。そしてJALは、2020年代の新たなシンボルとしてヨーロッパ製のA350を選んだ。ANAの次世代機の選定は、ヨーロッパとアメリカのメンツのぶつかり合いでもあると言える。【つづく

【東洋経済オンライン】だからJALはエアバスに乗り替えた





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