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zoom RSS JALはA380を導入すると考えるワケ

<<   作成日時 : 2013/10/15 21:57   >>

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画像 JALはそう遠くない将来、A380を導入するだろうと思う。評論家や日本のヒコーキ好きの間では「21世紀最大の論争」のネタとも言って良い熱いトピックで、「導入しないだろう」「するだろう」と喧々諤々のやりとりが交わされてきたが、現時点で私は「する」と思う。2020年ごろの世界の空、JALの路線網を予想すると、そういう答えになる。そう考える理由、こないだ書いたこととも重複するが、記しておきたい。

■高需要国際線はA380ではないと勝負できない
画像 理由の第一は、国際線の基幹路線に旺盛な需要があり、競合他社がA380を導入している点である。A380は現在、成田発着のパリ(エールフランス)、フランクフルト(ルフトハンザ)、バンコク(タイ航空)、シンガポール・ロサンゼルス(シンガポール航空)線に就航している。また来年秋にはスカイマークが、A380で成田〜ニューヨークに就航予定だ。各社ともA380の座席数は3〜4クラスで500席前後(スカイマークはC/PY2クラスで400席弱になる予定)。東京とこれらの都市を結ぶ路線はそれだけ移動需要の多い「太い路線」だということだ。

画像 ここにJALが投入しているのは、232〜272席のB777-300ERや227〜237席のB767-300ERなど、A380の半分のキャパしかない機材だ。B777の後継として発表されたA350は、長銅型の-1000でもB777-300(ER)より小さい。1度に400〜500席の移動需要がある太い路線に、それに見合う座席数の機材がない。潜在需要を取り逃しているのである。「B7やB6は絶対値としての運航コストが(A380に比べて)小さいのだから、空席だらけで飛ばすリスクを背負うよりも、B7やB6をそこそこの運賃で堅実に満席にして行けばそれでいい」という、消極的な考え方をする会社だろうか。私は、そうではないと思う。「機材を大きくすれば、それだけ乗客が集まるのだから、需要に見合った機材を持ちたい」というのが、ホンネではないだろうか。閑散期に空席が増えるリスクよりも、繁忙期に席が足りずに需要を取りこぼす「機会ロス」の方が、交通機関としては手痛い。閑散期の空席は運賃を下げれば埋めることができるが、機材のキャパが小さいと繁忙期に運賃を吊り上げて高収益を上げる「儲けのノリしろ」が小さくなってしまうからだ。

画像 さらに言えば、B747-400からB777-300ERに機材をダウンサイジングした際にYクラスの座席を半減させたような「金融屋的発想」、つまり「何人運んでも儲けは二束三文のYクラスなぞ思い切って減らし、上級クラスを増やして利益を確保できればそれでいい」という不健全な発想が経営の回復とともになりを潜め、「たとえ儲けは少なくてもYクラスの需要がある限り座席を提供するのが使命である」という、航空会社として本来あるべき発想が復活して来る可能性が、私は高いと思う。これも、A380導入に大きく傾く要因となるだろう。

 外国エアラインへの対抗と、高需要国際線でしっかり需要をさばくためには、A380を入れなければならないだろう。これが一点目の理由だ。

■国内線も500席超級の機体が必要
画像 理由の第2は、似たようなことが国内線にも言えることだ。国内線の羽田〜新千歳や羽田〜那覇は、現状のB777-300でも足りないくらいの需要が、常にあるのだ。夏冬の休みや連休期間には、JALもANAもB777-300運航便が軒並み満席となる。その証拠に、JALが2011年2月でB747-400Dの運航を打ち切ったのに対し、ANAは来年3月までB747-400Dを使う。国内線にそれだけの需要があるからである。機材寿命からすれば数年の余命を残してJALがB747-400D(-400も同じ)の退役が急がれた背景には、経営破綻の代償として、JALの象徴だったジャンボ機を真っ先にリストラして見せる必要があったこと、パイロットを大量にリストラさせる必要に迫られ、飛行機ごと引退させてしまうのが手っ取り早かったこと、という政治的・労務政策的な動機があったのだ。

 仮にA380を国内線に3機導入し、羽田〜新千歳と羽田〜那覇で運用したとする。朝と夕方は新千歳、日中は那覇に飛ぶとして運用パターンを考えると、1日に新千歳5往復、那覇に3往復程度が可能だ。羽田〜新千歳は現在、毎時1便を基本に6:30〜20:30で計18便運航されているが、800席のA380で毎時2便運航される時間帯を1便に統合、1日15便程度に整理すれば、輸送力を向上させつつ混雑時間帯の羽田の発着スロットを他路線の増発に使うことができる。1日14便の羽田〜那覇線も1日12便程度に整理できるだろう。長距離の那覇線の場合、発着スロットの有効利用だけでなく、置き換えられる機材を他の短距離路線に充てられるので、機材運用の効率化にも貢献できる。

 国内線のため「だけ」にA380を入れるというのであれば負担は重いが、同時に国際線にも入れ、乗員やメンテナンス資源を共用できるのであれば、それほどの負担にはならない。高需要の国内幹線の、中でも高需要な時間帯を狙ってA380を入れる可能性は、あると思う。


■A350導入はステップアップの布石
 第三の理由は、B777の後継機としてA350を導入するとした、JALの判断そのもにある。私は、今回のA350選定は、将来のA380導入を意識、あるいは前提としたものではないかと思うのだ。

画像 よく知られているように、エアバス機は機種間の共通性、相互運用性を高く考慮していることがセールスポイントとなっている。コックピットのデザインや操作性は共通になっているため、エアバス機どうしでの機種移行であれば、他メーカーから移行するよりはるかに短期間の訓練でライセンスを画像取得できるようになっている。エアバス機の運用経験がないJALがいきなりA380ではハードルが高いが、双発機のA350で慣熟しておけば、A380もスムーズに導入できる。A350でエアバス機のノウハウ獲得し、その後のステップアップにつなげる。そういう狙いでは、という予測はあながち的はずれではないと思う。

 さらに言えば、3年前に一度倒産し、税金投入で助けてもらったエアラインが、その記憶も冷めやらぬうちに世界最大の超大型機を買う、ということになれば、さすがに世間の風当たりが強いが、耐用年数が迫るB777の後継となる機材を買うということならそれほど反発も受けないだろう、そういう思惑すらあったのではないだろうか。ANAがB777後継機を公表していないタイミングという点でも、A380は後に残しておきたいカードだろう。

 少なくとも、B777の後継機としてA350を導入した上で、それよりキャパの大きな機体が必要ということであれば、B747-8IよりもA380の方が、輸送力の点でも維持費や導入経費の点からも、魅力的な機材であることは間違いない。

 JALは、計56機のA350を発注した。そのうち確定発注が31機、オプションが25機である。オプション契約とは、キャンセル自由の「確定分と同条件で購入できる権利」のようなもので、契約から納品まで数年に及ぶ航空機の契約では、確定発注に加えてオプション発注の契約を結ぶのが普通だ。オプションは、その通りに発注されることもあるが、キャンセルされたり機数が減らされたり、他機種に振り替えられたりすることも多い。JALが運航するB777が46機で、今後の増便や路線拡大ということまで考えれば、56機という数字は妥当なところだろう。私は、このオプション契約の中に、発注をA380に振り替えた上で機体引渡し順位を繰り上げるような極秘の特約が含まれている可能性はあると思う。エアバスにとって日本のエアラインは、A380をなんとしてでも売りたい相手だ。ありとあらゆる有利な条件を提示し、口説いているであろうことは間違いない。

 発表は、JALの経営が順調に回復し、倒産のほとぼりも冷めた2010年代の半ばごろ。国内線・国際線を合わせて8機程度を導入し、ニューヨーク、ロンドン、新千歳、那覇などに就航させる。現実味を欠く話ではないと思う。




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
A380は、既存のボーディングブリッジを使用できないため、空港でのロスタイムが多く、国内線では使用しづらい・・・と聞いたことがあります。
最近のJALは、大型機の空席を安く売るなら小型機で・・・という営業スタンスですよね。幹線はANAと同額ですが、地方路線は、ANAより圧倒的に高い印象があります。
この営業スタンスを再度修正できるでしょうか。
皮算用
2013/10/16 22:38
導入するとしてもA350の後、10年くらい先でしょうから、その頃にはいろいろ状況が変わっているでしょう。羽田や千歳のビルも改修があるでしょうし、幹線に関しては、大型機でどーんと運んで空いた発着スロットを他路線に回す、というような考え方も出てくると思います。(ブログ筆者)
海ラジ
2013/10/16 23:35

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