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zoom RSS 無化調、増化調・・・「グルタミン酸ナトリウム」をめぐるあれこれ

<<   作成日時 : 2013/12/19 23:00   >>

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画像 人づてに聞いた話だが、某食品メーカーと某大手広告代理店が、「化学調味料」という単語にひどく神経質になっているのだという。「化学調味料と言ってはいけない。うま味調味料と呼ぶこと」。そういうことのようである。

 「化学調味料」(または「うま味調味料」)とは、グルタミン酸ナトリウムの結晶粉末を主素材とする、アレのこと。メーカーと業界団体による正式な名称が「うま味調味料」。したがって、彼らの理屈で行くと化学調味料とは「この世に存在しないもの」であるから、その言葉は使ってはいけない。マスメディアはおおむね「うま味調味料」という用語で統一されている(メーカーが大広告主なんだから、当然だ)が、飲食店や食品業界には「化学調味料」という言葉を使うところが多々あって、それに対して目くじらを立てている、ということのようだ。

 「化学」という言葉には「天然由来でない=体に良くない」というイメージが付いてまわるから、メーカーとしてはそんな名称を使われては困る、ということなのだろう。

 けれども、グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ、略して「グルソー」)は、原料である発酵させた廃糖蜜(サトウキビから砂糖を搾り取ったかす)に水酸化ナトリウムを添加して製造されるから、その製造過程が化学的であるのは間違いない。もっとも、これを言い出すと、食品添加物のうち化学由来のものは「化学添加物」と言い換えるべきだし、人工甘味料の代表選手「アスパルテーム」は、化学甘味料と呼ぶべき、ということになる。が、グルタミン酸ナトリウムを主材とするあの調味料製品がことさらに「化学」と結びつけて呼ばれるのは、かつては石油由来のアクリロニトリルを原料としていたこと、メーカー団体自身が「日本化学調味料工業会」と名乗っていたこと(1985年に「日本うま味調味料協会」に改称)、が理由のように思う。一度定着してしまった言葉は容易に置き換えられない、典型例である。

 それに、食物が持つ「うま味」という要素を、人為的に抽出した物質(その方法が化学的か否かは置いておくにしても)で代替しようという発想そのものに、どこかしらの後ろめたさ、手の抜き加減を感じ取ってしまうのは、無理からぬことであろうと思う。まして、「口に入る食品はすべて天然素材でなければならない」という「天然素材原理主義者」たちからすれば、調味料としてのグルタミン酸ナトリウムの存在そのものが格好の攻撃材料であるに違いなく、メーカーや広告会社がどんなにキャンペーンを張ったところで、「化学調味料」という言葉が世の中から消えることはないだろうと思う。

 最近のラーメン業界では「化学調味料無使用=無化調」という言葉がちょっとしたブームらしいが、裏を返せばこの業界が、風味付けのためにどれほどグルタミン酸ナトリウムに依存してきたか、ということである。メーカーは「無化調という言葉は、うま味調味料が危険であるかのような誤ったイメージを流布する」と撲滅に躍起だが、グルタミン酸ナトリウムに頼らずに、野菜や魚や肉骨から時間をかけてだしを取ってうまみを引き出す、料理人が本来やるべき手間暇をきちんとかけていますよ、ということを「無化調」という言葉で表現するのは間違いではないと思う。そんなことにまで神経を尖らせるのは、それこそ「言葉狩り」だろう。

画像 ところで、長々とこんな駄文を書こうと思ったきっかけは、秋葉原のラーメン店でこんな看板を見かけたからである。「背脂、化調、かえし増し、ゼロ円」とある。希望する人には、化調を増量しますよ、と。ここで言う化調が、さんざん述べてきたグルタミン酸ナトリウム種素材調味料であることは、疑いがないだろう。それを使っていることを公言するどころか、希望すれば増量する、と。そういうニーズがあるということだ。これを見て、前述の原理主義者たちがどうリアクションするかは知ったこっちゃないが、世の中には色々な味覚、趣味趣向があるということ。この店では「化学調味料」が完全にポジティブな意味で用いられているのだ(自虐という受け止め方もあるだろうけど)。

画像 一言で「化学」あるいは「化調」と言っても、受け止め方は様々。「化学調味料と呼んではダメ。うま味調味料と呼びましょう」といくら叫んだところで、今までそう呼んで来た人たちがそう簡単に変わるはずがない。

 「化学」にこだわるのは、いい加減にやめたらどう? と思う。化学調味料にせよ化学添加物にせよ人工甘味料にせよ、私たちの食生活には必要なもの。原理主義者たちは眉をひそめるだろうけど、そう認めた上で、「使い過ぎに注意」。それでいいんじゃないの?




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