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zoom RSS 政府専用機・・・「特別輸送隊」方式は非効率きわまりない

<<   作成日時 : 2014/04/08 23:00   >>

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画像 政府専用機が注目されると、その運用に当たる航空自衛隊にも目が行き、メディアで取り上げられる機会も増えているようだ(写真は「月刊エアライン5月号」に掲載された「政府専用機特集)。政府専用機を動かす実働部隊は、正式名称を「特別航空輸送隊」と言い、北海道の千歳基地に拠点を持つ。専用機の格納庫も同基地にある。パイロット、空中輸送員(民間機の客室乗務員に相当)、整備員、運航管理要員など、総勢およそ150名の部隊だ。隊員は空自の各部署から選抜されるが、要人輸送などで脚光を浴びる機会も多いため希望する隊員が多く、競争率は高い・・・と、新聞や雑誌の記事には書かれている。

画像 空自の隊員たちや自衛隊ファンには大変申し訳ないけれども、前々から書いているように、政府専用機の管理・運用を航空自衛隊の特別航空輸送隊が担う現在の方式は、費用と効率の点では非常に贅沢で、カネ食いな方法だと私は考えている。空自が管理・運営すると言っても、彼らにできるのは飛行機を飛ばすことと日常整備だけ。クルマの「車検」に当たる重整備は外部のエアラインに委託しなくてはならず、パイロットの資格もエアラインで訓練を受けなければ取得できない(ジェット旅客機は機種ごとに免許がいる)。これが、機種選定に際しても「整備委託先のエアラインと共通の機体しか導入できない」という足かせになっているのだ。

画像 そうであるならば、いっそのこと政府専用機は機体ごとエアラインに預け、運航と日常整備もエアラインに委託し、パイロットや客室業務はエアラインが行った方がずっと効率が良いと、私は前々から考えている。B777なりA350なり、ANA、JALとの共通の機材を導入するのであれば、日頃その機材を路線で飛ばしているエアラインパイロットがシフトで専用機に乗れば良いだけのことだ。そうであれば、乗員養成や訓練をわざわざ行う必要はなくなる。特別輸送隊が千歳をベースとしているのは、乗員訓練のために機体を「わざわざ飛ばす」必要があるからで、羽田をベースとしていては、飛行場や空域混雑のため十分な訓練飛行ができないからである。このため、外遊で総理らが搭乗するときには千歳から羽田まで、1時間半かけて機体をフェリー(回送)しなくてはならないというムダが生じている。そんなことをするくらいなら、羽田空港の端に格納庫を建て、政府が機体を買って、エアラインに預けた方がいい。さらに言えば、機体もエアラインにリースで買わせて「専用機」に改造させ、運航委託費とリース代を毎年払うようにすれば、機体購入費として何百億円も一気に支払うよりも支出は抑えられる。専用機として導入されるのがA350であれB777であれ、2〜3機しか買わない日本政府と何十機もまとめ買いするエアラインと、どちらが安くメーカーから買えるかと言えば、エアラインだろう。

画像 「民間委託では緊急任務に即応できない」などとよく言われるが、そんなことはない。JALもANAも24時間世界中に定期便を飛ばし、予期せぬ機体故障などに備えてスタンバイ要員を確保している。緊急事態に対応する体制は、常に持っている。政府専用機の運航受託のために、その体制を少しばかり拡充すれば済む話だ。「民間委託では危険地域に派遣できない」という声も出てきそうだが、「危険地域」とは何を意味するかによる。空港拠点が確保されておらず、テロやゲリラの銃砲弾が飛び交うような場所であれば、機体乗員に危害が及ぶ可能性があるわけで、民間機であれ自衛隊機であれ、派遣するわけにはいかない。そういう紛争地域から自国民を救出する能力を日本も保有すべきだ、という議論はあろうが、そういう任務はアメリカ海兵隊のような戦闘能力を持つ専門部隊が担うべきもので、要人輸送を主とする政府専用機の運航とはまったく次元の違う話である。

画像 1985年のテヘラン危機で「邦人救出のための特別機派遣をJALが拒否した」ことが政府専用機導入議論の契機となった・・・という言われ方をすることがあるが、あれは完全にデマである。実際には、外務省からの準備要請にJALはB747による輸送計画をすみやかに立て、出発準備を整えたものの、正式な派遣要請がモタついているうちに時間切れとなったというのが真相である。

 日本の政府専用機は、航空自衛隊が飛ばし、自衛隊の識別番号を付け、コールサインこそ「Japanese Airforce」だが、航空管制上は民間機と同じ扱いを受けている。GPS発信器(ADS-Bトランスポンダー)を搭載し、世界中どこを飛んでいても、PCやスマートフォンで位置はもちろん高度や速度、行先空港まで正確に、誰でも追尾できることが何よりの証拠だ。「軍用機」でこういうことは、絶対にない。であるなら、内閣府所属の民間機としてJAナンバーを付け、エアラインが運航実務に当たっても、何の不都合もないはずである。

画像 どうしても、政府専用機の運航は自衛隊が行うべきだ、と言うのであれば、乗員養成や重整備まで、エアラインに頼らずに自前で行えるような能力を自衛隊に与えるのがスジだろう。整備用格納庫(あれは格納庫と言うより整備工場と呼んだ方がふさわしい)を新たに建て、隊員をメーカーに派遣して資格を取らせる。もちろん、人員も増やす。たとえ何百億円かかろうとも、そうすべきだ。その上で、エアラインの都合に左右されることなく、B747-8iであれA380であれ、好きな機材を買って飛ばせばいい。VC-25(エアフォースワン)を運用するアメリカ空軍は、そうしている。1990年、当時としても旧型機だったB747-200Bが大統領専用機VC-25として導入されたのは、アメリカ空軍に自前で整備・改造する能力があるからである。実際、VC-25は導入後も航法や通信装置のアップグレードが続けられ、コクピットは新型のB747-400よりもハイテク然としている。政府専用機の運航は一国の軍事組織が担わなくてはならないというのなら、そこまでの能力を自衛隊に与えるべきだ。民間機同然の政府専用機を預けられ、ただ飛ばすだけ。整備も乗員養成もエアラインの力を借りなければできない現状の特別輸送隊は、中途半端な金食い虫以外の、何物でも無い。自己完結能力を持たない集団は、軍事組織とは呼ばないのが世界の常識ではなかったか。

 もちろんそれは、納税者である国民の合意があっての話。あらゆる消費に8%の税金をかけ、近い将来それを10%にし、それでもカネが足りないと言っている財政状況で、そんな贅沢を許せる国情か。当の自衛隊にしても、訓練用の銃砲弾が満足にないどころか、隊舎の補修費にすら事欠いているのが現実で、政府専用機のような荷物を預かると、どこかに必ずしわ寄せは行く。

 敢えて厳しい言い方をするけれども、現状の特別輸送隊は、「我が空軍は大型ジェット機を政府専用に運用できる能力を持つ、精鋭である」というメッセージを内外に発し、虚栄心を満たすための装置でしかない。どこぞの半島国家と、やっていることに変わりはない。



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政府専用機はやはりボーイングになるらしい
 「政府専用機の後継機がボーイング777になる」と、きのうの産経新聞に出ていた。新聞がこう書く以上、そういうことなのだろう。 ...続きを見る
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