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<<   作成日時 : 2014/06/22 23:00   >>

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「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。 多忙にかまけて、すっかりブログ更新をサボってしまったので、久しぶりにブックレビューみたいなものを載せておこう。単行本や新書など、月に4〜5冊は読むけど、乱読・読みっぱなしばかりで、ちゃんとレビューを書きたくなることは、滅多にない。

で、今回取り上げるのは、東洋経済の紹介記事に釣られて買った、『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。』というタイトルばかり、やたら長い本。巨大な産業と化した「外食」「中食」ビジネスがいかに「ウソ」と「ごかまし」に満ちているか、という告発本だ。

 飲食店には産地や原材料の表示義務がないことをいいことに、輸入食材や添加物を使い放題。もちろん、それ自体は法律違反でも何でもないし、輸入食材や食品添加物の使用が「即座に危険」ということにはならない。そこは著者も強調している。が、格安そばは8割が小麦、格安ハンバーグは植物性タンパクで増量の上着色、ステーキは成形肉に脂肪を注入して着色、という事実を見せつけられると、誰しも「え、ウソ?」と思うだろう。ファミレスのメニューの多くは冷凍食品で、チェーンによっては厨房に包丁もない。セントラルキッチンと冷凍技術の進歩で、職人がいなくても外食店を切り盛りできる時代。サラダの野菜はほぼ全て外国産、現地で次亜塩素酸ソーダでジャブジャブと洗われた上で冷凍運搬され、風味も栄養分もすべて失われている。コンビニのタマゴサンドは黄身のように着色した白身が使われている。宅配ピザのチーズはナチュラルチーズに様々な混ぜ物を加えて色と風味だけ似せた、イタリア人が食べたら怒り出すような「チーズフード」。前日の残り物処理のためにランチ営業する居酒屋、古米や古古米を使う弁当店。もちろん、こうして出てくる料理・食品は、風味を整えたり味をごまかすために、添加物やグルタミン酸ソーダに代表される調味料が大量投入され、ソースは味を目一杯濃くし、「素材の味」を敢えてわからないようにしている・・・。

 安い食品にはそれなりの理由があるだろうな、とは思っていたが、ここまで書かれると、正直良い気持ちにはなれない。すべては、儲けと効率性を最優先した結果だという。冷凍食品やセントラルキッチンからの「仕入品」を使えば、下ごしらえ不要になるだけでなく、廃棄ロスもゼロにできる。職人調理師を雇う代わりに時給1000円のバイトで厨房を回せれば、それだけ収益が上がる。コストの低減は価格競争力につながる。その一方で、客はいつどこで誰が作ったのかまったくわからない「料理もどき」を食べさせられ、「本当の料理の味」は忘れ去られてしまう。こんなんでいいのか・・・というのが著者の問題提起なのだろう。著者は言う。輸入食材や冷凍食品の使用、食品添加物や成形肉の使用が、安くておいしく安全な食品提供のためにやっていることなら、堂々とそれを告知すればいい。それをせずに、こっそりやる行為は「だまし」であるし「商売のやり方として不誠実」である、と。

 読み終えて、ふと思った。安くて手軽な外食・中食は得体の知れぬ輸入食材、添加物だらけの食材が跋扈し、法律違反ではないにせよ、消費者に対して不誠実な商売がまかり通っている・・・という著者の主張はよくわかる。けれども、そういうモノしか食べられない人たちは、どうしたらよいのか。どうしろと言うのか。一食500円以内で昼食を済ませなくてはならないサラリーマン、独り暮らしや共稼ぎで料理をする時間がなく、コンビニや持ち帰り弁当、メーカー製の「簡単なんちゃらソース」や「簡単なんとかの素」に頼って生活する人たち。たまの休日に、安価なファミレスで「ささやかなゼイタク」を楽しみたい家庭。消費の中核を為す20〜40代は、親から料理を習うことも、その時間もなく成長した世代である。給食の無い幼稚園児や高校生らの弁当箱は、冷凍食品の宝庫だ。素材や産地を吟味し、日々の食事をゼロから手作りする行為はいまや、時間と金銭に恵まれたごく一部の家庭(夫の収入のみで家庭経営が成り立ち、妻が働かなくてよい世帯)にしか許されない特権的営みとなっている。それ以外の人たちは、何を食べればよいのだろうか。

 儲かればいい、安ければいいという消費者無視のフードサービスビジネスの論理を告発したいという著者の気持ちは、よくわかる。けれども、であるならば、著者の考えるフードサービスのあるべき姿とは、どういうものなのか。本文中にヒントめいたことが述べられてはいるけれども、イマイチ物足りない。規制を強化し、外食・中食店舗でも素材の原産地や加工年月日、使用添加物の名称表記を義務付けよ、と言いたいのか。メニューの値段が今の2〜3倍になってでも、国産・添加物不使用の料理しか提供すべきではない、と言いたいのか。あるいは、労働時間規制を強化し、共働きの勤労世帯でも3食(弁当を含む)を家で手作りできるような環境を整えるべき(そのためには、法定労働時間を6時間程度に短縮した上で、残業厳禁としなければならないだろう)、と言いたいのか。著者の考える食と生活の「有り様」「こうあるべき」というものを、もっと語ってほしかった。たとえそれが、願望を含んだ非現実的なものであったとしても。

 とは言え、間違いなく良書。私も含めてだが、安い外食・中食で空腹を満たさざるを得ない人には、ぜひ読んでほしい。そういう食生活はすぐには変えられないし、人体に有害とも著者は言っていないが、本書に出てくるような知識があるのとないのとでは、食に関する考え方が確実に変わる。





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 いつも更新、楽しみにお待ちしております。

 でも、ブログを拝見する限り、お子さんへの「食育」には、それなりの労力を費やされていらっしゃるのですよね??・・・。
 
ごろごろ
2014/06/24 21:48
コメントありがとうございます。
もっぱら、妻に任せっきりですね。それなりに気は使っているようです。彼ら自身、オヤジがたまに口にするようなジャンクな食物をあまり食べたがらないので、それはいい傾向だと思ってます。
海ラジ
2014/06/25 01:44

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