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zoom RSS スカイマーク・・・A380の発注キャンセルについて

<<   作成日時 : 2014/07/29 23:00   >>

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画像 午前中、衝撃的なニュースが駆け巡った。スカイマークのA380全機発注キャンセル。業績悪化から、国際線計画を全面的に見直すためだという。簡単に言えば、赤字のため機体代金を払えるアテごない、そういうことのようだ。

 あー、やっぱり! というのが、正直な感想。機体は完成、進空(初飛行)してSKYの発注どおりに塗装や内装品を取り付ける艤装作業中だ。まさかキャンセルはないだろうと普通は誰もが考える。が、「ギャレーやシートの不具合や仕様変更」という、よくわからない理由で引き渡しが2.5ヶ月〜6ヶ月遅れると発表されたあたりから、なんだか雲行きが怪しいと感じていた。成田〜ニューヨーク線にしても、運航スケジュールや具体的な運賃がまったく発表されない。国際線キャリアとしての知名度の低さを考えたら、運賃・ダイヤを一刻も早く、少なくとも半年前には公表して、集客を図らなければならないはずだったのだが。これは、発注キャンセルがあり得るかも、と私はなんとなく感じていた。

画像 スカイマークの国際線計画に、元々私は懐疑的だった。国内線と近距離国際線チャーターの運航実績しかないエアラインが長距離国際線、それも世界最大の旅客機を使って就航させるというのは、通勤電車しか走らせていない鉄道会社がいきなり新幹線を、それもJRと競合する区間に走らせようというようなものである。ステップアップの階段の段数があまりに多すぎる。ITや金融は別かも知れないが、従来型の技術やビジネスは、二足飛び、三足飛びを狙っても、なかなかうまく行かない。画期的な新製品、新ビジネスのように見えても、既存の技術やノウハウの寄せ集めであることがほとんどなのだ。スカイマークにその十分な蓄積があるようには、とても思えなかったのである。

■キャンセルを最初に言い出したのはどっち?
画像 きょう一日の報道を見ていて、気になったことがある。午前中の日経の速報や、そのネタ元のパリ発ロイターやブルームバーグは「スカイマークが発注をキャンセルした」という内容。ところが、午後の日本メディアの報道は、その後に出されたスカイマークの声明や西久保社員の会見に影響され、「エアバスがキャンセルを通告した」と、非はエアバス社にあるかのようなニュアンスになっている。メーカーとエアライン、それぞれが自分に都合良くコメントを出すのは良くあることだろうが、どちらも事態を正確に伝えているとは思えず、真相はまだよくわからない。

 西久保社長が会見で語った通りだとすれば、エアバスは「貴社の代金支払能力に疑問があるので契約破棄する。ついては違約金を支払え」と言っていることになり、常識的な商売慣行からすれば相当に無理筋だ。契約というのは、キャンセルを申し向けた側が違約金を支払うのが常識ではないだろうか。新車を売った相手に対して、ディーラーが納車直前になって「お前は代金を踏み倒すつもりだろうからクルマは渡さない。ついては内金放棄に加えて違約金も払え」などと言おうものなら、大モメになること必定だ。このことが事実なら、エアバス社はヤクザ以下、チンピラ崩れの理屈を振り回すゴロツキだということになる。そうだろうか? 何か裏がある、あるいは、重大な事実が語られていないような気がする。

■支払われていない前金
 ただし、西久保社長も会見で認めていたように、A380の1号機、2号機の受領延期を、今年4月からエアバスに対して願い出ていたことは、事実のようだ。A380の受領の遅れは「ギャレーやシートの不具合や仕様変更」と発表されていたがそれはやはりウソで、代金を払えるアテがない、ということだったのである。しかも、報道によればスカイマークは、購入保証金(一種の前金・内金に相当)として毎月支払う約束の8億円を支払っていないという。自社都合で購入の延期を申し入れた上に、約束の前金も支払わないとなれば、売り主が買い手の支払能力に疑問を持つのも当然で、それが4月から4か月も続いたとなれば契約破棄を通告するのは自然な流れだと思う。新車にせよ不動産にせよ、前金を約束通り支払わなければ契約の意思なしとみなされる。前金をちゃんと払っているのに「アンタは代金を踏み倒すつもりだろうから商品は渡せない」と言えばチンピラ崩れのゴロツキだが、「約束の前金が支払われないから商品は渡せない」は正当な商行為だ。前金支払の有無という重大な事実を、西久保社長は積極的に語らなかったように見える。

■受領のアテの薄い機体は一刻も早く転売したい
画像 エアバスとしては、約束通り完成された飛行機が受領されない、代金の支払も大幅に遅れるとなれば大損害だ。スカイマークの発注仕様で完成させた機体は、すぐに他に転売できるわけではない。いずれ受け取るから置いておけ、と言ったところで、大型旅客機の保管・メンテナンスには膨大なコストがかかる。しかも、スカイマークがいつ代金を支払って機体を受領できるかはまったく予断を許さない状況だ。場合によっては、アメリカの砂漠にでも回送して長期保管しなくてはならない。そんなことなら、スカイマークの発注は一刻も早くキャンセルし、取り付けた装備品ははずし、機体の引き取り手(転売先)を探し、売り払って代金を回収したい、と考えるのは至極真っ当なビジネスマインドだろう。もちろん、SKYから転売先エアラインの仕様に装備を転換したり、機体塗装をやり直したりするには相応の費用も工期もかかるし、転売先は足下を見て安く買い叩こうとするから、エアバスはかなりの損害を負うことになる。その損害はすべて、スカイマークに負担してもらいましょう、ということなのだろう。

■違約金700億円は「法外」とまでは言えない
 報道によれば、エアバスが請求している違約金は、700億円だという。A380のカタログ価格は1機420億円。スカイマークは6機の購入契約を結んでいたので、2520億円。カタログ価格の3割弱と考えれば、キャンセル料としては決して法外な金額ではないと、私は思う。実際には6機まとめ買いで1機あたり320億円程度らしい(決算短信で総額1915億8500万円と発表)が、1号機はほぼ完成状態で、2号機〜4号機までは製造に着手されている。これらの4機は、今から転売するにしてもスカイマークの購入価格の半額程度に買い叩かれる可能性があると考えれば、諸々の経費も上乗せして4機の合計金額1280億円の半分強を支払えというのも、法外とまでは言えないだろう。

 とはいえ、年間売り上げが859億円(2013年度)の会社である。その会社が700億の賠償債務を背負うということは、経営の根幹を揺るがしかねない事態と見るべきだろう。スカイマークはエアバスに対し、違約金の減額を交渉する方針らしいが、世界中のエアラインを相手に過酷な販売合戦を繰り広げるエアバスに、どの程度それが通じるだろうか。航空機の売買は、単価が高いだけに、代金の支払いについてはシビアだ。紳士協定や信頼関係は通用しない。

■西久保愼一という人物
画像 それにしても思うのは、西久保愼一という人のエアライン経営者としての見識の無さ、無節操さである。スカイマークの資金繰りの悪化は、円安や原油の値上がり、LCC就航による搭乗率の減少とされているが、3年前にA380の購入計画を結んだ時点で、こういうことを予見して想定に入れていないとしたら、経営者として甘すぎる。いざとなれば受領を延期すればいい、支払を先延ばしにすればいいと考えていたのだとしたら、航空機購入をナメ過ぎである。

 会見で今後の国際線計画について質問を受けた西久保氏は、A330を使用したバンコクやシンガポール、ハワイへの就航可能性を口にしたそうだ。意味がわからない。A380で長距離路線の格安ビジネスクラスをやるから価格競争に巻き込まれず収益を上げられると大見得を切っていたのはどうした? A330で中距離国際線なら、参入ハードルは低い。どうして最初にそこに手を上げなかった? 競争相手が多いからか? ならば、一度ダメと判断したことをなぜまた蒸し返す? けっきょく、この人のアタマの中は、世界最大の旅客機を持ちたい、それがダメなら、せめて国際線の運航会社の社長でいたい、その程度なのではないか。

画像 ついでに言えば、この社長の会社は、営業用の旅客機とは別に、小型ジェット(セスナ/サイテーション・マスタング JA123F)を保有している。西久保氏はこのジェットを自ら操縦して全国あちこち出かけるらしく、「遠方に行くには定期便を使うなんて時間のロス」などと言いながら操縦している様子が、いつぞやのテレビで紹介されていた。西久保氏はスカイマークの経営権を手にした後に飛行学校で自家用ライセンスを取得したほどの飛行機好きである。単発のプロペラ機から訓練を始め、小型とは言え双発ジェットを操縦できるまでライセンスをアップグレードさせたのはたいしたものだとは思う。職業パイロット以外でジェット機の操縦資格を持つ人は、日本ではごくわずかだろう。しかし、エアライン経営者として、そのバランス感覚はどうなのだろう。経費削減だと乗務員の制服代もカットする会社が自家用ジェットを持つことが、分相応と言えるか。定期便だと時間をロスすると言うが、パイロットとして飛行機を飛ばすためには目的地やエンルートの天候や空港コンディション、着陸できない場合の代替空港の状況など、入念な準備下調べが必要だ。そういう時間はロスではないのか。オフィスに「商談打ち合わせ20分以内」などと掲示し、パイロットとキャビンクルーとの打ち合わせもカットするような会社で、社長が業務と称して自家用(社有)ジェットを操縦することは許されるのか。

 大勢の命を預かるエアラインを、趣味の感覚で経営されてはたまらない。こういう社長には、とっとと退場してもらいたいと思うのは、私だけだろうか。

画像
▲エアバス社のホームページに掲載されている報道発表文書。「契約上の権利を行使し、2011年に締結されたA380 6機の購入契約の破棄をエアライン側に通知した」とある。




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
2011年にA380,6機発注〜との報道があった時にスカイマークで???大丈夫なの???(感覚的には初心者がいきなり大型2輪買うような感じ)
と思ってましたが、予想通りになってしまいました。。。
色々見通しが甘かったことを会見でいってましたが、航空会社の社長なら5年、10年、20年先は見て経営する物だと思うのですが、判断が甘かったでは済まされないと思います。
海外展開するなら、とりあえず色々取り回し効きそうなB787とかにしておけばよかったのに、何でA380にしたのやら

まあ兎も角、日本の会社のA380は見たかったのでその点では残念ですね。。。
通りすがり
2014/07/30 02:40
高額な違約金に、A380は安易に転売が困難なのかな・・・と、想像してしまいました。本当に魅力的な機種だったら、キャンセル機材を早く納品という、ニーズもあるような気がします。
使える路線、使える運航会社が限られるため、キャンセル転用機材のニーズが無いのでしょう。
機材の大型化に走ったエアバス社と、高効率中型機材に走ったボーイングの先見の明の差かもしれませんね。
皮算用
2014/07/30 20:05
アラシではない<a href="http://60761435.at.webry.info/">アライグマ</a>です
本当です
本人がで言っているので間違いないです
ネコババした事もぶどう泥棒しようとしている事もないです
http://60761435.at.webry.info/
私のところに来てください
謝っています
私は悪くないのですが 苦情が多く入ってきているので少し休みます
でもコメント制限をかけているので平気です
また何度でも着ますので よろしくお願いいたします
アライグマ
2014/08/02 07:56
国際線参入の是非は、海外の航空会社との提携から始めるべきでした。例えば、JALやANAが提携していないデルタ、KLM、アリタリアなどの大手航空会社とコードシェアする。これらの会社にしても一年中常に満席ではないのだから、スカイマークに座席の一部を販売してもらっても損はないでしょう。そして、コードシェア提携して、ある程度の需要が見込めたら、A330クラスの中型機で、自社便で路線開設という形にすればよかった。折角、A330をリースしたのだから。
tossy
2014/10/01 14:34

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