旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記

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zoom RSS ワシントンからの電話

<<   作成日時 : 2014/08/18 23:00   >>

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画像 「230席未満の次期国産ジェットを国主導で開発」と読売新聞がブチ上げたその夜、ワシントンから外務省に、さっそくこんな電話がかかって来た。

「おはよう! そっちは夜の10時だってのに、相変わらず残業かい? 冷房もろくに効かないオフィスでご苦労さん。で、そっちの新聞に出てたアレさ、東京の大使館から送られた翻訳を、いま読み終えたところだよ。中身についてだけどさ、ちょっとこっちの考えを伝えておくほうが、親切だと思ってさ」

「あれ、ウソだよね。誤報だよね。そうじゃないとさ、こっちには考えがあるよ。トランスステイツとイースタンのMRJ発注、あれ白紙だよ。それから、ボーイングがMRJのプロダクトサポートに手を貸す件も、白紙にするよ。それとさ、P&Wの1215Gギヤードターボファンエンジンだけどさ、重大な欠陥が見つかったみたいだから、初飛行は遅れるよ。困ったことだよねぇ」

画像「キミたち、何か勘違いをしてないか? YS-11はなかなかいい飛行機だったし、ホンダジェットも斬新で、さすがニッポンだ。あれを見てビーチやセスナが刺激を受ければいいと考えて、アメリカでの製造を許可したし、型式証明も与えた。MRJも目のつけどころはイケテるし、いい飛行機になりそうだ。それでカナダのCシリーズやブラジルのエンブラエルと小競り合いをやってくれるうちは、応援するつもりだったんだよ。でも、オタクがボーイングの737や787と競合するような飛行機を本気で作ると言ってるなら、話は別さ。芽が出る前にタネをつぶしておかないと。昔のように、ゼロみたいなのなんか作られたら、たまらんからねぇ」

「作るな、なんて言ってないよ。世界は自由さ。でも、ボクらは協力しない。それだけのこと。ゼロを作ったキミたちのことだ、いい飛行機を作れると思う。ツポレフみたいにね。でも、それが売れるかどうかは、知らないよ」

「いま言ったのはさ、ボクの個人的見解で、政府を代表してのコメントじゃない。そこんところは、誤解しないでよね。そうじゃないと、大統領から叱られるからね。でも、ワシントンにはこういう考えがあるから、そういう”可能性”のことを伝えておいたほうが、キミたちのためになると思ったから、電話をしたんだ。忠告とか、そういうのじゃないよ。ボクとキミとのプライベートなカンヴァセーションさ。いいね?」

「というわけでさ、さっきの新聞の件、報告を待ってるよ。誤報であることを祈ってる。もちろん、その場合は、ガセネタを流した人物を見つけ出して処分しないと、キミらの顔が潰れるだろう? じゃあね。グッナイ!」


 上記会話は、もちろん想像の産物。旅客機の開発販売とは、国と国との利害が正面からぶつかり合う、代理戦争だ。それに勝つために、アメリカは何でもやる、ここまでやる、と言いたくて、でっち上げてみた。150席以上の旅客機を一国のチカラで製造・販売できるのは、事実上アメリカしかいない。ヨーロッパは、数か国が束になってエアバスを設立し、ようやくアメリカと対等な勝負ができているが、120席未満のリージョナル機を除いた旅客機の販売は、アメリカ・ヨーロッパの超寡占市場だ。そこに、新たなプレーヤー、しかも日本という「子飼いの犬」が競争相手として入って来ることが、すんなりと行くはずがない。

 航空機の開発生産は先端技術の集積であり、そのノウハウを自国で獲得することは、波及効果が非常に大きく、技術レベル底上げの貢献度は他の産業の比ではない。そこに日本が挑戦する意義は大きいというのは、その通りだろう。しかし、だからこそ、他国は警戒する。基礎研究の段階では静観かも知れないが、実用機の開発・販売が視野に入って来たとき、特にアメリカは、全力で妨害してくるのでは、と私は思う。

 まずはMRJがどれくらいのどれくらいの「出来」となり、どれくらい売れるのか。世界は虎視眈々としていることだろう。皮肉なことだが、MRJが優秀であればあるほど、売れれば売れるほど、その後継機開発をめぐる世界の警戒感は高まるだろう。







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内 容 ニックネーム/日時
そうやって外圧を煽る人が内部にいるから日本は外圧に弱くなるのです。それだけのことです。
だいたい、中国がジェット旅客機を開発しようとしているのだから、まもなく寡占は解消されます。
 中国製が増えてきたら、日本の参入を米国が妨害する理由はなくなります。時代は変わったのですよ。
N
2014/09/13 03:19

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