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zoom RSS B737と勝負する国産旅客機・・・バカも休み休み言え

<<   作成日時 : 2014/08/18 12:30   >>

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画像 けさの新聞ネタから。「次世代旅客機 国が主導」という記事が、読売新聞の一面トップに出ていた。

 記事によれば、エンジンも含めて部品ベース7割国産の「純国産機」を国主導で開発し、2030年ごろの実用化を目指すのだという。座席数は230席未満の「小型機」。現在開発中の70〜90席級の「MRJ」(三菱航空機)は部品の8割が外国製のため、「ノウハウが少ない航空機部品の開発に関して、民間任せには限界があった」という「反省」に基づき、部品ベースで国産7割の飛行機を作って世界に売るのだという。


 バカも休み休み言え、と思う。

 構想にある飛行機のサイズを「230席級未満」の「小型機」と表記していることから、これを書いた記者は旅客機のサイズと座席数について、基本的な知識すら一切ないと思われる。旅客機の機体サイズは「150席級」「200席級」「250席級」などと表現するのが普通で、そこに「モノクラス(エコノミーのみ)」「2クラス(ビジネス・エコノミー)」「3クラス(ファースト・ビジネス・エコノミー)」などと付記するものだ。同じサイズの旅客機でもモノクラスと2〜3クラスでは、定員が2〜3割は異なるからだ。(たとえば、超大型機エアバスA380は、3〜4クラスで500席程度で就航している例が多いが、モノクラスにすれば800名以上の輸送が可能になる) 「○○席未満」という言い方は、30席でも50席でも、100席、200席でも、聞く側で解釈がバラバラになるので普通はされないし、避けるべきでもある。霞が関だか永田町だか知らないが、ネタ元が語った「ぼんやりとしたイメージ」を、吟味もせずに記事にしたから、こういうわけのわからない表現になったのだろう。

 さらに言えば、「230席未満」という表現を最大限に解釈して「229席級」だとした場合、その飛行機は「小型機」ではない。「中型機」だ。そもそも、200席を超える通路1本の機体(単通路=ナローボディ)に並べようとすると、胴体が細長くなりすぎるし、乗降にも時間がかかるから、通路2本(双通路=ワイドボディ)にするのが合理的、というのが旅客機設計の常識だ。ワイドボディの旅客機を「小型機」とは、間違っても言わない。しかも、ワイドボディでモノクラス229席級というのはサイズとして中途半端で、双通路のボディを採用するならモノクラスで270席級程度にまでボディを拡張しようとするのも、これまた常識である。ボーイング社の767-300や787-8が、ほぼこのサイズである。70〜90席級のMRJの開発にも四苦八苦、青息吐息の日本が、今からわずか10数年後に、こんな大きな旅客機を、どうやったら開発できる?

 「小型機」という表現がされている以上、構想の中心にあるのは150〜160席級の単通路ジェットであるにしても、このクラスの旅客機は今後も世界的に需要拡大が見込まれるにしても・・・。150〜160席級と言えば、ボーイング(アメリカ)の737とエアバス(ヨーロッパ)のA320が世界市場を二分し、熾烈極まる受注合戦を繰り広げるジャンルである。B737やA320とガチでぶつかる機体の開発が、政治的にすんなり行くはずがないだろう。技術論以前のハナシだ。アメリカもヨーロッパも、全力で開発を妨害するに決まっている。MRJの開発で、外国産部品をすんなり採用でき(国産部品は実績がない上にコストが高すぎるので採用できない)、アメリカのエアラインからも受注できているのは、MRJが機体サイズから見て、ボーイングやエアバスの競合相手とはならないからである。MRJプロジェクトが成功するとして、それに自身を付けた日本がさらに大きな飛行機、ボーイングやエアバスのライバルとなるような機体の開発に名乗りを上げるとしたら、どうか。その現実的な可能性が視野に入ってきたとしたら。新型機構想はもちろん、MRJの販売も、陰湿な嫌がらせを受けることだろう。MRJを発注した外国エアラインが政府の圧力を受け(あるいは意向を忖度し)、キャンセルすることも十分にあり得ると考えておくべきだ。1980年代、防衛庁がF-X(次期支援戦闘機)の国産開発を構想したとき、アメリカの圧力を受けて「日米共同開発」と言う名のF-16の焼き直しに落とし込まれたことを、忘れたのか。

 旅客機の開発・販売は、国と国の利害が衝突する、ありとあらゆる商品の中でも最もシビアなビジネスと言っていい。その構想を語る人たちが、どこまでの覚悟と見通しを持っているのか。書いてる記者はどこまでわかっているのか? そもそも、国がこんなことを本当に考えているのか? 人目を引きたい、景気のいい夢を語って見せたい。けさの新聞は、そういう意図による「飛ばし記事」の疑いが濃厚だと思った。


次世代旅客機、国が主導…部品の7割「国産」に
 政府は、2030年頃の実用化を目標に次世代の国産ジェット旅客機の開発に着手する方針を固めた。
 国産化が難しいエンジンなど、主要部品の研究・開発段階から国が主導し、技術を国内メーカーと共有することで、部品の7割程度が国産の「純国産」ジェットを目指す。年内に関係省庁会議を設置し、15年度予算の概算要求に主要部品開発用の実験装置の導入を盛り込む。
 次世代機は客席数230未満の「小型旅客機」を想定している。世界の航空機産業は、アジアを中心に小型機の需要が大幅に伸びると予想されているためだ。
 国産の旅客機開発は、戦後初の国産機となるプロペラ機「YS11」以来、停滞した。現在、約50年ぶりの国産機である小型ジェット機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」が17年の実用化を目指して開発中で、次世代機はその後継と位置付けられる。(読売新聞 8月18日(月)3時36分配信)






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 「230席未満の次期国産ジェットを国主導で開発」と読売新聞がブチ上げたその夜、ワシントンから外務省に、さっそくこんな電話がかかって来た。 ...続きを見る
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2014/08/19 01:04

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
地方紙にも出ていましたね。
文科省が言いだしっぺと出ていたような。
経産省は乗っかるだけみたいな、書き方だったと思います
皮算用
2014/08/20 20:15

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