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zoom RSS 映画「アルゴ」

<<   作成日時 : 2015/01/10 23:00   >>

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画像 年末から借りたままになっていた映画「アルゴ」のレンタルDVD(正確にはBlu-rayだが、文章上こう書いた方がなんとなく座りがいい)、ようやく見終えた。1979年のイランのアメリカ大使館人質事件の救出劇を描いた、実話ベースの映画。

 良い映画だった。当時のニュース映像が随所に織り込まれていて、当時の時代背景がよくわかる。史実をベースにしていると謳うだけあって、派手さはなく、控え目で淡々とした展開。それでも、短いカットによるたたみかけや字幕ナシのペルシャ語会話の多用(ペルシャ語話者以外は何を言っているかわからない)で緊張感を増幅させ、ハラハラドキドキさせて行く構成は見事だと思った。

 けっきょく、アメリカ側は催涙ガス弾を除いて一発の銃弾も発射することなく事件は解決するのだが、折しもフランスで起きていた人質立てこもり事件、容疑者全員射殺というてん末の報に触れたばかりなので、この映画に出てくるようなソフトな解決方法が、ひどく新鮮に思えた。現実だろうと映画だろうと、人質事件の解決といえばドンパチがお約束だからね。去年の最初に見た「キャプテン・フィリップス」なんかも、まさにそうで。

 まぁ、あまり書くとネタバレになるので、劇場公開は終わっているけど気になる人はDVDでぜひ映画をみてほしい。アメリカとアメリカ人が憎悪の対象とされ、敵視され、標的とされる恐怖感というのは、映画からよく伝わった。この構造は、2001年の911事件を例に出すまでもなく、より強まり、深まっている。日本はアラブ世界と等距離外交に徹していたため、こういう憎悪とは無縁でいられた。けれども、何年先かわからんけど、自衛隊が海外のドンパチに加わるようになれば、日本人もこういう目に遭う、そういう心配をしなきゃならなくなるのだろうと思う。間違いなく。


 ここから先は、完全にネタバレ。これから映画を見るつもりの人は注意してください。

 とは言え、史実をベースと言いながらも細部は事実と違うところがあちこちあって、関係者が渋い顔をしたりもしたのだそうだ。救出のためにイラン入りしたCIA要員は1人ではなく2人だったとか、具体的な救出のシナリオは現地でCIAと要救助者たちと協議の上で決定されたとか、空港で怪しまれる場面は一切なく、すんなり搭乗できたとか。ただ、それに目くじらを立てていちゃ、娯楽映画は成り立たない。映画の全てが事実と思い込まずに、どこまでが事実でどこからが脚色・演出なのかは、見る側が注意を払うべき点だと思う。

画像 ただ、映画のラスト近くに出てきたイラン国際空港でのカーチェイスシーンだけは、なんぼなんでもやり過ぎだろうと思った。離陸滑走を始めたスイス航空のB747(ジャンボ機)を革命軍のトラックやパトカーが追走して止めようとするのだが、あまりにあり得ない。燃料満載で加速が遅いとは言え、ジェット旅客機は静止状態から40〜50秒で時速250km程度まで加速して飛び立つ。この間の滑走距離は長くても2000mくらい。クルマで後ろから追いかけて追いつけるようなものじゃない。
画像 エンジンのすぐ後ろをトラックが走るカットも出てきたが、自殺行為だ。離陸時で最大推力のジェットエンジンは満載のダンプカーでも吹き飛ばしてしまうようなパワーである。それに、滑走路の様子は管制塔が監視してるんだから、武装した車両なんかが入って来たら、理由はどうあれ無線で指示して飛行機の方を止めるだろう。発砲でもされたら、大事故・大惨事になりかねない。リアリティにこだわっているはずの映画だけに、ここだけはとても残念な脚色だ。淡々とした展開だけに、観客が手に汗握るような場面を一箇所くらいは作りたかったという制作陣の気持ちもわかるが、一線を越えていると思う。「ダイハード」や「007」的な映画なら何をやってもいいだろうが、「事実に基づく」と謳う以上、脚色はもっと抑制的であっていい。
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▲ローテーション(機首上げ)時のB747の速度は250km/h以上。セダンパトカーやトラックが追いつける速度じゃなかろうが、ボケ!

画像 航空機マニア的視点でもう一言わせてもらうと、スイス航空の旅客機として登場するB747は、2階席部分が長いストレッチ・アッパーデッキの-300型というタイプだが、初号機がスイス航空に納入されたのは1982年なので、映画の舞台である1980年の時点ではまだ登場していない。スイス航空は-300型のキックオフカスタマーではあるので、-300型が出てくること自体はおかしくないのだが、時代と合致していないのが惜しい。おそらく、2階席の短い旧型(-100型/-200型)は稀少になってきているので、撮影のために調達できなかったのだろうが、CGで書き換えることくらいそう難しいことではあるまい。上記のカーチェイスシーンと併せ、航空機にちょっとでも詳しいアドバイザーが制作陣にいなかったのかな、と思う。

【追記】
 上記の記事をアップ後、映画の画像を改めてよくよく見てみたが、やはりおかしい。下の2枚の写真を見てほしい。上が1980年当時の「最新型」であるB747-200、下が1982年就航の改良型、B747-300。映画に出てくるジャンボ機は、どちらのタイプとも異なるのだ。-200型であれば、アッパーデッキの窓数は3枚、就航後に多窓に改修されたタイプでも9枚程度。映画のジャンボ機は一見してそれ以上の窓があるので、-300型だろうと判断した。
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 ところが、-300型の写真をよく見ると、アッパーデッキの窓は主翼の付け根にあるNo.2ドアの上まで伸びており、アッパーデッキのふくらみは機体のほぼ中央にまで達している。映画のジャンボ機は、-300型にしてはアッパーデッキのふくらみが明らかに短く、窓もNo.2ドアの上よりも機首側で終わっている。また、-300型なら窓数は20毎程度だが、映画では14枚しかない。つまり、映画「アルゴ」に出てくるスイス航空のボーイング747は、-200型のフォルムに-300型ふうの窓をアッパーデッキに付け足した、デタラメ飛行機ということになる。実写じゃこういうことはあり得ないから、CGなのだろう。

 映画の映像には、いろんなツッコミどころがあるものである。

 同じことに気付いた人がいないかと探したら、いた。「“Argo” and the 747」。英語ブログだけど、「時速170マイルで走れる軍用ジープや警察セダンがどこにある?」「-300型はこの事件の4年後までデリバリーされない」など。さらに、CGで作られたB747のフォルムはひどすぎる。中学2年生がiPadでガチャガチャと張り合わせたようじゃないか・・・と手厳しい。カリフォルニアやアリゾナの砂漠には使われなくなった747がいっぱいあるんだから、CGなんて使わずにそこで撮影すればよいのに、とも。さらに、6人の外交官が脱出の際に登場した飛行機は、実際にはB747ではなくDouglas DC-8だったそうだ。


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