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zoom RSS フランスで起きたエアバスA320機の墜落について・・・その2

<<   作成日時 : 2015/03/30 23:00   >>

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画像 フランスで起きた独エアバス機の墜落事故、26日のフランス検事当局の衝撃的な発表以降、墜落に至る過程が徐々に明らかになりつつある。

 現時点で、3つの感想がある。

1. 過去の教訓が活かされていない。
 今回の件を「信じられない」「前代未聞」と言う人もいるが、ちゃんちゃらおかしい。似たような事例は過去に起きているのだ。パイロットが水平飛行中に意図的に機体を墜落させた例は、過去に少なくとも3例ある。副操縦士が離席した隙に機長が機体を急降下・墜落させたと推定されるシルクエアー185便墜落事故(1997年12月19日)、機長が離席した隙に副操縦士が機体を急降下・墜落させた、エジプト航空990便墜落事故(1999年10月31日)、機長が副操縦士を操縦室から閉め出して機体を墜落させたLAMモザンビーク航空470便墜落事故(2013年11月29日)だ。いずれも乗員乗客全員が死亡している。これに、機長または副操縦士の意図的行動が強く疑われているマレーシア航空370便行方不明事件(2014年3月8日・機体は未発見)を加えれば、4例となる。また、墜落には至っていないものの2012年3月にはアメリカでも、機長が飛行中に異常な行動を取り、副操縦士が機長を操縦室から閉め出して機体を緊急着陸させるという事件も起きている(ジェットブルー191便事件)。

 「コクピット締め出し」やパイロットの「異常行動」について、有効な対策がなぜ議論されて来なかったのか。

2. これはコストカットの結果である。
画像 当事者である副操縦士の病歴や乗務不適格とする診断結果がスルーされていた、などが26日の発表以降、色々と報じられている。交際相手の女性が異常な行動、言動を目撃していた、という報道は、1982年のJAL機羽田沖墜落事故の機長の様子を彷彿とさせる。エアライン側は当然、「国の基準に従った適切な検査を行い、すべてパスしていた」と主張するだろうが、結果としてこのような事態は起きているわけで、道義的責任を免れることはできない。

画像 きのうの「報道ステーションSunday」で、航空評論家の杉江弘氏(元JAL機長)が、「日本に比べれば欧米の適性検査の基準は低い。日本であれば、こういうパイロットが乗務に就くことは考えられない」という趣旨のことを話していた。日本の基準が、航空先進国とされる欧米に比べても厳しいのはなぜなのか、羽田沖事故の教訓があってのことなのかどうかはわからないが、フランスの長距離国際線では巡航時に副操縦士2名による操縦が認められている(機長1名・副操縦士2名で乗務し、機長の休憩時には副操縦士2名が操縦席に着く。日本のエアラインの場合、交替要員を乗せる場合は必ず機長2名・副操縦士1名とし、機長不在の時間帯ができないようにしている)ということなどと重ね合わせると、ストンと納得は行く。身体検査や適性検査の基準を厳しくし、医師の診断結果などを厳格に管理することは、結局はコストに帰結する。これは、エアラインのコストカットと、それを許した行政当局が招いた事故と見るべきである。

3. 操縦室の締め出し対策を早急に講じるべきである。
画像 2人のパイロットはいかなる場合でも操縦室に立ち入り可能でなくてはならない。上述の杉江氏は「機長はいかなる場合でも操縦室に入れるように」と述べていたが、機長による意図的墜落事故も起きていることを考えると、機長・副操縦士、両名ともに操縦室には常に入れる手段を用意しておくべきだろう。また、機体の点検や不具合への対処のために操縦室外に出なければならないこともある。操縦室内にトイレを設けるというようなことでは、解決にならない。

 操縦室の「完全施錠」方式は9.11後のハイジャック対策として導入されたものだが、パイロットが相方を閉め出し、意図的に機体を墜落させることには対処できない。皮肉なことだが、テロリストによるハイジャック対策として為されたことが、パイロット自身がテロリストと化して自爆墜落の道を開いてしまったのだ。外部から開けられるようにするとハイジャックの危険性が再び上がる(トイレに出たパイロットを羽交い締めにして操縦室に押し入るなど)という指摘はあるだろうが、パイロットによるテロを想定した対策が取られていないことは、別の意味での危険性を上げてしまう。両立させるのは簡単なことではないが、リスクの多寡を比較考量する、冷静な議論が必要だろう。

 ただ一つ言えることは、乗員乗客を人質に取り、機体が墜落の危機に瀕するような「本格的」なハイジャック事件が、9.11事件以降一例しか起きていない(キャンジェット航空918便ハイジャック事件/2009年4月19日=犯人は拘束)のに対し、パイロットの異常行動による墜落または墜落未遂事故(疑いを含む)は3件起きているという事実である。

 それから、どんなに対策を尽くしたとしても、パイロットによる意図的な墜落を完全に防止することは不可能ということは、認識されるべきだろう。訓練を積んだパイロットであれば、水平飛行からほんの数十秒で、回復不能な失速、操縦不能状態に入れることはできる。どちらか1人がトイレのために離室してしまえば、いともたやすいことである。客室乗務員などが監視役として操縦室にいたとしても、操縦資格を持たないものには機体を立て直すことはできない。離室した相方が異変を察知して戻ったときには手遅れ、ということはあり得ることだ。だからこそ、精神面を含めたパイロットの健康状態の厳格な管理が重要になる。

 エアライン内部にいる乗員によるテロは、外部のテロリストへの対策よりもはるかに難しい。今回の事件は、航空業界に重い課題を突きつけることになる。それは、過去の数々の類例に見て見ぬふりをし、対策を怠ってきたツケとも言える。
【Ocean Radio@2015】

▼コクピットドア・ロックシステムを解説するエアバス社のビデオ



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