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zoom RSS 辺野古基地建設について・・・政府が話し合う相手はワシントンだ

<<   作成日時 : 2015/04/01 23:00   >>

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 けさ、通勤電車内で産経新聞の社説(電子版)を読んでいたら、こんなことが書いてあった。

 「軍事力の拡張を続ける中国は海洋進出を強め、尖閣諸島(沖縄県)の奪取をうかがっている。日米同盟を強化し南西諸島の守りを固めなければならない。米軍基地をめぐる混乱は抑止力を損ない、沖縄の安全を危うくする」。

 相変わらずこんな妄論を、と思った。この筋立て自体が完全に間違い、と言うかウソ。


 アメリカは尖閣で中国とやり合うつもりはまったくない。それどころか、「ちっぽけな岩礁をめぐってアメリカの若者の血を流すことは馬鹿げている」(米軍機関紙「STARS AND STRIPES」)とまで言っている。

 中国の航空機、艦船による日本領空・領海への接近が急増し緊張感が高まっているのは事実だが、こうした事態に対処するのは空海自衛隊や海上保安庁だ。対中抑止で重要なのは空海戦力であり、地上戦力である海兵隊は役に立たない。そもそも在日米軍は日本の領土警護の責任は負っていない。アメリカは、尖閣は日米安保の範囲内と繰り返し表明しているが、そのことは前にも書いたように、尖閣諸島が武力侵攻を受けるようにな事態になった際に米軍が「ただちに反撃する」ことを「意味しない」。

 抑止力の根幹は「意志」と「能力」である。アメリカ政府には、日本の領土問題で中国と軍事的に対峙する「意志はない」し、海兵隊に中国の戦闘機や潜水艦を相手にする「能力はない」。つまり海兵隊を沖縄に置いておいたところで抑止力として機能しない。沖縄方言ではウソのことを「ゆくし」と言う。「抑止はゆくし」とよく言われるが、この事実が、産経新聞等の「情宣活動」の効果もあり、さっぱり本土で認識が広がっていかない。

 4軍(陸海空海兵)全体で見れば、アメリカ政府は、海外に常駐する部隊をできるだけ減らし、部隊を効率的に配置展開して行こうという再編策の途上にある。その中にあって、海兵隊が「辺野古に基地が必要」と言い張るのは、自分たちの既得権維持という目的があるからである。海軍は空母を、陸上部隊は基地を絶対に手放そうとしないと言われるように、軍には、将官のポストや給与に直結する既得権を死守しようとする官僚組織の側面もある。普天間基地の閉鎖・返還を日本政府が求めている中で、代替施設も用意せずにただ「出て行ってくれ」と言うだけでは海兵隊が納得しない、というのは確かにそのとおりだろう。たとえそれが、日本人として見ればどんなに無理筋なことであっても。

 辺野古に海兵隊の新基地を造ることと抑止力とは関係が無い。それでも、百歩譲って、「海兵隊にとって居心地の良い場所を提供すること」「アメリカのゴキゲンを取ること」「日米同盟が強固であることを世界に印象づけること」がトータルで見て長期的な”外交的”抑止力につながるのだ、という理論が正しいとする。であればなおのこと、新基地を沖縄に置く必然性はゼロである。実際、民主党政権で防衛大臣だった森本敏氏は「軍事的に沖縄である必要はないが、政治的には沖縄しかない」と発言しているのだ。「政治的」とは、反対運動を押さえ込み、地元を懐柔し、基地建設に対し地元になんとか「ウン」と言わせられそうな場所が沖縄しかない、そういうことである。沖縄はなめられているのだ。今から本土に新たな候補地を探すような火ダルマにはなりたくない、代替施設の提供はアメリカとの約束なのだから、何がなんでもやるしかない、そういう思考停止である。

 沖縄県は、ワシントンに事務所を開設し、アメリカ政府や議会に対して建設中止のロビー活動をやろうとしている。先月末には、事務所の開設費などを含む予算が県議会を通過した(自民党会派は反対)。だが現時点では、こうした活動が功を奏し、アメリカの側から「地元の反対が強い辺野古に基地を造っても運用に支障を来す。他の方法を考えましょう」などと言ってくることは、考えにくいと私は思う。辺野古の基地建設は日本とアメリカの約束事であり、アメリカは約束の履行を求めているに過ぎず、諸々の問題解決は日本側の責任だからである。だからこそ、今からでも遅くはない。日本政府のやるべきことは、沖縄の民意を受けてアメリカとの交渉を仕切り直すことである。「民主国家として、地元の反対が強い辺野古に基地建設を強行することはできない。代替手段を検討しませんか」と。こう正面を切って申し向けたときに、オバマ政権はまったく聴く耳を持たないだろうか。そうとは思えない。こう着状態が18年も続いている基地建設である。計画そのものに無理があることは向こうも気づいているはずであり、相談に乗らない相手ではないのではないか。

 代替手段とは、MV22オスプレイを中心とする普天間基地の飛行隊をグアムやハワイに移駐させる経費負担と、辺野古のキャンプシュワブにいる海兵遠征軍(31MEU)の移動手段の提供だろう。2012年の米軍再編かかわる日米合意によって、沖縄に駐留する海兵隊の実働部隊や司令部はグアムに移駐することが決まった。沖縄に残るのは2200人規模の31MEUのみで、この部隊は本国から半年単位で派遣されてくる遠征軍だ。しかも1年の半分以上をアジア各地で訓練や民生支援で動き回っていて、沖縄を留守にしている。であるなら、オスプレイなどの飛行部隊を沖縄に置いておく意味はない(乗せる兵隊が1年の半分以上留守なのだから!)。オスプレイの行動半径は600kmだが、この航続距離では沖縄から台湾を往復するのがやっとで、海外での作戦や訓練に従事するためには輸送艦に乗せるか空中給油を繰り返しながら飛ぶしかない。単なる飛行訓練拠点(戦闘訓練拠点ではない)としてしか機能しないオスプレイの基地のために、あれだけの無茶と途方もない国費、そして取り返しのつかない環境破壊までやって新基地を建設しなくてはならないのか。日本が民主国家であるというのなら、政府のやるべきことは、「新基地建設はアメリカとの約束」で思考硬直するのではなく、その点をきちんとアメリカと交渉し直し、最適解を探り直すことだろう。政府の話し合うべき相手は、沖縄ではなくアメリカ政府だ

 先週、沖縄訪問中に読んだ地元紙の中に、「辺野古の闘争は、しばしば成田国際以降建設をめぐる闘争と比較される。複数の死者を出しながら、成田空港は完成した。なぜか」という論考があった。同記事はその答えとして仲地博沖縄大学長の「少なからぬ国民が国際空港の必要性を感じていた。復帰闘争と違い、全国民的な共感を得られなかった」との指摘を紹介している。さて、辺野古の新基地建設は国民が必要性を感じていると言えるのだろうか。

 辺野古に基地は本当に必要なのか。メディアと国民が論点を共有し、政府や国会に議論をうながすべき問題である。「移設が阻まれれば普天間飛行場の危険性は取り除けない」(産経社説)、「米軍基地をめぐる混乱は抑止力を損ない、沖縄の安全を危うくする」(同)で思考停止するのは、民主国家のあるべき姿とは言えない。
【Ocean Radio@2015】


【主張】辺野古移設 話し合いの土俵を整えよ - 産経ニュース
 米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、移設を推進する国と、阻止を唱える沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事との対立が決定的になろうとしている。
 国の一連の手続きに瑕疵(かし)はない。県側の姿勢は国益の判断を避けた、かたくななものであることは否定できない。
 だが、双方とも現実的な打開策を話し合うテーブルにさえついていない。トップ同士で話し合う努力を求めたい。
 これを受けて、中谷元・防衛相は海底ボーリング作業を6月までに終え、夏にも埋め立てに着手すると表明した。
 一方、翁長氏は農水相の方針決定に反発し、移設を阻止する新たな対抗措置を検討している。
 翁長氏の指示は、農水省が所管する水産資源保護法に基づく岩礁破砕許可が根拠だった。そこで林氏が農水相としての判断を求められたのだが、普天間の危険性除去と日米同盟の信頼関係も考慮した常識的な判断といえよう。
 移設が阻まれれば普天間飛行場の危険性は取り除けない。平成16年には、米軍ヘリが飛行場に隣接する沖縄国際大に墜落する事故が起きた。政府、地元自治体ともにもう先送りできない問題だ。
 軍事力の拡張を続ける中国は海洋進出を強め、尖閣諸島(沖縄県)の奪取をうかがっている。日米同盟を強化し南西諸島の守りを固めなければならない。米軍基地をめぐる混乱は抑止力を損ない、沖縄の安全を危うくする。
 裁判闘争に至れば対立の構図が固定化する。日本の安全保障に加え、危険と隣り合わせの周辺住民の安全がかかる重大事であり、泥沼化する事態は避けるべきだ。
 林芳正農林水産相は、さきに翁長氏が沖縄防衛局に対して発した海底作業の停止指示を「執行停止」とすることを決めた。今後、指示の妥当性を精査して「無効」の判断を下す見通しだ。
 翁長氏の指示は、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事時代の県の立場を十分な根拠なく覆すものだ。法的にも、安全保障の観点からも、移設阻止を選択すべきではない。
 しかし、国が法にのっとって粛々と工事を進めるとしても、県民との信頼関係なしには、円滑な基地運用も難しくなる。
 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、知事との会談に前向きな考えを示している。冷静に話し合える土俵をまずは整えてほしい。


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▲3月29日(日)「沖縄タイムス」。沖縄の新聞事情については別稿で詳述





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