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zoom RSS 軽井沢バス事故・・・なんという既視感だろう

<<   作成日時 : 2016/01/17 14:34   >>

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 長野県軽井沢町で14人が死亡したバス事故について。事故を起こしたバス会社のずさんな営業実態が、またぞろ、ボロボロと出てきている。運転手の健康診断が行われていない、出発点呼が行われていない、運行指示書に具体的なルートが記載されていない、目的地に着いてもいないのに運行終了の判が押されている、運転手が無断でルートを変更していた、国の基準を下下回る運賃で受注していた、複数の運転手が基準を超過する勤務を行っていた・・・などなど。なんという既視感だろうと思う。4年前の関越道バス事故でも、バス会社の法令違反が山ほど出てきた。そして規制や取り締まりが強化されたはずだった。それなのに、事故は再発した。

 はっきりと言えることは、安い料金を求める旅行会社や利用者のニーズと、インバウンド(外国人旅行者)の急増によるバス不足・運転手不足を前に、行政による規制や監視は有名無実となり、質の悪い業者を排除できなかったということだろう。事故を起こしたバス会社「イーエスピー」(東京都)は、警備業からの異業種参入で、2年前にバス事業の認可(関自旅一第12号・東京都登録旅行業第2-6850号)を取得したばかりの会社だった。こういう零細事業者を買い叩かなければ成立しないスキーツアーだった、ということは容易に想像できることではないだろうか。会社の安全意識というものは、いくら取り繕おうとしても、経営者や社員の言動や行動に出るものだ。旅行主催者であるキースツアーズとバス会社・イーエスピーとの取引関係がどれほどのものであったかはわからないが、バス会社のいい加減さに気づくチャンスはいくらでもありながら、旅行会社側はそれに見て見ぬふりをしてきたのではないかと、私は思う。

■「いい加減なバス会社」だから起きた事故なのか?
 それにしても思うのは、今回の事故は、法令を守らないいい加減なバス会社「だから」起きたこと、と言い切ってしまってよいのか、ということ。確かに、死者を出すような重大事故を起こす会社は、零細で法令を守っていたら仕事にならないようなところがほとんどだろう。だが、だからと言って、法令を守り、ちゃんとした運賃を取り、運転手をしっかり休息させているバス会社であれば事故は起こらない、と言いえるのか?

 ワタシは、そうは思わない。どんなに休息を取った運転手でも、健康チェックを受けている運転手でも、突然の居眠りや意識不明になる可能性は常にあるのだ。バスという乗り物は、40数名の命が運転手の腕一本に託されており、その運転手が突然機能不全に陥ったとき、バックアップやフェールセーフが一切ないという本質的な危険性を持っているのだ。鉄道には、信号無視や速度超過に対する安全装置があり、居眠りを検知すると警告の後に列車は自動で止まる。旅客機にはパイロットが必ず2人乗っている。バスには、そういうバックアップがまったくなく、1人の運転手に何かあれば「ジ・エンド」なのである。それを危ぶむ声が、これだけの惨事を経ても、ほとんど目にしないことが不思議でならない。

 前回も書いたが、「運転手1人」をバックアップする装置は、実用化している。自動ブレーキや車線逸脱警報、居眠り監視装置などだ。これらの運転支援装置により、事故は回避できるか、相当程度の被害軽減を図ることができる。これは間違いない。今回の事故を受けて、こういう装備の普及速度を上げるべきだ、という意見がどうしてもっと出てこないのだろう。自動ブレーキ装置は義務化されたが、対象は2014年秋以降販売の新モデルと2017年9月以降に発売される新車(既発モデルの改良車)のみ。16〜17年と言われるバスの使用年数から考えれば、すべてのバスに自動ブレーキが装備されるのは2034年、今から18年後ということになる。あまりに遅いと言わざるを得ない。義務化の年限を切り、今あるバスを自動ブレーキ非装備という理由で使えなくすると「財産権の侵害になる」と国交省は判断したようだが、バス会社の経営上の都合と乗客の命と、どっちが大事なのか、という話だ。

■シートベルト非装着で発進させてはならない!
 もう一つ注目しているのが、今回の事故で、シートベルト装着の有無が明暗を分けたという事実だ。軽傷だった乗客の多くがシートベルトを装着していたのに対し、重傷や死亡した乗客はほとんどがシートベルト非装着だったと見られている。衝撃で投げ飛ばされて頭を打ったり車体の下敷きになるようなタイプの事故だったため、当然のことだろう。

 バス(市内路線を除く)を含め、着席時のシートベルト装着は2008年6月に義務化されている。バスでは、掲示による告知に加えて運転手が「シートベルトをおしめください」というようなアナウンスをほぼ必ず行っている(今回の事故では、アナウンスを聞いていないという証言が多いらしいが)。しかし実際のところは、ワタシも含めてだが。シートベルトを装着しない乗客が多いのは間違いない。バスは飛行機に比べると座席幅が狭いので、横に乗客が座っているとベルトを引き回すのが面倒だし、ベルトやバックルが座席の下に潜ってしまって見つけにくいようなこともある。飛行機ほどうるさく言われるわけでもないので、まぁいいか、とついついなってしまう。

 しかし、事故による衝撃の危険性は乗用車もバスも変わりは無いのだ。シートベルトの装着有無が明暗を分けることがこれだけはっきりしているのだ。シートベルト装着は、より徹底されるべきだろう。少なくとも、飛行機のように乗務員が直接確認するくらいのことは、すべきではないだろうか。もちろん、手間がかかるし、運転手がいちいち席を立つ分だけ所要時間がかかってしまうが、乗客の命と所要時間と、どっちが大事なのか、ということである。

 一部の乗用車には、後部座席にもシートベルトリマインダーが装備されていて、非装着だと警報音が鳴るようになっている。こういう装置を、バスにも導入すべきだろう。運転席で乗客のシートベルト状況を確認できれば、運転手が席を立つ必要もなくなる。乗客全員がシートベルトを装着するまではバスを発進させてはならない。シートベルトはこれくらい徹底されるべきではないか。

 結局このことも、上に書いた運転支援装置のことと重なるのだが、事故防止や乗客の命を守るための技術導入に、行政やバス業界がどれくらい本気で取り組むか、それが問われているのではないだろうか。

 本気になれば、事故は今よりも間違いなく減らせる。関越道バス事故でも得られた教訓のはずだが、本気の取り組みがなされてきたとは言いがたい。それが何よりも、腹立たしい。

【Ocean Radio@2016】


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▲2012年5月7日/読売新聞

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▲2012年11月2日/朝日新聞



<参考>
バスの業界団体である「東京バス協会」の加盟社は80社。東京都の貸切バス事業者数が364社(関東運輸局統計・2013年度)と比較すると、非常に低い加盟率と言わねばならない。したがって、東京バス協会加盟社であることが「安心なバス会社の証し」のようにとらえることは、現実離れしていると言うべきだろう。

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