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zoom RSS 吹雪の大脱出・・・新千歳空港JAL機トラブルについて

<<   作成日時 : 2016/02/27 23:00   >>

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画像 今週水曜日(2月23日)、新千歳空港で起きた、3人の軽傷者を出したJAL3711便(ボーイング737-800 JA322J号機)の重大インシデントについて。

 吹雪の中、脱出シュートを使用した脱出事案だったことに、まず驚いた。脱出シュートは、機体に火災が発生したり発生の危険性があるときに、乗客乗員を速やかに(90秒以内)に避難させるために各ドアに備えられた空気膨張式の滑り台で、若干のケガ人発生は織り込み済みとされている。焼け死ぬよりはマシ、というわけだ。機長としては、これを使用して脱出を命ずるのは勇気が必要な決断だ。そうせざるを得ない切迫した状況、火災が発生して機体が炎上するような事態が相当程度予測される状況だった、ということなのだろう。吹雪の中外に出された乗客は大変な思いをしたと思うが、飛行機という乗り物は、非常にまれとは言え、こういう事態が起こり得る乗り物だと思って利用するしかないのだろう。国内エアラインで脱出シュートが実際に使われたのは、バッテリー火災で高松空港に緊急着陸したANA692便の緊急脱出が行われた2013年1月16日以来だ。


 夜のニュースを見ていたら、元JAL機長の小林宏之氏が、エンジン停止後エンジン内に燃え残った燃料が発火する「ポストシャットダウン現象」ではないか、と述べていた。ポストシャットダウンとは初耳の用語だが、気象など条件がそろえば、頻度は低いにせよ起こり得る現象だという。客室のエアコンはエンジンから取り込んだ空気を使っているので、エンジンが異常燃焼を起こせば煙や焦げ臭い匂いが漂うことになる。ただ、燃え残りの燃料が燃えるだけなので重大な事態に陥る恐れはないのだそうだ。

 翌日の報道を見ていると、「不完全燃焼」という事故調査官のとりあえずの見立てを、各社が報じていた。使っている用語は違うが、要するにエンジンに供給された燃料が正常に燃焼せずに異常発火したというころで、小林氏の予測とほぼ一致する見立てと思えた。

 さらに同日遅く、軽傷と見られていた3人のうち女性1人が、検査の結果胸椎を圧迫骨折していたことが発表された。これに伴い、本事案は「重大インシデント」から「航空事故」へと「格上げ」された。重傷者の有無が事故かインシデントかの判断の分かれ目なのだろう。機体自体の損傷はなく、機内で負傷者を出したわけでもない(骨折は脱出時に機外で)のに事故認定とは厳しいとは思う。2013年1月のANA692便は軽傷者4名のため重大インシデントだ。692便の場合、機内搭載のバッテリーが熱暴走し、放置すると火災の危険性があるため緊急着陸した。事案の重大性で見れば、692便の方が重篤なように思える。重傷者の有無という機械的なポイントで事故とインシデントを分類するのが正しいのだろうか。

 詳しい調査結果が出るまでには時間がかかると思うが、現時点で気になることをまとめておきたい。

1. なぜエンジンが停止したのか
 報道によると、3711便は滑走路に向けて地上走行中、右エンジンが停止し、その直後にボンと音がして煙が発生した。なぜエンジンが停止したのか。グランドクリアランスが低くエンジンが地上に近いため雪を吸い込みやすいという報道もあったが、それはB737に共通する特徴で、同機は初期型から数えれば日本で40年以上運航されている。類似のトラブルが他の機でも起きていなければおかしい。当日の気象条件も、北海道なら年に数回は経験する程度のものだろう。なぜ3711便に限って、エンジン停止が起きたのか。同機の整備状況など固有の要因があったのではないか。解明が待たれる。

2. 機長はどれくらいの切迫度と認識したのか
 あくまで結果論だが、エンジンは出火しておらず、機体が炎上するような状況ではなかった。今回の、緊急脱出は「万が一の事態に備えて」という予防的措置の側面が強く、切迫した危機的状況であったかと言えば、そうではなかったと思う。機長が状況をどのように認識したかは、明らかにされるべきだ。機体が燃え上がることが相当程度予見できる状況だったのか。だとすれば、操縦席にはどのように情報が伝わり、どのような警告灯や警報音が出ていたのか。(たとえば、エンジン出火を感知した場合は、けたたましい警報音が鳴る) それとも、そこまでの危険性はないが、「念のため」の脱出指示だったのか。
  
3. 避難誘導は適切だったか
 テレビで放送された映像を見ていると、荷物を手にした乗客がかなり目に付いたのが気になった。お土産の紙袋や、中にはキャスター付きバッグを手にした人もいた。緊急脱出に際しては、荷物は「持たない」が鉄則である。荷物を手にすることで行動が遅くなったり通路をふさいだりして逃げ遅れる人が出る可能性があるからだ。乗員は「荷物を持ってはいけない」ことを的確に指示し、持とうとする乗客は制止しなくてはならない。今回はそこまで切迫した事態ではなかったが、あれが、あと数秒で機体が爆発するような状況であれば、荷物に気を取られる数秒間が生死を分けることになりかねない。あのように荷物を持ったまま乗客が脱出して来る状況は「あってはならない」ことであり、乗員による指示誘導が適切だったかどうかは真剣に検証されなくてはならないと思う。

4. ケガ人は防げなかったのか
 乗客がケガをしたのは、脱出シューターを滑り降り、その勢いで腰などを地面に打ち付けたことが原因らしい。脱出シューターは、短時間に乗客を脱出させるためにある程度のけが人の発生は折り込み済みであることを最初に書いた。シューターという構造上、負傷者の発生はやむを得ないことだったようには思うが、それでも、どうしたらケガをせずに済んだのか、という点はしっかりと検証されるべきだと思う。「着地は足から」「体を打ち付けないように注意」こういうことを非常口で叫ぶだけでも、けが人は減らせるかも知れない。そのための努力は、なされるべきだと思う。

5. 緊急脱出を躊躇させるような空気が形成されてはならない
 最後になるが、今回の出来事をもって、機長が緊急脱出をためらうような空気が形成されてはならない、と思う。一瞬の判断が生死を分けることは過去にも何度もある。今回の出来事から得るべき教訓は多いと思う。

【Ocean Radio@2016】



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