旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 2月7日・・・「北方領土の日」に思うこと

<<   作成日時 : 2016/02/07 23:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 0

画像 きょう2月7日は「北方領土の日」だ。1855年、江戸幕府と帝政ロシアとの間で日露和親条約が締結され、日露の国境線を択捉島とウルップ島の間と確定した日に由来するのだそうだ。

 札幌の雪まつり会場では北方領土問題のブースが設けられ、毎年署名運動が行われている。ところで、この返還運動に際して当たり前のように語られる「四島一括返還」というスローガンが、後付けの、極めて政治性の強いものであることを知る人は意外と少ない。


 敗戦必至の太平洋戦争末期、日本はソ連にこう言ったのだそうだ。「千島も樺太もくれてやる。満州の残留日本人も好きにしていい。だから、アメリカとの和平を仲介してくれ」と。結果、「ソ連による和平仲介」という最も重要なピースを除くすべてのことが、このとおりになった。タダとは言ってないのに約束を守らず領土や捕虜だけいいとこ取りだなんてドロボー同然、許せない、という理屈はもちろん可能だろう。だが一方でソ連は、こう考えたはずである。「くれてやると言ったものをタダでもらって、何が悪い」と。

画像 戦後、サンフランシスコ講和条約で樺太や台湾、南洋諸島とともに、千島列島の放棄を世界に宣言したのは知ってのとおり。この放棄した千島列島に国後・択捉は「含まれない」というのが日本の主張だが、戦後しばらくの日本の認識は違った。外務省は国会で「日本が放棄した千島列島には国後・択捉が含まれる」と答弁しているのである(1951年10月・西村熊雄条約局長)。日ソの国交回復交渉(1955〜)では、歯舞・色丹の2島返還で合意する寸前まで行ったが、領土問題は棚上げされ、平和条約ではなく共同宣言での決着となった(1956年)。日ソ関係の進展を望まないアメリカの意向があった(ダレスの恫喝)という見方があるが、国後・択捉は日本のものだという国内世論の強化も背景にあったことは間違いない。前述の西村答弁は、1956年2月11日の衆議院外務委員会で森下外務政務次官が「右平和条約にいう千島列島の中にも両島は含まれていないというのが政府の見解であります」と答弁し、取り消された。だが、この国内世論の形成にもアメリカが一枚噛んでいるとも言われている。四島一括返還がスローガンになっていったのは、この頃からだ。

画像 択捉・ウルップを日露国境とするというのは平和的に合意されたことであり、それをソ連が反故にしたのは許せない、という主張は日本側から見れば十分に理のあることだろう。だが一方で、国会という公的な場で「放棄した」と宣言した国後・択捉を、後出しで「返せ」と言うのは、分の悪い話ではないかと思う。

 政府は、四島返還が当然のように主張し、戦後の一時期とは言え国後・択捉を「放棄した」と公言した事実、まして非公式の交換条件とは言え「くれてやる」とまで言った日本側の「弱み」をひた隠しにしている。これが誠実な態度と言えるのか、と思う。戦後日本が二島返還で決着やむなしという方針だったのが、なぜ四島返還と言いだしたのか。この意味をよく考えないと「北方領土問題」の本質は見えてこない。

画像 ごく簡単に言えば、北方領土問題がここまで長引いている理由は四島返還を言い続けたからであり、それは日ソ・日ロの親密化を望まないアメリカの影響を強く受けてのことなのである。今後も、四島返還を言い続ける限り解決は未来永劫あり得ないだろうと私は思う。4島は日本固有の領土とアピールし、市民に署名を求めるのが悪いとまでは言わないが、日本政府はこの問題を本気で解決する気があるのか、もっと厳しい目が向けられるべきだ。

 しばしば引き合いに出される話したが、ドイツは戦後、国土の多くを隣国に渡すことで和平の道を進んだ。戦争で奪ったわけではない、ドイツ古来の領土を、だ。

 領土を決めるのは、元々誰のものだったとか、過去に誰の支配下にあったとか、誰が発見したとか誰が住んでいたとか、そういう歴史的経緯や先住性ではない。国境を接する国どうしが合意できるか否か、その一点のみである。歴史的経緯で領土が決まるのなら、ヨーロッパ全土はイタリア(旧ローマ帝国)の領土だという理屈だって成り立ちかねない。そんなバカな話はないだろう。
【Ocean Radio@2016】



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
広島にて・・・オバマ訪問に思うこと
 札幌に赴任して1週間、今度は広島に来た。オバマ大統領の訪問時期と重なったのはまったくの偶然で、何ヶ月も前から決まっていた日程だ。きのうは街中が厳戒態勢だったらしいが、一夜明けると打って変わって、いつもの様子になっていた。 ...続きを見る
旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記
2016/05/28 17:37
「四島返還」論では領土問題は永久に解決しない
 「鈴木宗男 VS 竹田恒泰「北方領土問題」について激論を交わす」という記事を、たまたまネットで見つけた。 ...続きを見る
旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記
2016/09/08 08:55

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
2月7日・・・「北方領土の日」に思うこと 旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる