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zoom RSS 宮の森コンドミニアムの何が問題なのか

<<   作成日時 : 2016/02/10 23:00   >>

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画像 札幌・宮の森で中国企業が建設中のコンドミニアム(分譲マンション)に関する記事を掲載して以来、多くの反響をいただいている。現地では、このことに関心を持つ住民も増え、問題点の共有が少しずつ進みつつあるようだ。新たにこの件に関心を持つ人も多いので、これまでの経緯と論点を簡単にまとめておきたい。

 この問題は、中国系のメディア企業・海潤社(本社=札幌市中央区)が、同市中央区宮の森4条12丁目でマンションと称するコンドミニアム「雅殿」を建設しているものだ。コンドミニアムとは、家具家電やキッチン・リビングを備えた宿泊施設のことで、「我が家」の感覚でゆったりと長期滞在できることから、欧米の外国人に人気が高い。ハワイなどのリゾート地には昔からあるし、日本でもニセコなどのスキーリゾートでは10年ほど前から外国資本によるコンドミニアム開発が進んでいる。

画像 ところが、現場の宮の森4条12丁目は都市計画法の「第1種低層住居専用地域」であるため土地利用は低層住宅等に厳しく制限されていて、ホテルなどの宿泊施設は立地することができない。そのことを知ってか知らずかは不明だが、海潤社は札幌市に対し「集合住宅」(いわゆる「マンション」)として建築確認(建築許可)を申請し、何度か詳細な変更はあったようだが、「住宅としての要件を満たしている」と判断した札幌市は、2014年11月に建築を許可した。雅殿は去年7月に着工され、今年9月に完成予定という。だがしかし、同社ホームページ上の物件概要は「コンドミニアム」となっており、HP上の事業計画も外国人向けの宿泊施設として物件を使用することが類推できる内容だった。マンションとして建設された建物が宿泊施設として使用されるのであれば、建築基準法・都市計画法・旅館業法、3つの法律に違反する可能性がある偽装宿泊施設である。周辺住民がそのことに疑問を持ち、当ブログでもその点を指摘したところ、海潤社は当ブログに対し「コンドミニアムというのは用語の誤用であり、正しくはマンション。別荘として使用し、旅行者を宿泊させるようなことはしない」とのコメントを寄せ、物件概要もコンドミニアムからマンションに修正された。しかし、マンションであるとしても誰がどのような目的でどれくらいの期間居住するかは判然とせず、海潤社の場当たり的な対応にも不信感が募り、周辺の一部住民は警戒感を強めている。住民は海潤社側に説明会の開催や運用や居住に関する協定を住民と結ぶよう求めているが、きょう現在、明確な回答はないようだ。

 海潤社のコンドミニアム計画(注)について、筆者が考える現時点での問題は次の4点である。これまでに書いてきた論考と重複する内容もあるが、改めて解説させてほしい。

注:海潤側は「コンドミニアムは誤用で正確にはマンション」と説明しているが、「コンドミニアム」は元々海潤社が出してきたコトバであるし、本物件は「コンドミニアム(宿泊施設)」と称した方が実態に近いと思うので、当ブログは「雅殿=コンドミニアム」と表記することを原則とさせていただく。

@宿泊施設への転用の疑いが払拭できない
 海潤社は、建設中のコンドミニアムは海外の富裕層が別荘として使うと説明している。しかし、説明がその通りだとしても、オーナーが別荘にやって来るのはどんなに長くても年に2〜3か月だろう。それ以外の期間はどうするのか、という疑問が当然に沸く。海外では、自分が使わない期間の別荘を週単位、月単位でレンタルして収益を得ることが普通に行われている。だが、日本では別荘レンタルは宿泊営業に該当し、旅館業法の営業許可がなければ法律違反だ。しかも、本物件が建つ位置は都市計画法で旅館業の開業は認められていない。

 現時点での海潤社の説明だけでは、本物件の目的が居住のみならず、部屋の転貸等による違法な宿泊営業を行う意図があるのではないかという疑いが払拭されているとは到底言えない。これが第1の問題点である。

A将来にわたる物件管理のあり方が不透明である
 本物件は、外国企業による外国人のための施設である。海潤社もそのことは認めている。説明どおりに海外の富裕層が購入し区分所有者となったとしても、そのオーナーが未来永劫所有し続けるかどうかは、まったくわからない。さらに言えば、オーナー自身がこの物件に本当に居住する意志があるかどうかも、わからない。値上がりを見込み、投機目的で購入しているかも知れない。あるいは、当初は普通に居住していたオーナーも、「飽きた」「破産した」などの理由で物件を手放し、転売が繰り返されるかも知れない。分譲マンションの場合、区分所有者それぞれが独立したオーナーだから、自分の物件(部屋)をどう使おうと、基本的にオーナーの自由だ。違法な使い方をするオーナーが現われないとも限らない。分譲マンションでは、建物全体にかかわる重要事項は区分所有者で組織する管理組合で決めなくてはならないが、オーナーが海外に点在していれば総会を開くことが出来ず、委任状を取るにも居所がわからず、何一つ決められない、などということもあり得る。物件管理の安定性という点では、日本人が所有・管理する物件よりは安定度が低いことは間違いないだろう。

 建物は、一度建ってしまえば数十年の長きにわたって周辺に影響を与える存在である。将来にわたりどういう使い方がされ、どういう管理がされるのかが不透明というのが、第2の問題点だ。

B海外での営業実態が不明である
 分譲マンションとして販売されている以上、購入者を募るための営業活動が行われているはずだ。だが、外国企業が外国で、外国人を相手にどういう営業をしているのかは日本にいる私たちにはまったく見えない。いくら海潤社は「ホテルとしては使わない。オーナー自らが居住する以外の用途はない」などと説明しても、その通りの説明が購入希望者に対して行われているのかどうかは、検証する手段がない。「オーナーが住まないときはレンタルで収益を上げられますよ」「値上がりして売れば儲かりますよ」などと説明していていたとしても、私たちにはわからないのだ。

 何千万円のものを売るわけだから、カタログなり物件説明書なり価格表なりが、紙ベースであれWEBベースであれ存在するはずだ。いくら金持ちでも、口頭説明だけで何千万円もの買物をする人はいるはずがない。周辺住民から信頼を得ようとするならそういう営業資料を開示すべきだと思うが、海潤社にその気はないようだ。

 海外でどんな営業活動を行い、どんな説明をしているのかがまったくわからないことが、第3の問題点である。

Cコミュニティへの参加意思が不明である
 札幌・宮の森地区は南北に広く、地下鉄駅から近く商店や飲食店、オフィスビル、マンションや一戸建てが混在した下町的地区(おおむね1丁目〜8丁目あたり)と、一戸建てを中心とした上町的地区(おおむね9丁目〜18丁目)とがある。本物件が位置する宮の森4条12丁目も典型的な上町的地区で、ほとんどの住居が一戸建て。それ以外は、住居兼用の飲食店や事務所がポツポツに小学校がある程度の場所だ。こういう地区は当然、持ち家率が高く、長く住むことを前提に、住民は利便性よりも静穏な住環境を求めてやってくる。近隣住民どうしは顔見知りでコミュニティが形成され、ゴミ出しや除雪、夜間の騒音を控えることなど、ルールを形成している。そこに住む以上は、そのルールに同意することと、濃淡はあれども、そのコミュニティに参加することが求められる。ルールと言っても常識の範囲内だし、参加と言っても向こう三軒両隣に顔と名前を覚えてもらい、道で会ったら挨拶をする、その程度のことだ。

 しかし、年に2〜3か月しか住まない外国人たちが、隣人となる日本人住民と言葉を交わし、素性を明かし、コミュニケーションを持とうとするだろうか。言い換えれば、この物件に入ってくる外国人たちは、コミュニティの一員となる意志があるのだろうか。どこが本拠地で何をしている人かもわからない、言葉が通じない(かも知れない)、隣人と挨拶もしない、そういう外国人たちが住む物件を住民が歓迎しないのは、地域の性格からして当然のことだろう。これが第4の問題点だ。

 簡単にまとめると「ようわからん」という、一言に尽きる。得体の知れないヒトやモノに対して住民が防御的になるのは自然なことで、海潤社はその不安を払拭する努力をすべきなのだが、これまでの海潤社の姿勢は、警戒心を持つ住民の心情に対してあまりにも無配慮と言うべきだろう。これが最大の問題点だ。

画像 聞くところによると現地では、海潤社の計画に理解を示す住民と、警戒感をあらわにする住民と二つに割れており、町内会などで一致団結して海潤社と交渉できるような状況ではないらしい。このような問題を抱えた開発計画に対しては住民が団結して対峙するのが最善なのだが、一部住民だけの動きでも意味が無いわけではない。札幌市が建築を許可している以上、今後違法な状態が発生する可能性は置いておくにして少なくとも現時点では、本件計画に法的な問題があるとまでは言えない。であるなばら、施工者側に説明会開催や物件運営に関わる協定締結を求め、違法状態が発生しないよう担保を得ることしか、住民の対抗手段はない。

 何の変哲もない住宅街に、外国人富裕層のための別荘が建つという誰も想定すらしていない事態に、どう対処したら良いのか。「静穏な住環境」をどうしたら維持できるのか。地域のチカラも試されていると言えるのではないだろうか。

画像
▲中央奥に見える白い天幕が海潤社のコンドミニアム「雅殿」の建設現場。写真でわかるように、現場付近は何の変哲も無い、ごく普通の北海道らしい住宅街だ。ここに大荷物を抱えた外国人旅行者がクルマやバスで乗り付けるようなことになると、どういう環境変化が起きるか。数日から数週間で滞在者が入れ替わると、どのような影響があるか。周辺住民が警戒感を持つのは当然だと思う。本文でなんども指摘しているが、この地区での宿泊営業行為は、法律で禁止されている。
【Ocean Radio@2016】



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宮の森コンドミニアム問題・・・「旅館業を行うことは一切ございません」と何度言われても
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旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記
2016/02/16 00:22
宮の森中学前にもコンドミニアム計画
 札幌・宮の森4条12丁目で中国系企業・海潤社が建設中のコンドミニアム(海潤側の説明では「分譲マンション」)について何度も書いてきたが、そこから1キロほど離れたところで、まったく別のコンドミニアム計画が進行している。 ...続きを見る
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2016/03/09 13:09

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