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zoom RSS 日高線のDMV構想について・・・否定的感想をつらつらと

<<   作成日時 : 2017/02/20 23:00   >>

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 JR北海道が廃止・バス転換するとしている日高線の沿線町村会が、バスではなくDMV(デュアルモード・ビークル)への転換構想を、この週末に急に持ち出してきた。日高線の一部区間は高波で路盤が崩落して不通状態となり、JR北海道は復旧を断念して路線全体を廃止してしまいたい考えだが、沿線町村会としては、線路・道路の両方を走行できるDMVの利点を生かし、崩落箇所は一般道を走り、それ以外は鉄路を走行させることで既存の線路をできるだけ残したい考えだ。

 DMVと聞くと、黙っていられない。当ブログでも何度か書いてきたが、この車両の技術的なユニークさと、これを生かした街づくり、地域交通構想の将来性に私は年来注目している。ただ、日高線に関して端的に言えば、実現性は極めて低いと言わざるを得ないと思う。理由は3つ。



1. JR北海道に「やる気」がない
 2015年に開発中止を正式に表明し、開発チームも解散状態にある。JR北海道としては実用化を断念した過去の遺物であり、いまさら営業路線に投入するような気は、さらさらない。しかも開発を主導した柿沼博彦氏(開発当時は副社長、後に会長、特別顧問、技監等)は現状のJRの窮状の「A級戦犯」と見る向きが 社内や国交省にはあり、その遺物をひっぱり出してきて線路を走らせるのは 社内政治的にもきわめて困難だろう。

2. 車両自体が未完成
 技術的に「ほぼ完成」と言われているが、車輛として走らせることができることと、営業路線で運賃を取って走行できることとの意味がはまるで違う。運転士の免許や運行管理のノウハウ、冬場の雪対策や海岸線特有の強風対策と安全性など 法的側面、技術的側面で解決すべき課題はまだまだ山のようにある。とても、営業路線に供用できるようなシロモノではない。それは 開発元であるJR北海道が、これまで蓄積してきた開発データを総動員して主体的に動かない限りはクリアできないことだ。開発チームを再結集して本気で取り組み、国交省が協力的であれば、それほど困難な課題とは思わないが、そのJR北海道に「やる気がない」上に上記の 社内政治的事情もあるとなれば、完成に向けた課題解決は絶望的と言ってよいだろう。

3. 定員が少なすぎる 
 上記「2」とも重なるが、定員問題はDMVの最大のアキレス腱だ。 マイクロバスを改造したDMVの定員は最大でも24人(三次車として最後に製作されたDMV921)。これでは、朝夕のラッシュ時にはいくらローカル線でも輸送力不足だ。この24人という人数も、トヨタの協力で前輪を独立懸架から車軸懸架に変更して軸重を増大させる(乗り心地が若干犠牲になる)という大改造を行った上での数値だ。改造には相当の費用がかかるし、クルマの命である車軸部分をいじるとなると、メーカーではないとムリ。トヨタが今後改造に協力してくれるかどうかは、不透明だろう。通常の独立懸架のままならばメーカーの協力無しでも改造できるが、このままでは16人程度しか乗せられない。実際、二次車として作られたDMV911/912は、デモンストレーションという目的とは裏腹に定員の少なさという問題点ばかりをさらけ出すことになってしまった。
 2〜3両を連結して走らせる技術も開発されたが、少人数でオペレー ションできるほどには成熟しておらず、連結車両は内部で行き来ができなくてはならないなどの法的問題もあって、すぐに営業路線に入れるのは無理だ。 路面電車のように独立した数両を数珠つなぎのようにして走らせる方法もあるが、車両台数分の運転士(運転手)が必要になるので人件費がかさむ上に、単線でこれをやるには GPSを使った高度な運行管理システムが不可欠で、それもまだ完成していない。

 というわけで、国がJR北海道にムチを入れて残された課題解決に猛然と取り組めば別だが、今の状態のDMVを営業路線に入れるのは不可能と言わざるを得ない。じゃあ、国がムチを取るかと言えば、「だったらバスでいいじゃない」ということでしかないのが現状だろう。JR北海道が熱心に開発に取り組んでいた2000年代の後半には国交省もそれなりに応援したし、2008年に開かれた北海道・洞爺湖サミットでは日本の技術を世界にアピールする好機というとらえ方もあったが、JR北海道であれだけ重大事故が多発してしまうと、安全性の基準を下げてまでDMVを実用化すべし、という意見は出て来なくなり、「だったらバスでいいじゃないか」という旧来の認識に回帰してしまった。JRの不祥事が顕在化した2011年以降、バスではなく鉄道を残すことによる地域貢献や活性化という論点が国レベルでもJRレベルでもすっかり後退してしまったかのように見えることは、残念な限りだ。

 これは結果論でしかないが、JRがDMVを実用化させようと躍起になっていた2000年代の半ばに手を挙げて誘致に取り組めば、十分に可能性はあっただろう。が、当時は見向きもしないでいて(ローカル線を抱える道内自治体はどこもそうだった)、いまさら「廃止するならDMVに」とは、10年間何をやっていたの? と町長たちに言いいたい気分だ。

 一縷の望みがあるとすれば、日高線沿線町村が合同で新会社を作り、JRから鉄道資産とDMVの開発データの一切合切を引き継いで自力でDMV実用化まで持って行く方法だろう。いわゆる3セク方式と同じだが、DMVという新たな車両開発をやらなくてはならないぶん、格段にハードルは高いが、ひとたび実用化が成功すれば、運行コストは従来型の鉄道よりも大幅に安く、新たな観光需要や「DMVを実用化させたマチ」として全国的な知名度も約束される。ただ、JR北海道に「やってください」では、ノーと言われるだけだ。そこまでの心意気と鉄路への愛着があるのか、ないのか。沿線自治体の本気度が試されるというべき状況に来ている。

【Ocean Radio@2017】


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内 容 ニックネーム/日時
DMVの技術を実用化することなく闇に葬り去るのはもったいないです。この技術は安易に鉄道路線を廃線してバス転換になることを防止できる可能性があります。
課題点は道路交通法上の扱いかDMV実用化への可能性の
道路交通法の改正だと思います。現在の道交法では
大型二種がないと運転できないというハードルの高さがあります。いっそうのことDMV専用の運転資格の新設が
必要です例外規定として中型二種免許を取得していれば
DVM専用の運転資格取得講習の可能性を国土交通省が
行政として動くべきです。
キサラヅEF200
2017/02/28 08:56

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