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zoom RSS 丘珠空港にジェット機が就航していた

<<   作成日時 : 2017/04/10 23:00   >>

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 丘珠空港にジェットの定期便が就航したというので、様子を見に行って来た。定期便というのは、静岡空港から飛んでくる富士ドリームエアラインズ(FDA)の174/173便。13時30分に到着し、14時00分に出発する。静岡からの所要時間は行きが1時間45分、帰りが1時間50分。機体はブラジル・エンブラエル社の小型ジェット、E170・E175(78〜86席)が使用される。この機体、私も乗ったことがあるが、見た目が小さいだけで内部は通路も頭上スペースも広く、エアバスA320とほぼ変わらない居住性が確保されている優秀な飛行機だ。速くて静かで広い、という点でプロペラ機とは勝負にならないくらい快適。

 「住宅に囲まれた丘珠にジェットはムリ」と言われ続けていた長い時代を知っている身からすれば、世の中は変わるもんだな、と思う。そのきっかけは、丘珠を拠点にDASH8-Q300で道内路線を運航していたANA(エアーニッポンネットワーク=ANET)が、2010年に千歳に撤退したことにさかのぼる。空港利用者は38万人から12万人へと激減し、ターミナルビルを所有する札幌市としては利用者数を回復させるべくFDAのジェット便を誘致。4年前に騒音調査のためのテスト飛行をやったところ「意外と静かじゃないか」という結果になり、その後チャーター便を何回か飛ばした後、去年から週2便の定期便化。今年春からはデイリーの定期便となったのである。丘珠も晴れて「ジェット空港」だ。

 とは言っても、ジェット化のために滑走路が延長されたわけではない。滑走路は1500mのまま。この距離だと路面に雪が積もる冬期間は滑走距離が伸びてしまうため運用できない。このため、ジェット機が就航できるのは雪の心配がない夏季のみで、FDA174/173便も冬は新千歳に就航する。夏季の運航さえも、ショートランウェイでの離陸に対応するためフラップ角度やエンジン出力など、他の空港とは異なるオペレーションをするようだ。

■声が高まる本格ジェット化
 さて、ここからが本題である。夏季限定ながらジェット便の定期便化が実現したことを受け、札幌市は、冬季も安定したジェット運用ができるよう、滑走路を2000m級に延長する検討を始めるのだそうだ。市長がその旨を発言しており、市議会自民党や経済界からは前向きな声が相次いでいるという。上述のANAが退以降の利用低迷にアタマを抱える札幌市としては、通年ジェット化で利便性を大幅に上げ、丘珠の有効活用を図りたいのがホンネではないかと思う。一方で、丘珠空港には、規模拡大という経済界やエアライン側の要請と、騒音等を懸念する周辺住民の猛烈な反対による頓挫を繰り返してきた長い歴史がある。特に、1995〜96年には、ANAがYS-11(プロペラ)の後継機をB737-500(ジェット)に決定したことを受け、ジェット化のための滑走路延長の一歩手前まで行ったが、「周辺住民の理解を得られていない」(国交省の見解)という理由で断念せざるを得なかった。ANAはその後、YS-11の後継機として同じプロペラのDASH8-Q300を4機渋々導入して丘珠に残ったが、機材の運用効率が悪いだのQ300の後継機がないなどと難癖をつけ、結局2010年に撤退してしまった。今度は失敗できないという思いがあるのだろうか、今のところの市当局の物言いは非常に慎重な印象がある。さて、どうなることだろうか。

 私は、ジェット化の是非は別にして、飛行場ならびに現在のターミナルビルを有効活用するためには、滑走路延長は避けて通れないことだろうと考えている。理由は、現行の1500mという滑走路長では就航できる旅客機が極めて限られてしまい、現状以上の規模拡大(利用者増)は望めないからだ。現在丘珠で通年運航しているのはHACのSAAB340(34席)だが、これより大きな機体になるとプロペラ機であっても1500mでは通年運用ができない。ANAの撤退劇で明らかになったように、エアラインとしては、Q300のような丘珠専用の機材を持つことは経営上著しく効率が悪い。その後ANAは道内路線を新千歳に集約することで、より大型で他地域でも運用しているDASH8-Q400に機材を一本化し、Q300は退役した。このように、国内の他の拠点とやりくりの効く機材を入れられないのであれば丘珠に就航すること自体が難しくなってしまう。

 そもそも規模が小さいHACが就航するだけであれば、ANAがいた時代の半分程度の利用者数しか見込めないのが現状だ。FDAの誘致成功でジェット便就航の道筋が付いたようにも見えるが、滑走路の制限のために夏季しか就航できないのであれば、エアラインにとってはメリットが半減してしまう。ANAが拠点を置いていた時代の38万人レベル、あるいはその上を目指そうというのであれば、ジェット・プロペラを問わず、より大きな機材を通年で就航可能にし、道内・道外の多くの都市を結び、利便性を高めるしかない。そのためには、滑走路を延長するしか方法がない。また、丘珠という立地は、札幌都心から至近という点で十分なポテンシャルがあるはずなのである。

 たとえば、現在千歳に就航している青森、花巻、秋田などを高速プロペラ機であるQ400や、小型ジェットのE170などで結べば、千歳まで行くよりも丘珠から乗りたいという人は多いだろう。Q400やE170が道外から丘珠に入れるとなれば、そこから先の道内路線にも就航できるだろう。開発中の国産ジェットMRJもE170と同規模の機体なので、騒音面などで丘珠乗り入れは問題ないだろう。ジェットが就航できるのなら、西日本や九州便の就航だって現実的な選択肢となる。千歳が飽和状態となっている今は、チャンスとも言えるはずだ。さらに考え方を広げれば、小型機で結べる国内地方路線をできる限り丘珠で受け入れ、空いた千歳の発着枠を需要が逼迫した国際線に回す方法だって、議論に値するのではないかと私は思う。

 丘珠空港を今のまま閑古鳥状態にしておくのは、あまりにももったいない。そう考えるのなら、やるべきことは見えているのではないだろうか。

【Ocean Radio@2017】






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丘珠空港・・・ジェット効果で20万人達成
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 丘珠空港のジェット化について書いたついでに、もう一つの気になるトピックについても触れておきたい。それは、丘珠を拠点としているHAC(北海道エアシステム)が運用するSAAB340Bの後継機問題だ。 ...続きを見る
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2017/04/16 10:46

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