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zoom RSS HAC SAABの後継機はATR42で当確か

<<   作成日時 : 2017/04/15 23:00   >>

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画像 丘珠空港のジェット化について書いたついでに、もう一つの気になるトピックについても触れておきたい。それは、丘珠を拠点としているHAC(北海道エアシステム)が運用するSAAB340Bの後継機問題だ。

 北海道エアシステムは、北海道内の離島や地方都市間の高速輸送機関として北海道と当時のJASが設立した第3セクターである。1997年9月に設立され、翌年3月から函館を拠点に運航を開始した。当初は函館〜旭川〜釧路など、既存エアライン(ANA・JAS)と競合しない路線を選んで就航していたが、搭乗率の低迷やANA・JAS(後のJAL)の地方路線の縮小を受けて次第に札幌中心の路線網に改編されて行った。運航拠点も函館から新千歳、そして丘珠へと変遷している。会社設立時のパートナーだったJASがJALに吸収されたことによってJALグループとなったが、JAL自体の経営破綻によって2011年3月にグループから撤退。しかし、JALの収益回復により2014年10月に再びJALグループに復帰するなど、紆余曲折を経て来た。

画像 この間、一貫してHACの路線を飛び続けてきたのが、設立時に導入されたSAAB340B-WT(36席)である。導入からまもなく20年で機体寿命も近いと考えられることから、後継機の選定を急がなくてはならない時期だ。このことは、地元メディアや株主である道議会でもたびたび取り上げられて来た。が、メーカーのSAABが、本系列を含む民間機の製造を中止していること、本系列と同規模の30席級で現在も製造中の旅客機は存在しないこと、などから選定作業は難航している。

ATR42以外にあり得ない

画像 結論から言えば、SAAB340Bの後継機は、フランス・イタリア合弁のATR社の旅客機、ATR42(42席/右写真=Aviation Wire)以外に選択肢はないだろうと、私は思う。理由は3つ。@同じJALグループのJAC(日本エアコミューター)がATR42を導入、運用を開始していること、AHACの経営規模では独自の乗員養成や整備体制の構築は負担が大きすぎ、JALグループの他社と機材を共通化する以外に選択肢がないこと、BATR42はJALグループ導入機材ではSAAB340Bに最も定員が近いこと、である

 ATRシリーズは、カナダ・ボンバルディア社のDHC-8シリーズと並んで、世界を代表するターボプロップ旅客機だ。日本ではDHC-8のほうがメジャーだが、世界市場ではATR42とATR72を合わせて、DHC-8シリーズを上回る1500機以上を受注している。

 前回も書いたが、1996年に丘珠空港のジェット化の中止が決定し、YS-11の後継ととなるターボプロップ機の選定を迫られたANAは、ATRを検討したのだという。しかし、アメリカで運航していたATR72が主翼の着氷のために墜落(アメリカン・イーグル航空4184便墜落事故=1994年10月31日)したのを契機に、寒冷地でのATR運用は控えるべきとの勧告を出した。これによりANAのATR導入計画は白紙となり、代わりにDHC-8-Q300が導入されたのだという。

 それ以来、「ATRは寒冷地に不向き」というイメージが付き、実際にATRを寒冷地での運航からはずすエアラインが世界で相次いだ。しかし、その後メーカーのATRはFAAの勧告に基づいて主翼の防氷装置を改修したため、現在では寒冷地での運用がとりたてて危険とは言えないというのが事実のようだ。実際、フィンランド・フィンエアグループのフライビーはATR機を10年以上無事故で運用している。だが一方で、ロシアのUTエアーが運航するATR72が乗員の過失から除氷を怠ったまま出発して失速、墜落する事故も起きている(UTエアー120便墜落事故=2012年4月2日)。ATR72に関しては、このUTエアーを含め墜落などの全損事故が2000年以降6件発生していて184人が死亡している。同じ期間のDCH-8の全損事故は4件で死者数は78人だ。ATRの事故はいずれも乗員などのヒューマンエラーであり機体の設計に起因するものではないが、ヒューマンエラーが致命傷となり得るデリケートな性質を持つ飛行機だということは言えるかも知れない。もっとも、ヒューマンエラーの発生は乗員などの労働環境も大きく関係していて、ATRのような小型機を運用するエアラインは短距離路線の多頻度運航で乗員に負荷がかかりやすいことも事実であるが。(事故の発生状況は別表に記載)

 ATRの事故発生状況がどうあれ、SAAB340Bの後継となり得る機材がATR42しか存在しない以上、HACがこの飛行機を導入することは必定であると私は思う。もちろん、導入に当たっては寒冷地運用の注意点も含め十分に過去の事例を検討し、マニュアルを練り上げた上でのことではあろうが、同機のこれまでの運用実績がHACでの導入の障害になるかと問われると、そうまでは言えないだろう。ATRの導入で先行するJACは同機を2020年までに9機購入予定だ。契約から初号機の引き渡しまでは1年半を要している。最初に述べたように、乗員や整備士の訓練はHAC単独ではムリなのでJACの手を借りなくてはならない。すると、HACでのATR導入開始はJACの導入と乗員養成が落ち着いた2020年ごろから。そこから逆算し、2018年前半くらいが後継機材決定、購入契約のリミットではないかと考えられる。
【Ocean Radio@2017】


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▲1998年2月登録のHAC1号機(JA01HC)。導入以来19年が経過している。現在の塗装はJALがHACの経営から撤退した2011年に採用された3代目。JALグループの経営復帰に合わせ、近々JALブランドカラーに塗り替えが予想される。
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▲JALの経営復帰に伴い、HACの機材が重整備等でラインを離れる際にはこのようにJACの機材が代替機としてリースされるようになった。以前は欠航対応だった。HACがJACと共通する機材を持たざるを得ない理由は、このような柔軟な運用を組むためでもある。



■ATRが起こした主な事故(全損・2000〜)
エアライン・便名事故内容年月日死者数
バンコク・エアウェイズ266便 オーバーラン 2009/8/4 1人
UTエアー120便 墜落 2012/4/2 33人
ラオス国営航空301便 墜落 2013/10/16 49人
トランスアジア航空222便 着陸失敗 2014/7/23 48人
トランスアジア航空235便 墜落 2015/2/4 53人



■DCH-8が起こした主な事故(全損・2000〜)
エアライン・便名事故内容年月日死者数
コルガン航空3407便 墜落 2009/2/12 50人
PNG航空1600便 墜落 2011/10/1328人
タンザニア航空 離陸失敗 2012/4/8 0人
ルクスエア航空9562便 離陸失敗 2015/9/30 0人


■タイプ別生産数(3月末現在/日本航空機開発機協会資料から作成)
メーカータイプ受注数
ATR ATR42 481
ATR ATR72 1093
Bombardier DHC8-100 299
Bombardier DHC8-200 105
Bombardier DHC8-Q300 267
Bombardier DHC8-Q400 572

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