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zoom RSS ILSアプローチ中に山に激突・・・なぜ?

<<   作成日時 : 2017/05/16 23:00   >>

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 行方不明だった陸上自衛隊北部方面航空隊(札幌・丘珠飛行場)のLR-2が、きょう午前見つかった。やはり、山にぶつかって大破しており、北斗市の袴腰山(標高618m)山頂から東に3kmの斜面だそうだ。乗員4人は収容された後全員の死亡が確認された。きのうの時点では、「機体発見まで時間がかかるのではないか」と予想していたが、予想よりは早く見つかった。報道のテレビカメラが地上から撮影しているところを見ると、容易に到達可能な場所が墜落現場だったのだろう。

 それにしても、どうしてこんなところで山腹に衝突してしまったのだろう。事故機は計器飛行で函館空港にアプローチ中だった。計器飛行(IFR)は自機の無線航法装置と管制官のレーダー誘導で、夜間や雲中など視界ゼロのときでも安全に飛行できる方式で、民間旅客機などはすべてこの方式で飛ぶ。正しく運用されていれば山にぶつかることなどあり得ない。

画像 事故機はどんなコースをたどっていたのか。ネットでジェプセン社の空港アプローチチャートを取り出してみた。いくつかあるアプローチパターンの中で可能性が高いと思われるのは、「ILS Z or LOC Z RWY 12」アプローチ。空港の西側から進入してILSのグライドスロープに乗るパターンだ。これによると、ウェイポイント「ESASI」から磁方位115度で15マイル(NM)飛行し、ウェイポイント「KURMI」に到達。そこから磁方位117度に変針して、ポイント「ISARI」に向けて降下しつつ5NM飛行、ISARIを高度3000フィート(FT)で通過してグライドパスに乗れ、とある。グライドパスとは滑走路端からの進入路を示す電波の道だ。飛行機は機上の計器でこの電波をとらえることで正しい進入路に乗っているか否かがわかるので、視界ゼロでも正確に進入できる。

墜落地点はKURUMI至近
 チャートの別なページにはKURMIの座標が出ていた(415041.4N/1403046.9E)ので、これを地図に落とし込んでみると、袴腰山の山頂から北東約2kmの地点だった。機体の発見位置(山頂から東3km)と、ほぼ符合する。事故機はESASIからKURMIに向かう途中で何らかの理由で高度を失い、山腹に激突したものと推定される。

 それにしてもなぜ? と思う。チャートにはESASIからKURMIまで15NMは4000FT(約1200m)を維持せよ、とある。3300FT(約990m)以下には降下してはならない、ともある。この一体は600〜700mの山が連なるので、990mというのは安全高度として妥当だろう。ジェプセンのチャートには袴腰山の山頂位置と標高まで示されている。それなのに、なぜ高度を下げたのか? 不可解としか言いようがない。

 乱気流を避けるため、あるいは何らかの機体の不具合などで高度を下げなくてはならない場合は、必ず管制に対して連絡を求める。計器飛行中は管制官の許可なく指示高度を離れてはならないのは常識だ。考えられることは、ただ一つ。機長も副操縦士も気づかぬまま機体が降下の状態に入り、そのまま山腹に激突。あるいは、気づいたときには回避が間に合わずに激突、そういうことではないだろうか。自動操縦であれば、降下のモードに入れたまま気づかなかった。手動操縦なら、無意識にピッチ角が下がって高度を失っていることに、気づかなかった。雲中飛行では、自機が上昇しているのか降下しているのか、傾いているのか水平なのかさえわからなくなることがある。そのためにパイロットは計器のモニターを徹底するよう訓練を受けるのだがが、機長、副操縦士ともにそれを失念し、機体が意図せぬ異常降下状態となる事例は、残念ながら過去に何度も起きている。

 報道によれば、事故機はフライトデータレコーダー(FDR)を搭載していなかったそうだ。本来は搭載されるものだが、不具合のために飛行直前に取り下ろされた。コクピットボイスレコーダー(CVR)は搭載されていたが、まだ見つかっていない。事故の真相を究明するためには、操縦席の音声(CVR)と実際の飛行状況(FDR)を照合することが欠かせず、その一端となるFDRがない以上、正確な真相究明は困難を極めるだろう。航空法の適用を受けない自衛隊機はもともと、CVR/FDRの搭載義務はない。だがしかし、自衛隊機と言えども、輸送機は災害派遣などで一般市民が搭乗する可能性があり、戦闘機も市街地上空を飛行する。ひとたび事故が起きれば多くの市民を巻き込む可能性があるという点では自衛隊機も民間機も変わりは無い。事故の真相究明と再発防止という観点から、自衛隊機にもブラックボックス(CVR/FDR)搭載を求める議論があってしかるべきだと、私は思う。

 亡くなったパイロットや搭乗員の方たちは、みな優秀な方だったようだ。こう書くと気分を害する人もいるとは思うが、残念ながら今回の事故は、操縦者の人為的要因の可能性が高いと私は推測する。どんなに優秀な人でも、ミスを犯す。思い込みや錯誤、失念と無縁でいられる人はいない。それを前提に、どんな安全対策を講じることができるのか。いま一度、胸に刻みたい。
【Ocean Radio@2017】







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内 容 ニックネーム/日時
北海道新聞を読んで気になったのは、「計器飛行」とは書いてあるどけ「計器飛行方式」とは書いていない事です。
新聞社がこの区別がついていないのか、文字通り、ILSを探すなど計器に頼った飛行はしていたけど、管制官の指揮下に入った飛行では無かったのか。
皮算用
2017/05/17 19:58

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