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zoom RSS 名脇役「8小節の貴公子」世を去る

<<   作成日時 : 2017/12/16 23:00   >>

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 偉大なミュージシャンが1人、世を去ったことを今週知った。その名は、ジェイク・H・コンセプション。こう聞いて、ピンと来る人はそれなりの音楽好き、それもアルバムジャケットのレコーディングクレジットを丹念に読み込むタイプの人だろう。

 ジェイク・H・コンセプションは、フィリピン出身のサックス奏者。1970年代からスタジオミュージシャンとして活躍し、数多くの日本のミュージシャンのレコーディングに「サックス・ソロパート担当」として参加した。

 私が日本のポピュラー音楽のレコードを聴き始めたのは1980年代後半からだが、流麗なサックスソロが聞こえて来てクレジットを見ると、かなりの確率で、そこにジェイクの名前があった。山下達郎、松任谷由美、稲垣潤一、渡辺美里、杏里、障子久美、今井美樹、そして角松敏生。1980〜90年代の日本のアーティストのレコーディングで、サックスでこの人が参加したことがないアーティストを探す方が難しい、と言ってもいいくらいだろう。それほどの、超売れっ子スタジオミュージシャン。けれども、サックスという性質上、音楽好き以外の人に名前を知られる存在ではなかった。ギターやキーボードのようにアルバムを通して参加するわけでも、ドラムやベースのように1曲を最初から最後まで演奏するわけでもない。間奏のソロパートのみ。それもたいていは8小節、どんなに長くても16小節。でも、その間奏で聞かせるきらびやかでツヤのある音色は聞き手に忘れられない印象を残し、時として主役のボーカリストをも上回る強烈な印象をレコードに刻む。サックスとは、そんな楽器だ。他楽器のミュージシャンやボーカリストが4〜5分の演奏を通して表現する世界観をわずか8小節に凝縮するのは、ある意味でとても難しい。誰にでもできることではないだろう。だからこそ、ジェイクがあれほど多くのレコーディングに参加することになったのだと思う。そうして脇役に徹した彼を、私は敬意をこめて「8小節の貴公子」と呼びたい。

 ジェイクと言えばもう一つ忘れられないのが、土曜夕方のFMラジオ番組「Suntory Saturday Waiting Bar AVANTI」のバーテンダー「ジェイク」役での出演だ。番組開始の1992年から2002年5月まで丸10年にわたって出演(バーテンダー役はその後グレゴリースターに代替わりし、番組は2013年3月で終了)し、東京・元麻布の仙台坂上所在の架空のバーで繰り広げられる「東京一の日常会話」を、こちらも脇役に徹して支えた。木製の重そうなドアを開くとおもむろに聞こえてくる「いらっしゃいませ」というジェイクの声が、今も脳裏に焼き付いている。ジェイク・H・コンセプションと言えば、AVANTIのジェイクを思い浮かべる人の方が、多いかも知れない。このジェイクと、前述の「8小節の貴公子」とが結びつく人はそういなかったと思うが、それこそが、決して前面には出ようとしない、名脇役の面目躍如と言えるかもしれない。

 報道によれば、亡くなったのは12月4日、享年81歳(1936-2017)。3年ほど前に引退を表明し、演奏からは遠ざかっていたという。輝かしい往年の8小節フレーズを思い起こしつつ、冥福を祈ろう。


ジェイク・H・コンセプションさん死去 81歳 70〜80年代のヒット作に多数参加のサックス奏者
 フォークの吉田拓郎さんから歌謡曲の松田聖子さんの作品まで1970〜80年代にかけて数多くの録音に参加したアルトサックス奏者のジェイク・H・コンセプションさんが12月4日に死去した。81歳。関係者が明らかにした。
 フィリピン出身。23歳で来日し、スタジオミュージシャンとして吉田さんや松田さんのほか、松任谷由実さん、中島みゆきさん、大滝詠一さん、ゴダイゴらそうそうたるミュージシャンのヒット作品の録音に参加した。
 関係者は「3年ほど前に引退すると連絡があった。演奏からは遠ざかっていたのではないか」と話している。(産経新聞電子版/2017.12.13 19:32)







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