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zoom RSS 新幹線殺傷事件から得るべき教訓

<<   作成日時 : 2018/06/19 11:16   >>

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 先々週の土曜日、新幹線内で起きた殺傷事件について、被害者遺族の心情を報じた記事が目に留まった。共同通信の配信記事で、さまざまな媒体に掲載されている。

新幹線殺傷事件、遺族がコメント 「本当に悔しく無念」

 東海道新幹線で乗客の男女3人が殺傷された事件で、死亡した会社員梅田耕太郎さん(38)の妻と両親が18日、弁護士を通じて「悲しみが癒えることはありません」「本当に悔しく無念」などとするコメントを公表した。
 妻は2人とも旅行が好きだったことなどを紹介。「たくさんの優しさと愛をありがとう」と夫への感謝の言葉をつづり、「このような悲しい事件が二度と起こらない社会になることを強く願います」と訴えた。
 両親は「ただただ涙が流れるばかり」とし、乗客を助けようとして犠牲になったとみられることに「息子の勇気に、わが子ながら心を激しく揺さぶられております」と記した。(共同)


 「息子の勇気に、わが子ながら心を激しく揺さぶられております」。まったくその通りで、犯人に立ち向かい、被害の拡大を食い止めた犠牲者男性の行動は、最大限の称賛に値すると思う。しかしながら、一方で私は、この事件での犯人と犠牲者男性の行動を科学的に検証しようという声があまり上がらないことに、ある種の違和感を抱いている。それは、事件翌日にフジテレビのディレクターが「警察の見方の一つ」として「立ち向かって、容疑者を刺激して、結果として最悪の事態を招いてしまった」と伝えたことに対し、「被害者への冒涜だ」などと激しい批判が巻き起こったことへの違和感とも共通している。多くの場合、事件・事故には「複数の筋立て」が可能だ。その複数の筋立てを検証し、より可能性の高いもの、妥当なものを検証してゆく作業は事件の真相に迫る上で必須であり、それは犯人の検挙・処罰とは別の役割を持つ報道機関が、むしろやらなくてはならないことではないか。

 本当にあれ以外の結果はあり得なかったのか。女性2名を救いつつも自身の被害も軽減する方法が本当になかったのか。刃物を持つ相手に立ち向かうことの危険性をどれくらい認識していたのか。周囲の人や鉄道事業者にできることはなかったのか。私には、この疑問が今も尽きない。

 勇気ある行動に水を差すな、ではなく、英雄を汚すな、ではなく、家族の心情をおもんばかれ、でもなく、同じ悲劇を繰り返さぬためには冷静な議論と検証が必要なのだ。‬大惨事からは得るべき教訓が多くあるはずだ。

 思い出すのは、「ハドソン川の奇跡」での、NTSB(連邦運輸安全委員会)の姿勢だ。このときNTSBの調査官は、不時着水以外の方法が本当になかったのか、真に空港への着陸が不可能だったのか、徹底的な検証を行った。当事者のパイロットにとっては心外であり、激しいストレスにさらされた(この様子は映画「ハドソン川の奇跡」に詳しい)。英雄を汚すな、という圧力も当然あった。けれども、その徹底調査の結果、不時着水以外に助かる道がなかったことが証明され、想定外の事態に対処できるパイロットの技術こそが明暗を分けることが再認識された。再発防止に対する姿勢とは、こういうことを言う。

 鉄道が本質的にテロ行為に対して無防備であることは、前から書いているとおりだ。であるなら、同種の事件が再発した場合に、周囲の乗客はどう行動すべきか。事態を最悪から少しでも遠ざけるためには何ができるのか。事例から学ぶべきことは数多くある。3年前の新幹線放火事件のときも、そうだった。にもかかわらず、犠牲者の英雄的行動にばかり目が向き、起きたことを冷静に検証し、教訓を得ようとする機運が高まらないことに、ひどくもどかしさを感じる。

【Ocean Radio@2018】




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