■アメリカ10日目~空軍士官学校

【7月15日(米山岳時間)】

 きのうの早寝のおかげで、午前6時、起床。午前8時半、出発。午前9時、コロラド大学コロラドスプリングス校へ。大学・大学院の「Homeland Security」コースについてレクチャー。修士課程、博士課程ともに、この分野のアカデミックな専門知識に対する需要が高まっている・・・という話。

 午前11時半、空軍士官学校へ。ビジターセンターのギフトショップを覗いた後、紹介映画を見る。その後、Cadet Chapelを見学。13時に教授と面会して昼食となるはずだったが、何かの行き違いあたらしく、教授とは面会できず。(先方は12時半から待っていたというが、私たちの予定表には間違いなく13時から、となっている) しょうがないので学校を出ることになったが、これでは普通の観光見学とまったく変わらない。不満の残る学校訪問になってしまった。空軍の教育方針とか、競争率とか、聞きたいことはいろいろあったのだが。

 13時半、ショッピングモールの中華レストランで昼食。(~14時半)

 15時、商工会議所(Chember of Commerce)のPresiddent for Military Affairs(日本流に言えば自衛隊協力会の会長みたいなものだろうか)、Mr. Brian Binnと面会。空軍士官学校の卒業生、元パイロット(C-141)で同校で教授の経験もあるのだという。空軍士官学校で予定の教授と面会できなかったので、代わりにいくつか質問が出る。

 「海軍兵学校では、ファカルティスタッフの50%が民間人だそうだが、空軍士官学校の場合はどうか?」「徐々に増えてはいるが、空軍としては最大でも民間人は25%まで、と考えている。学生(Cadet)が軍人教官から受ける影響も大きいので、その影響を少なくしたいとは考えていない。それから、海軍は退役軍人に博士号を取らせて教官として雇用したりしている。軍人を教官に置くのとそれほど変わらない」。「海軍の場合、毎年2500人供給される新人士官のうち約1000人が兵学校卒だそうだが、空軍の場合は?」「毎年供給される士官は4000~5000人。そのうち士官学校卒は20%。海軍同様ROTC(Reserved Office Training Corp)とOfficer Training Program(一般大卒者を教育して士官養成するコース~90日)があるが、大半がROTCから来ている。陸軍の場合、West Point(陸軍士官学校)卒業者の割合はもっと少ない」。「海軍より空軍の方が人数が少ないが、供給される士官の数が多い理由は?」「陸軍、海兵隊に比べ海軍、空軍はよりOfficer Oriented(士官需要が高い?)と言える。特に空軍は、パイロットが多数必要」。

 軍と地域の経済についても、話があった。約50万人の地域人口(コロラドスプリングス市+周辺エリア)のうち、現役軍人は3万3000人。しかし、その波及効果は地域経済の38%に及ぶという。「ミリタリーはGreat Economy Director」なのだそうだ。この地域と軍との関係は、1942年にまでさかのぼる。1942年に、それまで軍施設が何もなかったコロラドスプリングスに、フォートカーソン陸軍基地ができたことから始まる。また、同時期にピーターソン空軍基地(当時は陸軍)、1950年代に空軍士官学校ができたことで、軍のマチとして大きく発展することになったという。私が質問。「なぜ、この地に陸軍は基地を作ったのか?」「戦争中で新たな軍基地が必要となったのが一番大きな理由だが、この地域が誘致に熱心だったということも、大きな理由だろう。新たな基地が建設されるときは、いつも熱心な誘致活動が各地で起きる。空軍士官学校のときも、学校設立が決まったとき、ウィスコンシンとミズーリも候補地となった。当時のアイゼンハワー大統領夫人がコロラド州内の大学を卒業しており、大統領家とコロラドのつながりがあったので、コロラドスプリングスに決まった」とのこと。軍人による犯罪の増加、治安悪化の懸念はないのか(日本の沖縄のように)・・・質問したかったが、時間切れ。グループミーティングなので、自分で聞きたいことを何でも聞けるわけではないのはしょうがない。

 後でインターネットで調べたところ、フォートカーソン陸軍基地はイラクに駐留する兵士の約1割を派兵していたのだという。そういうことがわかっていれば、もうちょっと質問できることはあったのだが・・・。

 午後4時、ミーティング終了。その後、去年オープンしたばかりのFine Art Centerへ。何度でも言うが、なぜ、こういう観光コースに案内されてしまうのだろう。連日のスケジュールで疲労も溜まるのだから、することがないのならとっととホテルに戻してほしい、とも思う。その日のレクチャー内容を記録に残したりするための時間も必要なのだ。さらに、「Young Leaderたちが集まるミーティングに出席して意見交換」するという日程まで入っている。何のことだかわからず会場に連れて行かれてみると、商工会議所青年会のような感じの集会が開かれるところで、ずっとそこに参加していなければならないのかと思ったら、冒頭で一人一人紹介されただけ。その後すぐに退席。発言も、質問に答える機会もなし。なんだったのだろう・・・マチにこういう人たちが来ていますよ、と見せるだけか。

 午後5時15分、全日程終了。ホテルへ。一服して、台湾人のアリック(と韓国人のジン)の部屋へ。ビールを持参し、しばし歓談。アリックは、今回のコロラドスプリングスの日程にはきわめて不満な様子だ。これでは観光旅行と変わらない、と。私も同感だが、それでも、きのうの選挙関連のレクチャーと、きょう午後の商工会議所でのミーティングはそれなりに得るものはあったと思っていた。が、軍事専門誌の編集者としては、大統領選挙の仕組みとか、軍と地域経済について、などというトピックはあまり感心事ではないということだろう。

 午後8時、3人でホテル1Fのレストランで夕食。私はFish&Tipsをオーダー・・・期待したほどでは美味くない。揚げ過ぎて固いし。本場(いちおう、F&Ts英米が本場だろう)に悪いが、ウチの近所のHop&HopsのF&Ts方がずっと美味い。

 韓国人のジンに、独島(竹島)領有権問題について話を振って見たが、彼はあまり自分の意見を言わない。(言いたく無さそう) けれども、こっちはいちおう、言いたいことを言っておく。「自分の考えは、日本人の間ではunusualだが、独島問題に関しては、両国ともに領有権の決め手となるような明確な証拠はないだろう。このままでは永久に平行線。韓国が実効支配しているのだから、周辺海域の漁業権、島の命名権と引き換えに、韓国の領有を認めるのも選択肢であると思う」。大幅に韓国寄りの意見を言ってるのだが、それでも彼は、ニヤニヤするだけで何も言わない。なんだかもどかしい。

 一方、魚釣島の領有をめぐり、台湾人のアリックは熱い。「あれは間違いなく、大昔から台湾のものだった。しかし戦後アメリカが周辺を支配し、沖縄の一部として扱ったものだから、沖縄返還と同時に日本のものになってしまった。魚釣島は台湾からより沖縄からの方が4倍も遠い。台湾が本気になってF-16を送りこめばあっという間に支配できるが、アメリカがそれをさせないだけ。そして悩ましいのは、いま日本から魚釣島を奪うと、それは魚釣島が中国本土に帰属することを意味する。台湾人にとって、それだけは避けたい・・・」。うーん、熱いぞ。魚釣島に関してあまり勉強しておかなかったことを、かなり後悔した。

 午後9時半、食事を終えて部屋へ。すぐに眠気を感じ、日記もまったく書かず、午後10時過ぎには就眠。

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