満15歳未満は一人では乗せられません

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  ニューヨークJFK空港でワシントン行きに乗ろうとしていたら、ゲートで女性係員に呼び止められた。「英語を話せるか?」と言うので「Yes」と答えると、「通訳してほしい」とのこと。カウンターの横で小学生くらいの日本人の少年が車椅子に座らせられ、しょんぼりとしている。

 係員が言う。「モントリオール行きの搭乗券を持っているが、彼がなぜここにいるのか、どうやって来たのか、親はどこなのか、わからない。聞いてほしい」と。

私)「どうやってここに来たのかな? 見送りはいないの? 着いた先では誰か迎えに来る?」
少年)「1人で来た。モントリオールで、オーナーか誰かが迎えに来ることになっている」
私)「モントリオールに友達がいて、迎えに来ると言ってます。1人で来たそうです」

すると、係員は怪訝な顔。「この子、本当に1人で来たの? 親はいないの?」と。

私)「あなた、ニューヨークに住んでいるのかな? それとも、どこか別なマチから飛行機で来た?」
少年)「成田から、さっきJALで来た。1人で乗って来た」

 その通り伝えると、係員は困った顔で、びっくりするようなことを言う。「この子、このまま1人で飛行機に乗せるわけにはたぶん行かない。JALで成田に送り返さなきゃならないかも」と。

 え? と思った。聞くと彼は12歳で中学1年生。ところが、その女性係員が言うには、アメリカでは15歳未満は保護者同伴でなければ飛行機に乗せられないのだという。連邦法の規定なのだそうだ。JALはそういう規定が適用されない。その通り日本語で伝えると、少年は押し黙ったままだ。「とにかく、今後のことが決まるまでは、ここから動かないように、彼に伝えてください。それから、喉が渇いていたら飲み物を持ってくるから」。係員が言うのでそのまま通訳したが、飲み物はいらないと言う。彼の心中を察すれば、何か飲みたいと言える状況じゃなかろう。

 「次の便で、成田に戻す方向で、これからJALと協議します。ご協力感謝します。あなたの便の出発時刻ですからお乗りください」と係員。

 やれやれ・・・かわいそうに。とんでもないことになっているのだが、英語で交渉する力がない以上、どうしようもない。せめて、何か言葉をかけてあげようと、搭乗口に向きかけた足を戻そうとしたら、係員、「時間です、早く乗って」と言う。自分が置いて行かれでもしたらたまらない(そういう経験を海外で2度やらかしている)ので、そそくさと搭乗口へ向かってしまった。

 座席に着いてからも、しばらく少年のことが頭から離れない。15歳未満は保護者同伴じゃなければ乗せないなんて、アメリカにそんな法律があるとは知らなかった。日本人なら、中学生ともなれば国内線の飛行機くらい1人で乗せても大丈夫だろう、と言うのが普通の感覚だと思う。この少年の場合、英語がまったく理解できないところが問題と言えば問題だが、それを除けば、1人で出した親の判断がおかしいとは思えない。海外に単身赴任中の父親を訪ねようと子どもだけで飛行機に乗る・・・なんてのはいくらでもありそうな状況だから。

 けれども、連邦法が「15歳未満は保護者同伴」と連邦法が定めているのなら、それもそれでしょうがない。問題は、そういう規定を熟知せずに航空券を発券し、チェックインしたJALにあるのだ。せめて、成田から乗った便の客室乗務員が気付くべきだ。小学生か中学生の子どもが1人で乗っている、なんてことはサービスをしていてわからないはずがないのだから。客乗が連邦法のそういう規定を知っていれば、ニューヨークで降りるのか、その先乗り継ぐのか本人に聞き、乗り継ぐならしかるべきアテンドを地上職員に依頼する・・・くらいのことが当然できた。

 せっかく12時間半もかけて飛んできたのに、空港から、強制送還同然に、また12時間半かけて成田まで戻らなければならないとは、どんなにか本人は落胆するだろう。どういう目的でのモントリオール行きかは聞けなかったが、計画は白紙。親も、受け入れ先も、みながっかり。正規のチケットを持っているようだし、あのままモントリオール行きに乗せても誰も損はしないと思うのだが、係員の口ぶりでは、ほぼ100%成田に送還だろう。

 実はアメリカは、ルール遵守に関しては日本よりもはるかに厳しい国なのだ。基本的に、例外は一切認められない。日本ならば、多少ルールを踏み外しても、ほどほどのところで踏みとどまるという安心感をお互いに持っているが、アメリカ人は、一つでも例外を認めるとたちまち秩序が破たんするという恐怖心に支配されている。

 せめて、少年の名前と連絡先くらいは聞いておけばよかった。そうすれば、私からJALに対し苦情を言うこともできたのだが・・・少年のことが気になりながら、ニューヨークを後にした。

 彼は今頃、太平洋上を日本に向けて飛んでいるのだろうか。




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  • ここは酷いセカンドオフィサー制度ですね

    Excerpt: ひどかった「ガイアの夜明け」JAL特集 http://www.labornetjp.org/news/2011/0201gaia まあ日経スペシャルだからなw おっさんコパイについても当人の責任.. Weblog: 障害報告@webry racked: 2011-02-04 23:09
  • オークリー レンズ

    Excerpt: 満15歳未満は一人では乗せられません 旅するデジカメ~札幌発東京定住日記/ウェブリブログ Weblog: オークリー レンズ racked: 2013-07-03 20:57