ドリンクサービスに要する実費は1人あたり数十円だろう。そこまでケチるか・・・と、まず思う。コーヒーやジュース、コンソメスープを無料でサービスしてくれるエアラインと、水と日本茶しか出さないエアラインがあれば、絶対に無料ドリンクの種類が多い方を選ぶよ。ANAがこういうサービス方針を打ち出してきたということは、JALも絶対に追従するはず、と踏んでのことだと思うが(実は裏で握っているのかも知れない)、JALもナメられたものである。逆に、経営破たんのマイナスイメージで乗客減に悩むJALからすれば、これは思わぬチャンスだ。現行レベルの無料ドリンクサービスを維持すれば、ANAに対して大きなアドバンテージになり得る。
飲み物など出さなくていいから運賃を下げて、と思う人もいると思うが、間違っている。客室乗務員の数は、保安要員として座席数あたりの人数が決まっているから、サービスをやめたところで人数を減らせるわけじゃない。巡行中はほとんどすることがない客室乗務員に飲み物を出させたところで、増える経費は飲み物と紙コップ代、数十円だけ。この経費が運賃に影響するものだろうか。
「乗客はコーヒーを飲みたくてエアラインを選ぶわけじゃない!」と叫んでいる、格安航空会社の社長がいたが、サービスというものがわかっていない。乗客の立場からすれば、始終寝ている人ならいざ知らず、起きてくつろいでいるなら、飲み物はぜひ出してほしいものだ。空気が乾燥している機内では、のどが渇くし。空港で買って持ち込めばよかろう、という意見もあるが、冷たい飲料はぬるくなるし、温かい飲料はさめてしまう。それに、狭い機内では飲む前の瓶・缶の置き場だって苦労するものだ。サービスの簡素化を謳う格安航空会社だって、一部の短距離路線を除き、有料ではあるが飲み物は出てくる。ニーズがあるからである。
ANAは、水・日本茶以外の飲み物は有料にする方針だそうだが、金を払う乗客がどれくらいいるだろう。もちろん金額にもよるが、満席の機内なら、特に女性客は、財布を出すのだって億劫なはずだ。もっとも、したたかなANAのことだから、「マイレージ会員は無料」とか、「団体割引運賃以外は無料」とか、そういうことを考えているのかもしれない。JALが追従するのかどうかも、見ものだ。
今年から、機内での新聞配布をJALとANAが揃って廃止した。「新聞くらいタダで読ませてくれてもいいじゃないか」とこれまた思うが、コスト削減が優先なのだそうだ。空の旅の楽しみは、狭まる一方だ。【つづく】
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「ANA、国内線普通席の無料飲料は水とお茶だけに - 有料サービスを大幅拡充」 え~どケチ!
この記事へのコメント
そこまで…
実際に、機内で配られる飲み物だって必ずしも欲しいものとは限らない。それだったら、飲みたいもの・食べたいものを空港で買って持ち込めばいいんじゃないですか?