副操縦士の警告が無視された~マンガロール・オーバーラン事故

画像 インド・マンガロールで先月起きたエアインディア・エクスプレス812便のオーバーラン事故のことを何度か書いてきたが、5月31日付けのTHE TIMES OF INDIAは、「機長が副操縦士の警告に従わなかったことが事故につながった可能性が高い」と報じていた。機長は外国人、副操縦士はインド人だった。


 同記事によると、事故機に乗務していたアールワリア副操縦士(H S Ahluwalia)はディシジョンハイトのはるか上の高度800フィートで着陸復行(ゴーアラウンド)するよう機長に複数回警告していた。管制塔と事故機との交信録音に記録されているという。しかしズラートコ・グルーシカ機長(Zlatko Glusica)は進言に耳を貸さず着陸を強行した。その結果、812便は全長8000フィート(2400m)の滑走路の2000フィート(600m)地点に接地し、止まりきれずに滑走路を飛び出し、丘から転げ落ちて大破炎上した。

 記事は、機長が犯した「二重の判断ミス」についても指摘している。と言うのも、事故機B737-800は4500-5000フィート(1350~1500m)の距離があれば停止することができる。滑走路端から2000フィート地点に接地したとしても残りは6000フィート(1800m)あり、十分に止まれる余裕が残されていた。にもかかわらず滑走路を飛び出したということは、機長は接地後再度上昇を試みたものの断念し、機体を強引に停止させようとした可能性があるのだという。

 158人が死亡した大事故は、パイロットの操作が直接の原因だった疑いが、いよいよ濃くなってきた。副操縦士が着陸のやり直しを進言するということは、正常なアプローチコースからはずれていた、つまり速度が速いか高度が高過ぎるか、またはその両方であったのだろう。天候がおおむね良好であったとされる中で、なぜそのようなミスアプローチになったのか。(マンガロール空港に計器着陸装置が装備されていないことは理由にならない。パイロットは有視界による手動操縦で正常に着陸コースに乗せる訓練を繰り返し受ける) そして、機長がそのような判断ミスを犯した背景、副操縦士の警告が聞き入れられなかった理由の分析が、今後の原因調査の中心になるだろう。

 アールワリア副操縦士はマンガロール空港をベースに勤務するベテランで、5月末には機長昇格訓練に入る予定だった。

 外国人機長とインド人副操縦士というコンビネーションにカギがあるような気がする。両パイロットは十分な意思疎通と信頼関係で結ばれた状態にあったのかどうか。機長の国籍は記事で明記されていないが「expat=国外在住の」という微妙な表現がされているのも気になるところだ。そして、同様の問いは、外人機長+現地人副操縦士というコンビで飛んでいる世界中の航空会社に向けられなくてはならない。日本でも、新規航空会社を中心にそのような例は多い。異常事態に遭遇したとき、副操縦士は機長に警告できるのか。そして機長は、それを聞き入れる環境にあるのか。いま一度、問い直す必要があるのではないか。









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Excerpt:  YouTubeで「Mangalore」「Crash」などと検索すると、現地インドのニュースが色々出てきて、非常に興味深い。さすがIT大国インド。ニュースを録画して、アップしてくれるニュースマニアたち..
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Tracked: 2010-06-12 09:49