JALをあきらめて

 職場の上司から夏休みの許可をもらったので、さっそく海外に出る航空券を予約した。夏に会社を休んで、1週間程度海外に出るのは、独身の頃からの恒例行事だ。家族ができてもその習慣は続けていて、去年は一家でマレーシアに出かけた。子どもが学校に行くようになればそう思い通りには行かないとは思うが、海外は無理でも、家族で旅に出ることはできる限り続けて行こうと思っている。一家4人で海外ともなれば費用はそれなりにかさむ(大型液晶テレビ2台分くらい)のだが、子どもたちに日常とはまったく違う世界を見せ、貴重な体験と思い出作りができると思えば、高すぎるとは思わない(自分たちのリラックスも目的ではあるが)。日常の支出はある程度抑制的になる(車齢満5年の自家用車はこの先6~7年買い替えの予定は無し)代わりに、この程度の贅沢は自分に許してよかろう、と考えている。

 ところで・・・今回の旅行は大韓航空(KE)を使うことにした。去年、それなりに苦労してJGCステイタスを手に入れたし、マイルもたっぷりあるし、当然JALが第一選択肢ではあったのだが、今回はJALをあきらめた。なんと言っても、JALのチケットは高いのだ! 夫婦2人の旅行なら、10万円を超えるチケット代も平気で出せたが、2人の子どもがともに座席使用の年齢(満2歳以上)になり、大人料金の70~80%を徴収されるとなると、そう悠長なことも言っていられない。JALとKEを真剣に比較したことなど今までなかったのだが、運賃とサーチャージの合計で比べると、どこに行くにしても、KEはJALより2~3割安いことに、気づいてしまった。家族4人分なら、差額で1週間分のホテル滞在費を賄えてしまうくらいの金額になってしまう。これでは、積極的にJALを選ぶ理由が、なくなってしまう。

 しかも、KEは乗り継ぎやネットワークが非常に良くできている。今回の目的地はタイのプーケットなのだが、JALなら新千歳~成田~バンコク~プーケット、と2回乗り継がなくてはならないところ、KEは新千歳~ソウル~プーケット、と1回の乗り継ぎで済んでしまう。飛行機好きなら乗り継ぎもそれはそれで楽しいが、小さな子どもを連れていれば、そういう面倒は少なくて済むに越したことはない。

 今回、KEのルートマップを見て驚いた。ソウルから世界各地への直行便が、多い! アジアや欧米各都市はもちろん、中東のドバイやテル・アビブ、南太平洋のオークランドやナディ(フィジー)、アジアのカトマンズ(ネパール)、シェムリアップ(カンボジア)、タシュケント(ウズベキスタン)など、日本の感覚では信じられないような場所にまでネットワークを張っている。欧米にしても、アメリカのアトランタやダラス、ラスベガス、ヨーロッパのミラノ、チューリッヒ、ウィーン、プラハ、サンクトペテルブルグなど、JALが飛ばないところに直行便がある。コードシェア便ではなく、すべて自前運航だ。よくもこれだけ旺盛な旅行需要があるものだ。韓国の経済力や、恐るべし・・・と一瞬思ったが、これらの国際路線の利用客は、ほとんどが外国人、しかもその多くが、日本人であろう。KEの拠点であるソウル・インチョン空港が、ハブ空港として非常によく機能しているからだ。

 KEは、日本の16都市にソウル・インチョンとの直行便を就航させている。地方に住む利用者にしてみれば、国内線で一度羽田に出て、さらに成田に移動し、そこから国際線に乗るよりは、直接ソウルに向かい、そこで乗り換えた方が便利だ。しかも、JALとKEで比較すると、KEの方が圧倒的に直行便の就航都市が多い。「ソウル・インチョン空港が日本のハブ空港になってしまっている」という前原国交相の発言が一時期話題になったが、その方が便利なのだから、どうしようもない。しかも、料金はJALより3割も安いのだ。料金とネットワーク、エアラインにとって最も重要なこの2点で、JALはKEに勝ち目が無い。

 JALにせよ外国エアラインにせよ、超閑散期を除けば、国際線のチケットはエアラインのホームページで直接買うのが最も安い。そこで、KEのサイトからインターネットで予約・購入したのだが、購入後の事前座席指定以外は、すべて日本語で可能だった。JALやANAと感覚的にほとんど変わらない。KEが、日本市場をいかに重要視しているかがわかる。シンガポール航空(SQ)やキャセイ航空(CX)が典型だが、国内線を持たない、あっても国土が狭いため非常に規模が小さいエアラインは、自国民以外の乗客の取り込みに、必然的に力を入れなくてはならなくなる。KEやSQ、CXはそうやって世界での評価を高め、力を付けて来たのだが、国内市場が中途半端にでかい日系エアラインの場合は、国際線も内需(自国民)偏重で、外需(外国人)を取り込むための営業努力をほとんどしてこなかったと言っていい。そのため、国内景気に簡単に左右され、世界的な景気回復の波に乗れない不健全な経営体質になり、「価格競争が激しく満席でも採算が取れない」などとアホなことを言っている。満席でも採算に達しない高コスト体質こそが問題なのだが、それを価格競争のせいにするとは、どういう現状認識をしているのだろう。

 私もそうだったが、海外旅行でJALを選ぶ人は「日本のエアラインだから」「乗員が日本人だから」「マイルを貯めて国内旅行に使えるから」などの理由で選んでいたと思う。しかし、特に地方発の場合、料金でも利便性でもKEとの差がこれだけ開いていれば、そんな浪花節は遠からず通用しなくなるだろう。

 経営再建のためにJALは、国際線の再編を大胆に進めるそうだが、どうしたらKEに勝てるのか、を真剣に考えなければJALの将来は無いだろうと思う。そのためには、一エアラインだけではなく、日本の空の将来をどうするのか、航空政策を含めた、官民挙げた取り組みが必須のはずだ。

 利用者がエアラインを選ぶ決め手は、安全性は当然として、「料金」「ネットワーク」「サービス」の3つだと私は思う。最初の2つで、JALはKEに勝ち目がないほど差を付けられていることは、上に書いた。残る「サービス」は、どのくらいのものか。とくと体験してこようと思う。




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    Excerpt:  1年ぶりの海外旅行。家族で休暇を、タイのプーケットで過ごす。今回は大韓航空(KE)利用で新千歳~ソウル~プーケットというルート。いつもはJAL偏用の私がなぜKEか、というのは前にも書いたが、簡単に言.. Weblog: 旅するデジカメ・札幌発<見る・残す・伝える> racked: 2010-09-10 00:18