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zoom RSS 改めて・・・JALジャンボが退役した理由

<<   作成日時 : 2011/03/09 23:00   >>

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画像 ジャンボ機の燃費はB767と同レベル。JALからジャンボ機が全機退役する理由を一概に「燃費の悪さ」とするのは正しくない・・・という記事を書いたところ、五月原清隆さんが、JALジャンボの退役に関して大変丁寧なフォロー記事を書いてくれた。内容を簡単に要約すると、国際線においてはB777-300ERの登場で、@ジャンボ機に劣らぬ輸送がより低コストで可能になったこと、Aリゾート路線の大リストラで大型機が余剰になったこと、B国内線においてもJJ統合によって大型機が余剰になったこと、この3つがJALからジャンボが姿を消した理由だと述べている。

 大筋で、その通りだと思う。開発年次が新しいB777が経済性でジャンボ機に優るのは当たり前で、その意味ではメディアが常套句とする「ジャンボ機=燃費が悪い」というのも、まるっきり間違っているとまでは言わない。が、その背後にある航空業界の構造変化と航空機の技術進歩に目を向けなければ、ジャンボ機引退の本当の理由はわかりにくい。五月原さんも書いているとおり、JALは2000年代の中頃から、ジャンボ機は行く行く退役させる腹づもりであったことは間違いない。国内線・国際線ともに、B777のキャビンがアップグレードを続けるのに対し、B747は放置されたような状態だった。しかしそれでも、B747-400の乗員養成はつい最近(2008年)まで続けられており、JALとしては、2010年代の半ばくらいまではジャンボを使い倒してやろうという計画だった。それがこのように早まった背景には、経営再建のアピールという政治的意図があったからだと私は思う。聖域とされてきたパイロットまでリストラする以上、会社自身が「JALのシンボル=ジャンボ機」を切って見せる必要があったし、リストラ対象となる高齢機長にはB747の乗員が多かったという労務対策的意味合いもあったと思う。「あなたが操縦できる飛行機はもう退役ですよ」というのは、これ以上ないくらい好都合なリストラの引導だ。

 JALジャンボが退役する理由をまとめれば、@経済性でB7に劣るという技術的要因、A路線リストラやJJ統合による機材の余剰という運用的要因、BJAL再生の生け贄という政治的要因、C乗員をリストラするための労務対策的要因。この4つがほぼ均等なのではないかと、私は考える。

機材ダウンサイジングでYクラスが半減
 ところで、同じ五月原さんの記事の中に、ちょっと興味深い指摘がある。キャビンの座席数についてだ。JALが長距離国際線をB747-400から、総座席数でやや劣るB777-300ERに切り替えた時のこと。新たに導入されたB777では、ファースト(F)クラス、ビジネス(C)クラスの座席数はほぼそのままにし、さらにプレミアムエコノミー(YP)を導入する代わりに、純粋なエコノミー(Y)を大幅に減らした。たとえば、東京〜ニューヨーク線に就航する機体の場合、Yクラスは201席から115席と半減したものの、YPを含む中・上級クラスは102席から131席へと30%も増えた。理由は明らかで、エコノミー客をいくら運んでも利益は二束三文なのだから、利益率の高いYP以上の座席を増やしてしっかり儲けを出しましょう、ということだ。

 不健全だな、と思う。Yクラスを邪魔者扱いし、高額運賃を支払える社用族や富裕層ばかりを優遇しようとする姿勢が、である。そりゃぁ、ニューヨーク往復の運賃がYクラスで10万円(最安値)のところ、YPでは20万、Cクラスでは110万、Fクラスでは200万もするのだから、単価の高い乗客を多く乗せたいというのはわかる。しかし、41年前のジャンボ機導入以来、海外旅行の大衆化に力を尽くしてきた会社がこういうことをやるのは、どうなんだろう、と正直思う。Yクラスの極端なダンピングが利益率の悪化、搭乗率偽装、慢性的な赤字体質に結びついたことは事実だ。(往年のホノルル線では、旅行会社への手数料や自社の販促費を除くと、Yクラス1人あたりのJALの収入は1万円程度だったという) しかしそれなら、Yクラスで適正な利潤を得られるような構造改革こそやるべきではないか。儲からないからYクラスを減らしましょう、中・上級クラスでたっぷり儲けましょうというのは金融屋の発想であり、「旅」という夢を売る輸送企業のやることではないと思う。

 もっとも、ビジネス需要が旺盛なニューヨークやロンドン線での上級クラスの比率が高いキャビン構成は、「エクゼクティブエクスプレス」(1980年代)の時代からの話で、急に始まったことではない。しかし当時は、ホノルルなどリゾート路線にB747が飛び、Yクラスで大量の乗客を運んでいた。言ってみれば、ビジネス路線の儲けでリゾート路線のYクラスを維持するような構造になっていたのだ。ジャンボ機の退役でホノルル線までもがB767化されて輸送量が半減し、Yクラスとは言え運賃単価は上がっている。リゾート路線でも儲け、ビジネス路線でもさらに儲けようという姿勢は、海外旅行を庶民から遠いものにしてしまうのではないか、ということをとても危惧する。

 残念ながら、Yクラスの座席を減らし、YPクラス以上で儲けようという戦略は、ANAも同じだ。ジャンボ機が姿を消すのと同時に、Yクラスで大勢の客を運ぶことが良しとされた時代、空の大衆化の時代も終わるのかと思うと、そちらの方が、とても寂しい。
画像

 上の写真は、B747-400のYクラスキャビン(東京〜ニューヨーク/JL006)。家族連れ、学生風、中高年の一人旅、夫婦旅など、客層は様々だ。ビジネス路線にだって、Yクラスの需要は相当ある。学生や家族連れなど、安いチケットがなければ海外に出かけられない人も大勢いる。こういう客層を「儲けが出ないから」で切り捨てる金融屋的発想は、公共交通機関である航空会社として、非常に不健全だと思う。



Ocean Radio@2011

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ここは酷い葬式鉄ですね
動物園線に6000を看取りにいってきた 原型じゃないし、ということで数人しかヲタはいなかった まあガチ最終の時間なので京王線内くらいからしかアクセスできんしな にしてもTAMA ZOO TRAINもまた7000系でやるのかな でも7801Fと7802Fは本線でも運用するだろうしなあ そういえば最終前2本の上りは桜上水行きなんだが まだ井の頭線の吉祥寺方面は走っているんだよな だから永福町までタクシーでも捕まえれば実は、という話も ...続きを見る
障害報告@webry
2011/03/11 02:00
ここは酷い腐った翼ですね
腐った翼―JAL消滅への60年幻冬舎 森 功 Amazonアソシエイト by 腐敗、というか経営の主体性がなかったんだよな しかもその主体性を自主的に取り戻そうとはしなかったように感じる 為替先物や石油先物の自滅的な失敗は失笑ものだな 再建案も本当にうまくいくのかは微妙なところではあるな とくにジャンボを捨てた理由も席が埋まらないってことに尽きるな ただいろんな人に聞いて回っているんだが それぞれが自らに降りかかるコスト削減策のおろかさを説いていて それはそれでなんでつぶ... ...続きを見る
障害報告@webry
2011/09/16 21:10
フェラガモ バッグ
改めて・・・JALジャンボが退役した理由 旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記/ウェブリブログ ...続きを見る
フェラガモ バッグ
2013/07/03 09:36
JALはA380を導入すると考えるワケ
 JALはそう遠くない将来、A380を導入するだろうと思う。評論家や日本のヒコーキ好きの間では「21世紀最大の論争」のネタとも言って良い熱いトピックで、「導入しないだろう」「するだろう」と喧々諤々のやりとりが交わされてきたが、現時点で私は「する」と思う。2020年ごろの世界の空、JALの路線網を予想すると、そういう答えになる。そう考える理由、こないだ書いたこととも重複するが、記しておきたい。 ...続きを見る
旅するデジカメ〜札幌発東京定住日記
2013/10/16 00:51

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