船の科学館、来月末で事実上の閉館

画像 子どもにせがまれて、船の科学館に16年ぶりに行ったら、来月末で本館展示を休止するという案内が出ていて驚いた。理由は、本館建物の老朽化。本館の前に係留されている青函連絡船羊蹄丸の展示も終了し、譲渡先が見つからなければ船は解体される。同じく係留展示されている南極観測船宗谷の公開だけは継続し、今後船の科学館は、宗谷の展示と本館を拠点とした学術調査、そした青少年の野外教育を主体に活動して行くのだそうだ。お台場の象徴として古くから親しまれてきた、豪華客船を模した建物は、その役割を終えることになる。

 それにしても、なんだかすっきりしない幕切れだな、と思うのは私だけではあるまい。まずは、休止と言いながら、本館の建て替えや展示再開のスケジュールどころか、メドすら示されていない点だ。これならば、事実上の閉鎖じゃないか。建物の老朽化と言うが、館の事務室や、同建物に入居する海上保安庁の管制センターとしては、そのまま使うのだという。図書館であれ博物館であれ、公共性の高い施設が閉館する場合は、再開のメドなり代替施設なりを示すのが普通だ。これならば、老朽化のためと言うのは方便で、本館の展示打ち切りを急ぎたかった別な理由があるのではないか、と疑いたくもなる。

 館内のボランティア説明員の方に聞いてみたが、大きな理由は耐震性の問題なのだそうだ。3月11日の震災を受けて本館の耐震性を調査したところ、大地震が来ればとてももたないことが判明した。そういう建物にお客さんを入れて、地震で何かが起きれば大変、一刻も早く閉鎖しよう、という判断になったのだという。なるほど、と思わなくはないが、やはり釈然としない。耐震性は補強工事もできるし、それに問題ありとしながら、事務所や海上保安庁の施設としては使用を続けるというのは、明らかに矛盾する。海上交通管制センターが地震で使用不能にでもなれば、大変なことになるじゃないだろうか。船の科学館が事実上閉鎖となる背景には、公にしづらい大人の事情があるような気がしてならない。

 ここから先は推測になるが、大きな理由は財政問題ではないだろうか。関心のある人なら誰でも知っているが、船の科学館を運営するのは日本財団、旧名「日本船舶振興会」だ。同財団の収益の柱は公営ギャンブルの一つである競艇(モーターボート競走)である。競艇による収益の推移は財団が公開しているが、1991年をピークに右肩下がりを続けている。数字が少し古いが、財団の競艇交付金収入は2003年の時点で400億円弱。ピークだった1991年の700億円強から半分程度に減ってしまった。収益の低下に苦しむ日本財団が、入場者が頭打ちとなっている船の科学館の運営から手を引かざるを得なくなった、と考えてもあながち根拠を欠くとまでは言えないのではないだろうか。





Ocean Radio@2011

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  • ここは酷い読書格差ですね

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  • 青函連絡船「羊蹄丸」いよいよ解体へ

    Excerpt:  お台場で係留展示されていた青函連絡船「羊蹄丸」が、解体に向けてきのう旅立ったことを、けさの新聞で知った。船は愛媛県新居浜市に回航され、数ヶ月の一般公開の後、解体される。 Weblog: 旅するデジカメ~札幌発東京定住日記 racked: 2012-03-26 10:04
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