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zoom RSS B787の燃費はどれくらい良いのか?

<<   作成日時 : 2011/11/02 08:00   >>

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画像 きのう全日空が、世界に先駆けて定期路線に就航させたボーイングの最新鋭旅客機B787。燃費の良さが最大の特色、みたいなことをメディアがこぞって書いているが、果たして本当にそうなのか。「経済性」がメディアによって強調されればされるほど、そのへんが気になってくる。

 「B787は従来の旅客機よりも燃料消費が20%少ない」、テレビや新聞のたいていの記事にはそう書かれている。全日空が配った報道資料にそう書いてあるからみんな同じ表現になるのだろうが、これはあくまで、メーカーであるボーイングが掲げた「これくらいの燃費の飛行機を作りますよ」という数値である。「20%」はいわば「努力目標」のような数値であり、実際にそのとおりかどうかは、飛ばして精密に計測しなくてはわからない。2009年12月の初飛行以来約2年間かけて行われた飛行試験で、ボーイングは「実際の燃費」に関するデータを蓄積したはずだが、それはあまり公にされていない。第一、「従来機」と言ってもそれが、同クラスのB767を意味するのか、それともB777なのか、B747-400なのか。一機あたりの燃料消費なのか座席あたりなのか。その前提によってまるで違う。そのへんを明示することなく、「従来機に比べて」みたいな書き方を、よく平気でどの記者もするものだ、と思う。

エアバスが指摘するB787の問題点
 それはさておき、B787の「燃費の良さ」は相当に疑わしいと私は思っている。理由の一つが、度重なる開発遅延と不具合発生による設計変更で、機体重量が当初の想定より相当にオーバーしているらしいこと。重量が増せば、燃費は当然悪くなる。月刊エアライン(2011年10月)に掲載された記事によれば、B787は確定仕様(受注を得るために航空会社に示された仕様、いわゆるカタログ仕様)から5.7トンもオーバーしているのだという。ボーイングは主翼の設計変更による重量軽減と最大離陸重量の引き上げを行ったが、初期ロット(ラインナンバー7〜20)の機体にはこの改良が実施されておらず、長距離国際線に投入するのは好ましくないのだそうだ。

 この記事の主要なネタ元は「Boeing 787 Lessons Learnt October 2008」という文書で、作成者はなんと、エアバスの技術情報部門の責任者である。ライバルメーカーだけに、B787プロジェクトをかなり批判的に分析していて、どうやって調べたのか、重量増加や製造遅延の原因、組立にあたるボーイングの工員の技術レベルにまで言及している。これによると、基本形であるB787-8の場合、当初計画では7490マイル(約13900キロ)になるはずだった航続距離が、最終的には6890マイル(約12700キロ)と、8%も減少しているのだそうだ。東京〜ニューヨークの飛行距離が11300キロだから、12700キロも飛べれば十分なように思えるかもしれないが、これは空港混雑による上空待機や悪天候で代替空港に向かうための予備燃料を含んだ対空時間である。実際は2時間程度、距離にして1500キロは飛べる燃料を積んで出発するわけで、B787の実用燃費がエアバスが示す通りなら、日本からアメリカ東海岸に到達するのがギリギリのレベルで、30年前のB747-200Bの後期型(6850マイル)と同程度だ。季節風の強い冬場や悪天候が予想される場合にはペイロード制限をしなくたはならず、B747-400(7260マイル)やB777-300ER(7930マイル)に比べると、ずいぶんと使い勝手の悪い飛行機に仕上がっていることになる。

 ボーイングのホームページでは、B787-8の航続距離は7650から 8200マイル(14,200〜15,200キロ)となっているが、ライバルのエアバスが上記のような分析を明らかにしている以上、ボーイングのカタログ数値をそのまま信用するのは、お人好し過ぎると言うべきだろう。

全日空も認めるB787の重量過多
 日本のメディアはほとんど取り上げないが、B787の重量超過とそれによる性能不足は、キックオフカスタマーである全日空も認めている。航空情報の専門サイトFlight Globalに9月25日に掲載された記事「787’s excess weight drives mission profile: ANA」(Jon Ostrower記者)によると、全日空の藤木悟役員は「初期のB787は後に納入される機体よりもかなり重い。これらの機体は国内線や近距離国際線に投入する」と述べたという。初号機受け取りを前にしたエバレットでの記者ブリーフィングで語られた、公的な発言だ。

 また、別な航空情報サイトAspire Aviationに掲載された記事「Chalenges Remain As Boeing 787 Becomes Reality」によれば、ラインナンバー(LN)7〜20の機体は6.1トンの重量超過。 LN21以降は最大離陸重量を219トンから227トンへと8トン引き上げた上で重量軽減策を実施し、ペイロードと航続距離の改善を図るが、それでも4トンの重量超過である。B787が確定仕様と同じ機体重量に到達するのはLN90だと、同記事は伝えている。今回全日空が受領したB787の初号機(JA801A)はLN7で、通常であればこれ以後LN順に完成機が引き渡されてゆくと考えられる。

 全日空は、B787を使用した羽田〜フランクフルト線を来年1月21日に開設すると発表しているが、上記の事実を重ね合わせると、予定通りに就航できるかどうかはかなり疑わしい。全日空は来年3月までに12機のB787を受領すると発表しているが、これはLN7〜18に相当し、性能改善は実施されていない機体である。羽田〜フランクフルトの距離は約9360km(計算上の大圏コース)だ。初期型LN7-20の航続距離がエアバスの分析どおり12700キロならば、余裕のある距離ではある。が、全日空自身が重量過多を認めていることもあり、こういう長距離路線に投入できる機体がこの短期間で本当に仕上がって来るのかどうか、かなり不安があるというのが実情だと思う。

 B787が本当に、「画期的な経済性」を発揮するのかどうか。今後の運用動向に注目するしかない。




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ここは酷い蒲蒲腺ですね
asahi.com(朝日新聞社):2つの蒲田駅結ぶ「蒲蒲線」設置検討へ 東急電鉄 - ビジネス・経済 http://www.asahi.com/business/update/1115/TKY201111150657.html 蒲蒲線 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%B2%E8%92%B2%E7%B7%9A ...続きを見る
障害報告@webry
2011/11/18 03:13
ボーイング787で起きていること、これから起きること
 今週水曜日の朝、いつものようにオフィスに出勤してテレビ画面が視界に入り、目を疑った。脱出シュートを展開したB787が誘導路上に静止ししている様子が、繰り返し流れている。画面には「機体から煙」「緊急着陸」の文字。機体のほぼすべての非常口が開かれていた。緊急脱出をやると、最低でも乗客に軽傷者が数人は必ず出る。そうしてでも脱出しなければならない、切迫した事態だったということだろう。 ...続きを見る
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2013/01/19 23:56
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