運転手の居眠りは起こり得る・・・そういう前提に立つと、その先が見えてくる

画像 バス運転手の9割が、運転中に睡魔を感じたり、居眠りをした体験があるという総務省の調査結果(2009年)を、きのうから各テレビ局などが伝えている。朝刊を手にしたら、朝日新聞はこれを一面トップに立てていた。

 総務省はこの調査結果を基に、国土交通省に対し運転時間の上限を670キロとする基準を見直すよう勧告(2010年9月)したが、聞き入れられなかった。バス業界の保護、と言うよりも安全性を度外視して価格競争に突き進む旅行業界・バス業界を野放しどころか、「基準以下なら一人乗務でOK」というカタチでお墨付きを与えてきた国交省自動車交通局の姿勢は、徹底的に糾弾されなくてはならないと思う。

 おそらく、今回の事故を受けて、連続乗務ができる距離の上限を下げたり、深夜・未明の営業運行は必ず運転手2人態勢で、といった規制強化は行われるだろう。だが、それが根本的な解決になるとは思えない。どんなに体調を整えた運転手でも、体内時計が眠気のピークに達する未明から明け方にかけての時間帯は居眠りの危険性が排除できない。そうなったときに致命的な事態にならないようにする対策、安全装備こそが必要なのだ。

 この件でネットをチラチラと見ていたら、「おおぜいの乗客を乗せるバスには、運転士が眠気をもよおしていることが、乗客にも分かる車内表示を義務づけてはどうか」と書いているブログがあった。「運転士が一定レベルの眠気に達した警報が車内に鳴れば、乗客の誰かが運転士に話しかけることもできるし、到着が遅れてもサービスエリアで臨時に休息することを要求することもできる」と。こういうことも、考え方としてはアリだと思う。最前列に座る乗客には、「運転手が眠気をもよおしている気配が認められた場合は、休憩を要求してください」などと表示をしておく手もある。バス会社や運転手からすれば、事故を起こすのが前提のようで不名誉ではあろうが、現にバス運転手の9割が運転中に睡魔や居眠りの経験があるのだ。乗客もこのことを認識し、運転手の挙動に注意を払おうとするのは間違っていないだろう。

 現に航空機では、フライト前に必ず非常脱出の説明があり、離着陸時にはリクライニングやテーブルを元に戻すなど、脱出しやすい態勢を求められる。非常口前の座席に座るためには、脱出時に乗客を支援できることが条件になる。「事故は起き得る」という前提があるからだ。これと同じ考えをバスにも取り入れた方がいい。乗客の死亡事故は、航空機よりバスの方がずっと確率が高いはずである。

 今回の事故の背景を、「旅行業界の過当競争」「規制の不十分さ」だけに求める姿勢では、再発防止にはほど遠い。





Ocean Radio@2012




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