【クルマ購入記】要求すれば値が下がる・・・の摩訶不思議

 今回の新車購入、リサーチ的な予備商談も含めれば、3か所のディーラーに計5回足を運んだ。これ以外に、買い取り専門店による出張査定が1回。それぞれの商談で実質ほぼ半日(正味時間は2時間弱程度だが、往復も含めた体感的な拘束時間はそれくらいになる)を要したので、のべ丸3日を費やしたことになる。もちろん、好きでやってることではあるのだが、貴重な休日の少なくない時間を使ったな、と思っている。

 新車の購入商談は、母のクルマも含めてこれで5回目なのだが、毎回不思議に思うのが、買う側が主導権を握り、値引きを求めれば求めるほど安くなる商習慣だ。

 本当のことを言うと、私はこういう値引き交渉があまり好きではない。第一に、面倒くさいし時間がかかる。第二に、相手の言い値で買う方がお互いに気持ちがいい。価格表があり、決まった諸費用を足し上げて出てくる総支払額に対して「高い、もっと安くして」と言うことは、売る側の価格計算を信用していないと言うのと同義であり、それは相手に対してすごく失礼なことではないかと思うのだ。そうは言っても、値引きを強く要求するとある程度は受け容れられるのは事実。同じモノを買うのにわざわざ高い金額を支払うのはアホらしいので、毎回それなりの値引きはしてもらっている。

 けれども、ディーラーだって商売だ。メーカーからの仕入れ値に自分たちの利益を上乗せすることで店を維持している。その利益を削ってまで安く売るはずがない。たとえば、「今月はレガシィ10台で100万円」というように、車種別に月ごと、あるいは半期ごとに値引きの総額を設定し、利益管理をしているのだろう、というのはなんとなくわかる。(ディーラーに勤めていたわけではないし、このへんの仕組みは聞いても調べてもなかなかわからないので、あくまで予測の範疇だが) その中で、まったく要求しない客は値引きゼロ、しつこい客は20万円値引き、というように幅を持たせているのだろう、というのもだいたいは想像が付く。高く買ってくれる客には高く売り、安くしろとうるさい客には損をしない範囲で値引きする、ということだ。

 しかし買う側からしてみると、まったく同じクルマを買うのに、交渉の得意・不得意、押しの強い・弱いで価格が何十万円も違って来るというのは、モノの売り方としてすごくアンフェアだと私は思う。スーパーや量販店で、値引きを要求する客はいない。ヨドバシカメラやヤマダ電機も、テレビのように価格競争が特別激しい商品は別にして、個別の値引き交渉には基本的に応じない。交渉のうまい下手で値段が変わるのではなく、誰が買っても同じ値段という方式が支持されているからである。それなのに、クルマという高額商品は、なぜ「値引き」という慣習があるのだろうか。

 調べて見ると、メーカーの主導で値引き額を固定し、交渉次第で価格が変化することがない「ワンプライス制」を導入しようとしたことはあったらしい。だがうまく行かなかったのだという。理由は、買う側が値引きを当然として強くそれを求めて来ること。そうすると、抜け駆けのように値引き幅を大きくするディーラーが現れたこと。さらに、卸元であるメーカーが小売のディーラーに価格を強制すると、独占禁止法違反になってしまうこと、などがあるらしい。

 プリウスやアクアなどの人気車種を扱うトヨタ系ディーラーは、どんなに強く求めても一定の金額以上はびた一文値引きしない、という建前を今も堅持しているようだ。しかし、1台でも多く、早く売りたいディーラーからすれば、ディーラーオプションや下取車の査定額など、総支払額を調整する手段はいくらでもあるわけで、結局は客の顔を見ながら高く売ったり安く売ったり、ということをやっているのを実体験として私は知っている。

 クルマは、何百万円もする高額商品だ。一台売れれば利益は大きい。そうであれば、高く買ってくれる客にはできるだけ高く売って利益を確保し、値引きを要求する客には安くしてでも売って台数を稼ぎたい、と考えるのは売る側からすれば当然の理屈ではあるのだろう。

 今回の商談、結果として良い条件が得られたとは思うが、費やした時間と労力はかなりのものだった、というのが正直な実感だ。前回書いたように、東京スバルのMさんから338万円の「最終提示」を受けた後(実際にはそこからさらに3万円下げてもらったが)、その足で神奈川スバルのGさんのところに行き、「これより安くなりませんか?」と交渉しようかと一瞬思った。あるいは、買取業者をもう一度呼び、「ディーラーの下取り15万円より安くしてください」と言おうか、とも思った。けれども、もういいや、という気分だった。神奈川スバルも買取業者も、体感的に半日を費やさなくてはならぬ仕事になる。だったら、時間はほかのことに使いたい。数万円の利得(それすら、確実に得られる保証はないのだが)で貴重な休日を潰したくはない。エコカー補助金を含めれば、想定金額+5万円で、欲しかったクルマが買えることになった。それで十分。要は、根負けしたのだ。

 いくら好きなこととは言え、クルマの購入交渉は、もうしばらくやりたくない、と思う。クルマを良い条件で買おうとすると、買う側も大変だというのをつくづく実感した。【つづく




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