どうなる、政府専用機後継機

画像 古新聞を整理していたら、こんな記事が目に止まった。政府専用機の後継機問題について。

 JALとの委託整備契約が終了する2018年度に現用のB747-400を退役させ、後継機を導入するのだという。後継機はB777かB787が候補になるだろう、ということだが、はてさて、整備はどうするつもりなのだろうか、と思った。

 政府専用機は航空自衛隊の特別輸送隊が管理運用しているが、旅客機タイプの機体を自衛隊ですべて整備することはできないし、自衛隊にその気もない。現在のB747は、定期的な重整備をJALが引き受けることが前提で導入され、2011年2月にJALでのB747運航が終わった後も、引き続きJALが整備を行ってきた。ANAに依頼したものの断られ、JALに診てもらうしかないというのが真相らしい。その費用は年間40億円。5年間で200億円だから、新品のB787が1機買えてしまうような金額である。政府専用機とは、なんたる金食い虫だろう。

画像 ところで、この記事が目に付いた理由は、きのうJALが、エアバス社のA350を導入し、B777の後継にすることを発表したことが記憶にあったからだ(右写真はエアバス社のサイトから)。つまり、JALからB777は10年後くらいには退役するから、政府専用機としてB777を買っても、JALでは整備できないことになる。じゃぁANAに委託すればいいと思われるかも知れないが、ANAとて、この先20~30年もB777を運用するかどうかは、わからない。そもそもB777は、今から25年も前に計画がスタート(開発着手は1988年)した、世代的には明らかに「旧型機」だ。JALにせよANAにせよ、初号機の導入から20年弱が経過していて、そろそろ経年機の退役が視野に入る頃である。ボーイングは、777を大幅にリファインした「777X」の開発を発表しているが、B787の前例もあり、機体が完成するのはいつのことやら、さっぱり見通せない(JALが777XではなくA350を選んだのも、そういう理由だろう)。仮にANAがこの777Xを導入し、この先20年程度はB777を運用するにしても、ANAが整備を引き受けるかどうかは別問題である。B747-400の後継となる政府専用機を導入するにしても、整備をどうするかは、大問題なのである。

 だったらJALもANAも導入したばかりの新鋭機B787を買っておけば安心か、と言うと、そうとも言えない。B787がこの先、予定の性能を発揮できなかったり、トラブルが続いて維持費がかさんだりすることがあれば、短期間でB787を放出してしまうことだってあり得る。実際、JALのMD-11、ANAのA321などは、買ってはみたものの「使いづらい」ことがわかり、短期間で放出されてしまった。経済合理性を追求するエアラインとしては、当然の判断だ。政府専用機の重整備を民間頼みにしている以上、エアラインの機材計画に左右されることは避けられないのだ。

画像 政府は専用機を自前で買おうとしているようだが、一度買えば20~30年は使わなくてはならない機体である。リスクが高すぎると思う。整備委託先のエアラインで運用が終わってしまえば専用機も整備ができなくなり、何百億円もする機体が、寿命がたっぷり残っているのにスクラップ、なんてことになりかねない。

 政府専用機が必要だという理屈はわかるが、アメリカのエアフォースワンのように、自衛隊が何から何まで丸抱えはできない以上、委託先エアラインの経営環境の変化に柔軟に対応できるような方法を考えるしかないだろう。

 たとえば、エアラインにリースで機体を買わせ、専用機として改造(いつでも中古旅客機として放出できる程度の)させた上で、運航も整備もエアラインに委託し、政府がリース代と使用料を払う、というのが一つの方法だろう。

 前にも書いたことがあるが、政府が機体を買い、自衛隊の専門部隊が運用し、整備だけは外注というのは、どう考えてもリスクとムダが大きい。





Ocean Radio@2013





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