成人式の式典で日の丸小旗配布・・・気持ち悪くて卒倒する

 ネット情報だか、札幌で、今月12日の成人式の式典会場前で日の丸小旗を配布した団体があったのだそうだ。旗を配ったのは「日本のために行動する会」(名前からして、どんな主張の団体かは見当がつく)。やまと新聞(電子版)によれば、札幌市内の10会場と千歳、恵庭、江別の計13の会場前で、式典に向かう若者らに会のメンバーが手渡したようだ。

 私の感覚を言わせてもらえば、式典で新成人が日の丸を振ってる光景なんて、気持ち悪くて卒倒しちゃうな。

 どうして、こう思うんだろう。

 日の丸は、政治的メッセージの象徴だからだ。


 国民は国家権力に従順であるべき。国家のために、個人の幸福追求権は制限されて然るべき。国家のために国民がいる。そういうメッセージとして、そういう考えを支持するサインとして、見えてしまう。だから、気持ち悪い。「自立した市民」としての門出を祝う式典にふさわしいとは、とても思えない。

 日の丸は日本の国旗ということに、法律上はなっているが、国旗掲揚の場や人々が国旗を手にもって振るような場をもっと増やすべきと考える人もいれば、そこまではしなくていい、という考えの人もいる。しかもその考えは、国政上の党派制と強い結びつきがある。国旗をもっと広めよ、と言っているのが自民党、そこまではしなくていい、と言っているのが民主党、日の丸を国旗として扱うことにそもそも反対というのが社民党や共産党だ。善悪とか優劣ということではなく、国旗の扱いをめぐっては様々な考えがある。そういう中で、成人式の式典という、様々な人が集まる公的な場で日の丸を配り、それを会場内で振りかざすことを奨励するというのは、自民党的価値観を押しつけ、すりこんでいるように、私には見える。

 たとえて言うなら、日の丸の小旗を配るというのは、日の丸大好きな安倍晋三のカオが大きく印刷されたウチワを配るようなことである。それを新成人が式典会場内で一斉に振りかざすようなサマを想像してほしい。尋常なことと言えるのかどうか。

 前記の「やまと新聞」によれば、北区の式典会場となった「ニトリ文化ホール」(旧北海道厚生年金会館/札幌市中央区北1条西12丁目)では、会場に持ち込もうとした日の丸小旗を主催者側が回収したらしい。「やまと新聞」以外のソースがないので真相はよくわからないのだが、同新聞は「主催者側は新成人たち個人の所有物である日の丸小旗を強制的に回収したばかりか、それがゴミとして捨てられるとなれば、国旗に対する不敬である」と、強く問題視している。扱いに困るものを勝手に配っておいて、それを主催者が回収するのは大問題だとは、何を言ってるんだか・・・と思う。
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 配られた日の丸を手に持つ新成人たちの写真が同紙電子版に出ているが、小旗とは言え、それなりの大きさである。写真で見る限り、B4版くらいはありそうな立派な旗で、これに木製かプラスチックの柄が付いているとなれば、旗部分を丸めたとしても長さはおそらく40cm程度。ハンドバッグ等には到底収納できず、置き場に困るという参加者がいても不思議ではない。また、日の丸が持つ政治性、党派性、メッセージ性を考慮すれば、式典の場にふさわしくないと主催者が判断するのも、ムリのないことだと思う。公共の催しが政治宣伝の場になってはいけないというのは、極めて常識的な考えだろう。

 残念なのは、この件について北海道新聞をはじめとする地元メディアが、一切報じた気配がないことである。「主催者側が日の丸小旗を強制的に回収した」「ゴミとして処分した」というのは、「やまと新聞」がそう報じている、というだけで、真相はよくわからない。同記事が伝えている「日の丸を持っていては邪魔でしょう!こちらで回収します!」「日の丸を持っていたら折角の素敵な振袖が台無しでしょう!」というやりとりが本当にあったのかどうかも、確認する手段がない。実際のところ、どうだったのか。北区(ニトリ文化ホール)以外の会場では、どうだったのか。日の丸を渡された新成人は、それをどこに収納し、どうやって持ち帰ったのか。ネット上では、そこそこの騒ぎになっている案件である。そのへんのところをよく調べ、議論を喚起するのは、メディアのやるべきことだろう。

 日の丸が政治宣伝だなんてとんでもない、祝い事に際して国旗を振るのは当然の行為だ、新成人が手に手に日の丸を持って式典に参列、大いに結構なことじゃないか・・・そういう意見の方がもしかしたら、強いのかも知れない。だとすれば、気持ちが悪く、息苦しい世の中だな、と私は思うのだが。

■あまり見せたいものではないが、本件に関して「日の丸強制回収事件」などと称して大騒ぎしている側がアップしているYoutube動画の数々。証拠保全的意味合いで、掲載しておく。




▼こちらは、「日の丸回収」に関して札幌北区役所に電話で抗議したという、会話の録音。これによれば札幌市側は「強制的に回収したわけでは無い」「状況を調査して発表する」などと述べている。ケンカ腰にならずに、ソフトに、沈静化の方向で話しているところ、役人なだけに苦情処理には非常に手慣れた印象を受ける。理屈からすれば、「申し訳ない」などと謝るスジのものではないと思うが、「まず謝る」は日本流交渉術の基本のキなのだろう。それにしても、こういう会話を誰でも録音し、誰でも勝手にネットで公開してしまう時代である。対応する役人側も「録音されている」「公開される」というのを十分に認識している雰囲気が、読み取れた。









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