「辺野古」でいま、起きていることについて

運動に参加する住民は「埋め立てやめろ」などとシュプレヒコールを上げたりプラカードを掲げながら、ゲート前で輪になってゆっくりと歩いていた。立ち止まると「道路上で立ち止まると交通を支障する」、座り込めば「無許可で道路上を占有するな」と警察から警告を受けるから、そうならないように考え出された苦肉の策なのだろう。工事車両をストップさせるために、ゲートを人間の盾のようにして封鎖しているのかと思っていたが、よく見ると車両が通行できるスペースはちゃんと確保されていて、基地に出入りするクルマは「こいつら邪魔だ!」とドライバーが舌打ちする程度で、普通に出入りできるようになっていた。これも、反対派がいろいろ考えた末に編み出した、警察や警備当局と不要な対立を生まないようにする方法なのだろう。見ていると時折、抗議行動の輪の動きが止まり、参加者が集結したり座り込んだりする場面がある。運動のリーダーが演説したり「抗議の歌」を歌ったりするためのものなのだが、そのたびに目の前の警察車両から「道路交通法に違反しています。道路上に立ち止まらないで(座り込まないで)ください」などと声が飛ぶ。
一緒に見ていた、小学3年の我が子が言った。
「基地を造る、造らないは、選挙で決めればいいんじゃないの?」
私は答える。
「選挙はやったんだよ。そして、『基地を造ってはいけない』という考えの人が勝った。それなのに国は、何がなんでも基地を造ると言っている。だから、こういう反対運動が起きているんだ」
息子「おかしいじゃない。選挙で決まったことなのに、どうして工事は止まらないの?」
そうなんだ。いま辺野古で起きていることは、小学3年生の頭では、到底理解できない。と言うより、小学3年生の常識で考えれば、どう考えてもおかしいことなのだ。
前から書いていることだが、辺野古でいま起きていることを読み解くカギは、「基地建設という国家目的を完遂するためには、地元の意向、地元の意思なぞどうでもよい」という考えが許されるか否か、である。住民が「自分たちのことは自分たちで決める」と言っていることに対し中央政府は、「それはまかりならない」と言っている。「おまえらは中央政府の言いなりであればそれでいいんだ」と言っている。そういうことが許されるのかどうか。
那覇へ戻る途中、レンタカーのラジオニュースで、「林農水大臣が、業業調整規則に基づいて沖縄県知事が出した辺野古埋め立て作業の停止指示に効力は無いと決定した」というニュースをやっていた。安倍内閣の一員である農水大臣が、安倍の方針に反する決定をするはずがないから、これは想定の範囲内と見るべきだろう。米軍基地建設という命題のためには、地元の民意はもちろん、法律の論理すらもどうでもいい、そういうことなのだろう。
何度でも言うが、こういう安倍内閣を、それでも国民は支持するのか。これは民度の問題にほかならないのである。息子にそのように話したら、「民度って何?」と聞き返された。そりゃそうだよなぁ。
【Ocean Radio@2015】
▼キャンプシュワブ前、埋め立て予定海域。何度も言っていることだが、この美しい海を他国軍が使用する基地のために埋め立てるなど、「狂気の沙汰」である。
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