不便な札幌市電・・・必要なのは増発だ

 あすの祝日を前に久しぶりに早めに帰宅し、ぼんやりと地元テレビ局のニュースを見ていたら、札幌市電の問題を特集していた。札幌市電の一部停留所では、電車待ちの乗客が停留所内に並びきれずに車道にはみ出すほど混雑していて危険だ、という問題。列がはみ出す理由は、乗車位置が車両の中央ドアの位置に合わせて停留所の中央にあるため、停留所の有効長の半分ほどしか使えないから、だという。このテレビ局の指摘を受けて、交通局は混雑の激しい一部停留所で電車の停止位置と乗車位置を後ろに下げ、列が長く伸びでも車道にはみ出さないように対策した、そんな話だった。

 市電のホームページを見たら、同じような内容が「お知らせ」として出ていた。対象となるのは、5か所の停留所だそうだ。

 市電利用者の1人として、同じような危険性は常々感じていた。私が乗るのは午前9時前後の、比較的ラッシュが落ち着いた時間帯なのだが、それでも停留所にびっしりと人が並んでいるのはいつもの光景だ。「びっしり」と言っても、6~7人も立てば満杯になるほど、停留所は狭いのだが。午前8時前後、より混雑の激しい時間帯になると人が道路にはみ出してしまうであろうことは、容易に想像がつく。市電の利用者が2割も3割も急増したわけでもあるまいし(ループ化の開業によって1割程度は増えたらしいが)、こんな危険な状態がなぜ長年にわたって対策されずにいたのだろう、と思う。市電の幹部たちがいかに現場を見ていないか。毎日現場を目の当たりにしている乗務員たちの声が、いかに上に届いていないか。そういうことではないだろうか。

 それにしても、番組を見ていて不思議に思ったのが、増発の必要性を指摘する声がまったく出ていなかったことだ。市電があれだけ混雑するのも、停留所に多くの人が並んで危険な状態になることも、元をたどれば需要に対して運行本数が少ないから、そのことに尽きる。前に書いたこととも重なるが、ワンマン運転で車内が狭い(細長い)市電の場合、混雑が激しくなると乗り降りに時間がかかり、遅延が慢性的になる。午前9時台でさえ、「奥に詰めてください」と乗務員が何度も声を上げなければ停留所で待っている乗客を乗せきれないような状態なのだ。車道とほんのわずかな仕切りしかない、吹きさらしの停留所で多くの乗客が待つ状態が危険であることは、番組が指摘する通りだ。増発で運転頻度を上げ、停留所で待つ人数を減らすことしか、根本的な解決方法はない。それをどうして、指摘しないのだろう。

 時刻表によると、市電の運転本数は最も多い平日午前7時台が16本(平均3.7分間隔)、次に多い午前8時台が11本(平均5.5分間隔)、午前9時~午後4時台は6~7分間隔(時刻表ナシ)だ。現状の利用状況を見れば、午前7~8時台は2~3分間隔、それ以外の時間帯も5分間隔くらいが、乗客に高いストレスや危険を強いることなく輸送サービスを提供できる最低ラインだと思うが、市当局はどう考えているのだろう。車両が足りないなら増備すべきだし、値上げ分の少なくとも一部はそのようなサービスアップに充当しないと、利用者の理解は得られないのではないだろうか。

 市電(路面電車)は、使い方と走らせ方次第では、非常に便利で魅力的な交通機関だと私は思う。けれども現状の札幌市電は、慢性的な混雑や運行頻度の低さなど不便さが目に付き、多くの市民が魅力を感じるほどの乗り物にはなっていない。残念なことだ。

【Ocean Radio@2016】







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