角松敏生・・・この秋は”カラオケ”ツアー

画像 角松敏生の秋のコンサートツアー日程が発表された。ブラス13人のビッグバンドを従えた夏のツアーは、東京から比較的近く、確実な動員が見込める会場しか周れない。今回は、夏のツアーで「選外」となった地方を中心に、札幌・岩見沢を含む全国18か所を回るのだそうだ。

 でも、なんだかなぁ、というのが正直な感想。早くも消化不良の予感。


 本人とキーボード奏者の2人で回る「お前とオレ」ツアーなのだという。何よ、それ。要は”カラオケ”ツアーなんじゃないかい。角松敏生本人の歌+ギターと、伴奏者のピアノ(キーボード)、この3音源だけで演奏を完結させる純粋なアコースティック編成で通すなら良いけど、派手好きの角松のこと、全演目をアコースティックで通すはずがない。ベースにドラムにパーカッション、ブラスにコーラスまで、帯同できないミュージシャンの演奏はぜーんぶ同期(事前録音)で流してやるつもりだろう。それって、カラオケ大会と何が違うの?

 同期の多用は今に始まったことじゃないけど、たいていは、ステージ上はバンドの体裁が整って、「足りない音の補強」の範囲だったので、許していた。でも、カラオケ歌唱に限りなく近いライブを全国ツアーでやるとは、角松敏生のミュージシャンシップの心意気はどこへ行った、と思う。しかもこの形態、2015年以来2度目だぜ。

 もちろん、今のバンド事情、ミュージシャン事情、会場事情、そして角松敏生の人気と動員力からすれば、フルバンドのライブをそう多くはやれないことは、よくわかる。でも、CDが売れないからライブを数こなさなきゃいけない。儲けも出さなきゃならない。動員の厳しい地方も回らないと、ますます人気が落ちてしまう。だったら、製作費のかからないカラオケで、しゃーないか、てなところだろう。それは十分すぎるほど想像がつく。

 で・も・ね。

 角松敏生ライブのウリは、手練れのミュージシャンをそろえたバックバンドじゃなかったのかよ。「ボクの音楽を聴かせるには、これだけのミュージシャンが絶対に欠かせない」と、バンドメンバーを紹介しながら言ってたじゃなかったか。なのに、採算が厳しくなったらカラオケかい? 節操の無さは今に始まったことじゃないけど、ちょっとひどすぎじゃないか、と、わたしゃ思う。

 「バンドを連れて来れなくてすみません」と、まずは言えよ。で、「それでもライブやんないと食ってけません」と言うくらい開き直れば、許すよ。でも、そうは言わないんだろうな、格好付け、だから。カラオケでも何でも、来てからたらOKというファンも多いから。でもボクは、角松敏生の姿なんてどうでもいい。ナマの音楽を聴きたいんだよ。本気の歌と演奏が織りなす唯一無二のパフォーマンスを見たいから、お金を払って会場に行くんだよ。そこでカラオケ大会なんて、なめんなよ。

 「ホール会場でフルバンド、以外のライブは原則やりません」「キーを下げて歌うくらいなら音楽をやめます」。こう公言している山下達郎を少しは見習え、と言いたいが、タツローはCD不況と言われつつも新譜・旧譜を問わずコンスタントに売れ続けている人。さらにツアーをやれば、ホール規模の会場でも全会場ソールドアウトが計算できる人。首都圏に人気が偏っている角松敏生とは環境がまるで違う。背に腹は代えられず・・・ということはわかるが、「こだわりの音楽」が信条のカドマツにしては、全然こだわってねぇじゃないか、という思いは払拭しがたい。

 30年聴き続けたアーティストをこうしてディスるのは辛いけどね。でも、レコードを買い続けライブに通い詰め、本気で向き合って来たからこそ、言いたいことは言わせてもらう。

 カバー作の連発といい、中途半端なビッグバンドアルバムといい、カラオケツアーの発表といい、角松敏生音楽が混迷の度を深めているように感じられる、春の終わり。

【Ocean Radio@2018】



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