サマータイムが歓迎される条件・・・真夏のワシントンで考える

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 夏のアメリカに滞在していると、サマータイムって何て素晴らしいんだろう!と心底思える。明るい景色を眺めながら食べるディナー。仕事の後、ジョギングやピクニックを楽しむ人たち。ほろ酔いになりかけたところで、ようやく沈んで行く太陽。こんな制度が日本でも導入されればどんなに良いだろう、と思うのだが・・・。

 いま滞在中のワシントンでは、サマータイムのために18時台、19時台は完全に明るい。日没が20時~20時半。完全に暗くなるのが21時ごろ。アメリカ人がサマータイムをどう考えているのか、今回私たちの研修グループを引率してくれているボブに、意見を聞いてみた。

私)「日本でもサマータイムを導入すべきという声があるが、反対意見も多くて、なかなか議論が前に進まない。アメリカではどうか? やめるべきとか、面倒くさいとか、そういう議論はないのか?」
ボブ)「アリゾナとかハワイとか、サマータイムをやらない州もあるから、反対意見があるかと言われればあるだろう。でも、その他の州でサマータイムをやめろという声が強くなっているという話は聞かない。確かに年に2回、時計を1時間ずらすのは面倒なことは面倒だし、そういうことを言う人はいるけれども、その分こうして、ディナータイムに明るい景色を楽しむことができるわけだから、意味のあることだと思うよ」
 大多数のアメリカ人が、およそ、そんな考えであると理解できた。

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 サマータイム大賛成の立場から、サマータイム実施国の印象を言うと、正直、調子が狂う感は否めない。勢い、夜更かしと寝不足を誘発してしまう。去年アラスカに行った時もそうだったのだが、明るいうちはどうしても、気分が「動く」モードに入ってしまうのだ。出張旅行であれば、日光がある間は一つでも二つでも余計に仕事をしようとしてしまうし、こうして研修旅行に来ていたら、17時で公式日程を終えた後に観光なり散策なり写真撮影なり、旅行らしいことを少しはしようと、ついつい頑張ってしまう(会社を休んで、半分自費で来ているのだから)。18~19時の日が高いうちからビールをかっ食らってメシを食おうというのは(現地住民はみなそうしているが)、よほどの「覚悟」がないとできない。勢い、夕食は日没後、必然的にその後の行動が後ろにずれこみ、夜更かしになって行く(日本で働いているときと変わらん)。時計を見ながら、規則的な生活をかなり意識してやらないと、大変なことになるな、というのが印象の一つ。

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 それともう一つ、大多数のアメリカ人は、ブルーカラーはもちろんホワイトカラーも、午後5時には確実に、仕事を終えている。去年アラスカでも体感したことだが、午後5時半にはオフィスに誰もいないのが、当たり前。日本の感覚からすれば、公務員だろうと民間だろうと、午後5時半~6時に職場に電話していなければ「ずいぶん早く帰宅するんですね~」というのが普通ではないかと思うが、そこが違う。午後5時にみんな退社できるなら、サマータイムも有意義なんだろうなぁ、と思う。帰宅して着替えて、そこからまるまる2時間以上、日光があるのだからね。午前9時前後に仕事が始まるのは日本もアメリカも同じだが、終わりの時間が、日本は圧倒的に遅い。

 なぜ日本人は午後5時に仕事を終えられないのか・・・ある民間企業の管理部門で働いている友人の言葉に、それは象徴されている。「昼間は、突然の来客や電話が多くて、自分の仕事がさっぱりできないんだよ」。他方アメリカでは、アポなしの訪問は(たとえ在席していても)まず受け付けてもらえない。日中の電話も、秘書が取り次がなかったり、自動で留守電になったりすることがしょっちゅうだ。(「何か質問があったらいつでも電話をください」は、この国の典型的な社交辞令。電話をしても滅多につながらないし、つながっても「何か用?」みたいに冷たくされることの方が多い) 必要な人にいつでもコンタクト(面会・電話)できる・・・というビジネスで最も重要な側面を犠牲にしているから、みな日中に仕事に没頭できて、従って午後5時帰宅することができるのだ。

 たったこれだけの用件を済ますのに、なぜこんなに時間がかかるの・・・日本以外で生活した経験のある人は、誰でもこんな思いをしたことがあるだろう。答えは簡単・・・午後5時に帰宅するからである。現代社会で、特にホワイトカラーが「8時間労働」の厳守は、ビジネス上の利便性を相当程度犠牲にすることと引き換えであると思う。利便性よりも働く人たちのアフター5を優先できるのかどうか。サマータイムだと勢いづく前に、日本でも、そういうファンダメンタルな(根本的な)議論が必要なんじゃないかと思う。

【写真】夏の「日長」を楽しむワシントンの人々。午後8時~9時くらいに撮影。








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