JAL82便尻もち事故~逆噴射装置作動のまま、なぜ機首上げ?

画像 羽田空港で起きたJL82便の尻もち事故で、「スラストリバーサ(逆噴射装置)作動後にGO AROUNDとは不可解だ」と書いたばかりだが、事故の様子をとらえた定点カメラの映像を見返してみて、もっと不可解なことがあることに気づいた。

▼映像を、エンジンに注目してよく見ていただきたい。

 エンジン周りのリング状のカバーが開いており、明らかに、スラストリバーサ(逆噴射装置)が作動した状態であることがわかる。

 どういうこと? リバーサが作動した状態ではエンジンは前向きの推力を生まない。しかも車輪はオートブレーキが作動し、主翼上はグランドスポイラーが立ち上がって強力な空気抵抗を生むから、速度は落ち続ける。こんな状態で機種上げ操作をしても機体は浮き上がるはずがない。機体が地面を離れないのに機種上げを続ければ、尾部をこするのは当然だ。

 このことに気づいた人は他にもいたようで、Yahoo知恵袋にはこんな質問も書き込まれていた。

 どう考えても、通常の操作手順を逸脱している。まず大前提として、スラストリバーサを作動させた後の再離陸はしないのが鉄則ではあるが、どうしても浮き上がらなければならない事情が発生したとして、パイロットがすべきなのは、まずリバースレバーを元に戻してリバーサをオフにすることだ。続いてスラストレバーを前に押し出してMax Powerとする、またはレバーの根元にあるTOGAスイッチ(TAKEOFF/GOAROUND)を押す。この時点でオートブレーキはキャンセルされ、グランドスポイラーも自動で収納される。同時に、着陸位置にあるフラップを離陸位置にセットする。後は、スピードが上がったところで機首を上げれば機体は無理なく浮き上がる。機首上げは、再離陸操作の一番最後だ。どれも訓練で繰り返し叩き込まれる手順である。

 報道によれば、着陸時点でのPIF(操縦を担当するパイロット)は副操縦士。スラストリバーサも副操縦士が操作した。ところが、接地後のいずれかの時点で機長が操縦を交替して、再離陸の操作を行っている。こういう手順をすっとばして、リバース作動のまま闇雲に機首を上げるとは、逆噴射でDC-8を羽田の海に突っ込ませた、あの機長にも匹敵する行為だと思う。その後は正常にGO AROUNDルートをたどり、正常に着陸しているから機長の頭がどうかしていたわけではないだろうが、あの瞬間の行動は、機長としての職務遂行能力が欠如していたと言うほかない。

 詳しいことは原因調査が進まないとわからないが、リバーサを作動させたまま機首を上げているあの映像は、ある意味衝撃的だ。機長がなぜそのような行動をとってしまったのか、詳しい解明が待たれる。【つづく





Ocean Radio@2012



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